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メタボリックシンドロームと多嚢胞性卵巣症候群に有効なカンタロープ

 多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS) は、月経不順を引き起こす内分泌疾患で、アメリカ人女性の不妊症の最も一般的な原因の1つです。出産可能年齢の女性の約5 ~ 20%が罹患していると推定されるPCOSは、多くの場合、異常なコレステロール値、過剰な腹部脂肪、高血糖、高血圧などの不健康な症状の集合体であるメタボリックシンドロームと関連しています。多くのホリスティック医師は、肥満やインスリン抵抗性などの要因を管理することで、PCOSとメタボリックシンドロームの両方を治療できると主張しています。
現在、研究により、共通の栄養素が女性に効果があるかもしれないことがわかっています。Reproductive Biology and Endocrinologyに掲載された新しいレビューによると、メロンや豆に含まれる天然の糖であるイノシトールが、PCOSに患っている女性のインスリン抵抗性を軽減すると言われています。
 
●イノシトールと主要な医薬品治療を比較
 2023年の分析とレビューで、研究者らはPCOSの女性の70%が肥満であると指摘し、不健康な体重で起こるインスリン抵抗性が月経不順につながる可能性があると発表しています。この研究には2つの目的がありました。研究チームは、多嚢胞性卵巣症候群に関連するインスリン抵抗性に対するイノシトールの効果を評価するだけでなく、インスリン抵抗性の治療の「ゴールドスタンダード」とみなされる処方薬であるメトホルミンの効果と比較することも試みました。その結果は説得力のあるものでした。
 
●結論:イノシトールはメトホルミンに匹敵する
 研究者によると、イノシトールはPCOSの女性の月経を調整するのにメトホルミンと同等の効果があり、副作用も少ないと言います。ボディマス指数を下げることに関して、研究チームはこの天然栄養素がプラセボよりも効果的であることを発見し、PCOSに対して「効果的かつ安全」であると結論付けています。さらに、Gynecological Endocrinology(婦人科内分泌学誌)に掲載された別の研究では、イノシトールとビタミンB群の葉酸の組み合わせを3か月間補給したところ 、PCOS関連の不妊症に悩む女性の62%で排卵が誘発されたことが示されました。 この研究では、イノシトール補給によってPCOSの女性のインスリン抵抗性が低下し、体重も減少しました。
複数の研究によると、イノシトールの補給は、PCOSの有無にかかわらず、メタボリックシンドロームを改善する可能性があることが示唆されています。医学雑誌「Open Heart」に掲載された2022年の研究では、イノシトールが空腹時血糖値を改善し、インスリン抵抗性を軽減し、2型糖尿病を予防する可能性を強調しています。
 
 メタボリックシンドロームの女性80名を対象にした臨床研究では、1年間にわたり 1日2gのイノシトールを摂取してもらったところ、血中トリグリセリドが3分の1以上 (34%)、総コレステロールがほぼ4分の1 (22%) 減少しました。研究に参加した女性の20%は、パラメータが大幅に改善し、もはやメタボリックシンドロームと診断されなくなりました。メタボリックシンドロームの人の不健康な脂質プロファイルに関しては、イノシトールが確かに「大幅な削減」をもたらすようです。

 イノシトールは、気分を調節する神経伝達物質であるセロトニンとドーパミンの活動に影響を及ぼすことがわかっています。さらに、うつ病、不安症、強迫性障害の人は脳内のイノシトール濃度が低いことが研究で明らかになっています。これらの事実を考えると、この天然栄養素が精神疾患に対する可能性について研究されているのも不思議ではありません。イノシトール補給に関する研究ではさまざまな結果が示されていますが、この天然糖は少なくとも1つの分野、つまりパニック発作の治療において明確な可能性を示しています。
 
 Journal of Clinical Psychopharmacologyに掲載された二重盲検クロスオーバー研究では、パニック発作の履歴を持つ20人の参加者が、1か月間毎日、イノシトール18gまたはフルボキサミン(一般的なSSRI抗うつ薬)150mgのいずれかを服用しました。イノシトール群はフルボキサミン群よりも毎週のパニック発作が少なく、副作用も少なかったと報告されています。
The American Journal of Psychiatryに掲載された別の研究では、1か月間毎日12gのイノシトールを摂取した被験者は、パニック発作の頻度と重症度が減少したと報告されています(この有望な発見には、より詳細な調査とさらなる研究が必要です)。
 
 健康的な量のマスクメロン、柑橘類、豆、エンドウ豆、玄米、ナッツ類を食べることで、食事からのイノシトール摂取量を増やすことができます。最大限の効果を得るには、可能な限りオーガニックの農産物を選びましょう。
 
 イノシトールは、ミオイノシトールやD-カイロイノシトールなどのサプリメントとしても入手可能ですが、摂取するときは事前に医療従事者に相談してください。
 

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