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運転手求ム!デイサービスの送迎について語る。

 これからの時代は介護士不足より、運転手不足の方が厳しいと思う。

 ゲーテです。
 デイサービスの仕事で問題になってるのは車の運転です。介護業務や看護業務ではない。車の運転です。

 さて、ここからはデイサービス利用者の送迎業務のマニュアルです。複数の事業所のマニュアルを統合し、僕のアレンジを加えたものです。
 どこの事業所も概ね、こんな「感じ」のマニュアルになるかと思います。

ゲーテ作 デイサービスの送迎マニュアル

 ①本事業所では78歳の高齢運転手と介護士または看護師の2人で送迎を行います。ワゴン車を改装した車で、車椅子を乗せる昇降機がついてます。この車に車イス利用者2名を乗せます。
 午前は3〜4名の利用者の家に迎えに行き、車に乗せる。そして事業所へ連れて戻る。午後も3〜4名の利用者の事業所から各ご家庭へ戻す。

 ②一人目の利用者の家に行きます。
 介護士・看護師は利用者の家に到着する5分前に、利用者宅へ到着の連絡をする。
 ※運転手は運転中に到着連絡をしない。(運転中に携帯電話を使わない)
 家に到着したら介護士・看護師はインターホンを押して利用者を連れてくる。
 運転手は昇降機を準備。
 家から連れてきた利用者を昇降機に乗せる。昇降機やシートベルトを確認したら次の家に出発する。
 ※駐車禁止切符を取られる事があるので注意する。運転手は車の管理に集中する。

 ③2人目の利用者の家に行く。
  2の手順にて2人目の利用者の家に到着連絡をして訪問。2人目の利用者を車に乗せる。
 ※介護士が車から離れる際は1人目(すでに乗車している利用者)が放置状態になるので注意する。
 ※また、駐車禁止違反にも留意する。

 ④2名の利用者の安全とシートベルトを確認後、事業所に戻る。
 事業所に到着後、内勤職員へ引き渡す。

 ⑤3、4人目の利用者を上述の手順で送迎する。(二往復目)

目標時間1往復で45分
 事業所を出発→10分で1人目の家に到着→5分で車へ乗せる→10分で次の家に到着→5分で車に乗せる→10分で事業所へ到着→5分で2人を事業所内へ連れて行く。(合計45分)
 ※道路交通状況により遅れる事を留意する。
 あくまでも目標時間であり、急ぐと交通事故の元になる。
 ※当事業所では、事業所から10分以上かかる家はお断りしている。
 ※堅苦しい文章ではなく、読んだ人が幸せになる文章が大事である。
  このマニュアルを見る事で、より業界を分かって嬉しい。知らなかった事を知れて楽しい。日々の暮らしに新しい発見があった。と思われるようなマニュアルが肝要である。

 どこの事業所も大体こんな感じのマニュアルになるかと思います。書いてはいけない事が書かれてますが、どこにも忖度なく率直な見解を書きたいと思います。

送迎による業務の負担

 1往復で45分が目標です。2往復で90分かかります。
 AMに2往復して連れて来て、PMに更に2往復して戻す。合計4往復で180分(3時間)となります。
 1日8時間しか働けないのに3時間も送迎に使う。もちろん大切な介護業務でありますが。
 事業所にもよりますが、あまり遠い家に行くと時間がかかりすぎるので断っているケースがある。
 また、送迎している間は事業所内で仕事する職員が減ります。3時間送迎に行って不在。職員全体に負担がかかる。

 幼稚園で起きる問題はデイサービスでも起きる、通称ゲーテの法則で考えます。
 幼稚園の送迎バスに保育士が乗ってます。この人達もこのくらい時間かかってると思いますし、その間事業所にいる保育士は1人少ない状況で働いていると思います。

1人での運転

 事業所によっては介護士1人で行なってます。一人の場合こうなる。
 車を運転しながら電話をかけて到着報告をする。(運転中の携帯電話使用に注意)家の中に迎えに行く。(この際、駐車禁止に注意)そして、昇降機で利用者を乗せる。
 昇降機で車に乗せたら2人目の家に行く。そして2人目の家の人を車に乗せる。
 ※この際、2人目を対応中は1人目の人は車に放置されるので注意。
 そして、事業所へ戻る。
 ※この際、1人目の方は車に乗っている時間が長いので注意する。また、一人目の方は多少放置しても問題が起きない方が望ましい。

 となる。なかなか無茶な流れです。
 幼稚園で言うと、幼稚園の送迎バスを保育士が1人で運転するような状況です。
 しかし、これは防げない時流にある。

タクシー運転手不足が示唆する事

 現在、少子化でタクシー運転手が不足して問題になってます。ライドシェアでタクシーを運用できるようにしようと模索されてますし、80歳までタクシーが運転できます。

 タクシー運転手がいなくなるなら、デイサービスや幼稚園の運転手もいなくなる。
 しかも、デイサービスの送迎をするような場合にはどんな悪路や細い道でも車を運転できないと通用しない。
 すごい場所に住んでいる方もいます。凄い狭い道を進まないと辿りつかないような家に行くこともあります。車のサイズも大きくなります。なので、どんな狭い道でも悪路でも運転できる人でないと通用しない。

 以前はシルバー人材活用と言っていたが、現在ではシルバー人材すらいない。タクシー運転手は80歳まで働いて欲しいレベルで足りない。いや、今後は80歳まで働いたとして足りないと思う。

 そうなると、車を運転できる人がいないので事業ができない。長引けば人手不足倒産が視野に入る
 介護士の給料を上げるのが難しいのに、運転手の給料を上げるのは更に難しい。世間的にもデイサービスの運転手が減少して問題になっていることは認識されてない。

交通事故と免許停止リスク

 現在、この事業所では78歳の運転手が送迎をしてます。高齢者の運転が問題になってますので、世代交代は検討していましたが、次の運転手がいない。
 そうなると80歳以上になっても働いて頂く事になり交通事故のリスクが高まる。僕はその前に退職したのでその後は分かりませんが。。。

 1日中介護士が車を運転している事業所があります。運転できる人が他にいない。道路交通状況により遅れてしまい、休憩できない日もある。
 看護部長や介護主任が運転している事業所もある。通常の業務に加えて運転業務が入る。
 長時間の運転をするのであれば、タクシーやトラックと同じように休憩や規制が必要だと思いますが、介護分野にそんなものはない。
 疲労や十分に休憩できない事で交通事故が起きる確率が上がるが、命を守るために休憩せずに働いている。

 運転免許停止のリスクがある。
 デイサービスや訪問介護・訪問看護の業務で駐車していると駐禁を取られる事がある。マンションの前に駐車して車から離れたりするのでリスクが高いです商店街や大通りの一軒家も他に車を停めれる場所がなかったりするケースもある。
 一人で運転している際に、あまり車から離れるのは乗っている利用者にリスクが高い。その間放置されてしまう。
 すでに少ない運転できる人が免許停止になると運転手不足が加速する。

 いずれにしても、誰も運転できなければ事業所に来れる利用者がいなくなり事業が破綻しかねない
 車を運転できる人がいない人手不足倒産が視野に入るかもしれない。というか、僕は視野に入っててデイサービスに将来性は感じなかった。

 ゲーテの第二法則。デイサービスで起きる問題は幼稚園でも起きる問題である
 幼稚園バスが運転できなければ誰も幼稚園に来れなくなってビジネスが破綻しかねない
 幼稚園では73歳の園長が運転していたり45歳の園長がバスを運転している。彼らが幼稚園バスを運転しているのが気になる。
 車の中に園児が置き去りにされた事故があった事もデイサービスは留意すべきではあるが。それはさておき。
 園長、つまり社長自らバスを運転している。社長にそんな暇があるのん?あまり幼稚園内部のことは分からないし、たまたまかもしれないが、幼稚園でも運転手の確保の問題は起きていると予想してます。

まとめ

 僕がこの業界に入って13年目。
 デイサービスの介護+車の運転で相性が最悪な事は世間的に認知されてません。

 13年前から訪問介護や訪問看護は車の運転が必要な産業なので将来性がないと思ってました。
 今でもそうですが、訪問看護はどんな道でも運転できる+看護技術と知識がある+事業所に適応できる能力 の3つが必須。そんな絵に描いたような優秀な人材を集められないから将来性を感じない。と13年前から思ってます。

 5年前にはデイサービス系統も車の運転が必要なので難しい事業だと思うようになった。地域によっては本当に厳しい。

 今ではデイサービスで運転手不足が解決する見込みがない。衰退するのをいかに耐えるかを考える産業。

 改善するとするならば完全自動運転で人間の運転が不要になる未来が来るのを待つ。完全自動運転が一般的に普及するまでは耐えるしかないと思います。
 そこまで耐えた先に、完全自動運転の未来がある。そんな事を考えると、とても楽しい。
 そんなことを考えるような人は介護が本当に好きな人しかいない。
 ではまた!じゅわっち!

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