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早期死亡率と強迫性障害の関連

 強迫性障害(OCD)は、子どもから大人までが罹患する可能性のある、よく知られた精神衛生上の問題です。多くの人が恐怖と不安を呼び起こす心の牢獄に閉じ込められ、この症状は人を衰弱させます。
 これまでの研究で、OCD患者はそうでない人に比べて死亡率が82%も高いことが判明しています。新しい研究( new study)では、OCD患者の死因を調査しています。その中には予想外の結果もありました。死亡率はかなり高いのですが、死因に一定のパターンが見られないのです
 
●繰り返される思考から反復的な行動まで、強迫観念の層が厚い
 OCDは、アメリカでは毎年成人の1.2%が罹患する精神疾患です。OCDは長く続く傾向にあり、OCD患者の2.3%は生涯OCDを持つと推定されています。症状による障害は軽度なものから重度なものまであり、約50%の人が重度な障害を経験しています。 中程度の障害を持つ人はOCD患者の約35%を占め、軽度の障害は約15%です。

●OCDの症状は3つのカテゴリーに分けられます:
- 強迫性:繰り返し起こる制御不能な思考
- 強迫性観念:反復的な行動
- 強迫性障害:繰り返し起こる制御不能な思考と反復行動の両方
汚染や細菌に対する恐怖など、恐怖や攻撃性が行動の中核にあることが多いようです。

●強迫性障害患者の死亡率上昇の原因
 スウェーデンのカロリンスカ研究所(Karolinska Institutet)のロレーナ・フェルナンデス・デ・ラ・クルス(Lorena Fernandez de la Cruz)の研究チームは、強迫性障害の患者の死亡率の上昇に関係している自然的、非自然的な原因を解明することを目的とした研究を行いました。
 研究者らは、スウェーデンの包括的な人口登録簿を活用し、OCDと診断された61,378人とそうでない613,780人を抽出しました。1973年から2020年までの長期間にわたるこの大規模な研究は、OCDが死亡率に及ぼす長期的な影響を掘り下げ、重要な洞察を明らかにしています。

●寿命に影響を与える驚くべき傾向と要因
 研究期間中、OCDを持つ4,787人と持たない30,619人が亡くなりました。OCDの人は、そうでない人に比べ、自然死と非自然死を含む総死亡リスクが高かったのです。 自然死による死亡リスクはOCD群で高かったことがわかっています。
死因は以下の通り:
- 73% - 肺疾患
- 58% - 行動・精神障害
- 55% - 生殖器および泌尿器系疾患
- 47% - 栄養・内分泌・代謝疾患
- 33% - 血管に関する疾患
- 21% - 神経系疾患
- 20% - 消化器系疾患
- 2.5% - 循環器系疾患
 
 また、OCDを持つ人のがんのリスクが13%低下したことも注目に値しますが、研究者らはその理由を明らかにしていません。
 OCD患者の不自然な死因による死亡率増加の主な原因は自殺でした。さらに、このグループの人々は、転倒や交通事故などの事故で死亡する確率も92%高かったのです。

●OCDを管理するためには
 OCDと共存することは困難なことですが、症状を管理し改善するための実践的な方法があります。 まず第一に、OCDを専門とする精神科医に相談し、サポートや指導を受けることを考えて下さい。信頼できる情報源からOCDについての知識を得ることも重要です。
 不安を引き起こす状況に自分のペースで向き合うために、セラピストと一緒に段階的な暴露療法を検討するのも良いでしょう。定期的な運動、バランスのとれた(オーガニックな)食事、質の良い睡眠など、健康的なライフスタイルも重要です。

 達成可能な目標を設定し、タスクを小さなステップに分割して、頑張り過ぎないようにしましょう。サポート・グループに参加したり、オンライン・コミュニティに参加したりして、自分の道のりを理解してくれる人たちとつながりましょう。 友人や家族に自分の課題を打ち明けることも良いでしょう。
 自分自身に優しくし、前進することを忘れないでください。 これらのヒントは出発点に過ぎず、あなた独自のニーズを理解する医療専門家の助けを借りて、あなたのアプローチをパーソナライズすることが不可欠です。

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