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にわかゲーマーがグランツーリスモ7でにわかモータースポーツファンになった話

この記事は、ただの休眠ゲーマーがPS5とGT7を購入したことをきっかけに少しだけモータースポーツにハマっていくまでの経緯の話です。

いかんせんにわかが書いているのでとても浅い考察が頻出すると思いますが、にわかがどう考えたかみたいなところまで含めてこれからグランツーリスモに触れる人にとって何となく意味があるんじゃないかと思って恥を忍んで書いていきます。

あと、この記事ではGTと書いた場合グランツーリスモのことを指します。ややこしいですね。

PS5の招待販売がたまたまGT7同梱版だった

これがきっかけでした。学生時代にGT3やGT4をすこし触ったことはありましたが、元々リッジレーサーやマリオカートで育った人間なのでカーブでブレーキを踏むという概念が受け入れられずゲームとしてはGTにハマってはきませんでした。

しかしGT7は当時のGTと比べてゲーム内マネーや新しい車をどんどんプレゼントしてくれるようになっているだけでなく、適切なタイミングで新しい課題(レースやライセンス取得)が提示されて、レース中もブレーキやアクセルの操作を補助してくれるので、飽きることなく上達していくことが出来る作りになっていました。当時難しくてB-Specで遊んだ方もGT7なら楽しく遊べるんじゃないかと思います。

余談ですが安藤正容さんやDaiki Kashoさんが担当されてきたサントラは大好きで集めており、特にGT5 PrologueのバージョンのMoon Over The Castleは最高です。このバージョンだけ段違いに音が良いです。

公式世界大会決勝の動画をたまたま見る

なんとなくGT7を遊ぶのが日課になってきた頃、YouTubeのオススメにポロっとこちらの動画が出てきました。

GTにこんなに熱い競技シーンがあるの!? と驚かされると共に、ゲームの中で度々助言をくれるキャラクター(だと思っていた人たち)が実は過去の公式世界大会で戦ってきた各国の代表選手の皆さんだったということをここでようやく実感します。(遅い)

ただ、この時点ではルールや各選手の戦績等はまだ何もわかっていません。

とりあえず他のレースも見る

探し始めてみるとGTの公式チャンネルに大量に過去大会のアーカイブや印象的なレースの切り抜きが上がっていることに気づきます。どのレースも正直印象的だったのですが、特にドラマを感じたものをいくつか挙げてみます。

が、いきなり貼られてもルールを理解していないと正直よく分からないと思います。

ルールを理解する

いくつかのアーカイブを見ているうちにこれは公式大会のルールを覚えた方が見ていて楽しいということに気付きます。何なら、見ているうちに段々大枠は分かってきます。

メーカー対抗戦と個人戦の2部門があるらしい

Manufacturers Cupという車のメーカーごとの対抗戦と、Nations Cupという個人戦(今年は国ごとの団体戦?)の2部門があることに気づきます。Nations Cupは皆んなが同じ車が走りますが、Manufacturers Cupは各メーカーの車で走るため車の戦闘力が異なります。

細かいことを言うと予選がどういう形が決勝がどうでシーズンでどうポイントが加算されて、みたいな話になりますがその辺はとりあえず置いておきます。(僕がよく分かってないので)

とりあえず楽しみ方が異なるレースが2部門あるということだけ把握します。

タイヤについて

GTには5種類のタイヤがあって、レースの中でHard, Medium, Softのタイヤをそれぞれ最低何周使わなければならないかが運営から指定されています。

  • Hardタイヤ: 耐久性は高いがグリップが低く遅い

  • Mediumタイヤ: 耐久力もグリップもそこそこ

  • Softタイヤ: 耐久力が低いがグリップ力が高く速い

  • Intermediateタイヤ: 雨が降っていてもグリップするが結構遅い

  • Wetタイヤ: めっちゃ雨が降っていてもグリップするがめっちゃ遅い

選手はどのタイヤをいつ履くか選べる他、走り方でタイムと引き換えにタイヤをある程度温存することが出来るそうです。

燃料について

レース中は燃料が消費されます。タイヤ同様、タイムと引き換えに燃料消費を抑える走り方が出来るそうです。

また燃料には重量があるため、消費していくうちに車体が軽くなりタイヤへの負担が軽くなったりスピードが上がったりするメリットもあります。

ピットインについて

タイヤの交換のためにはピットインしなければならないので、何周目まで走ってタイヤを履き替えるのかの判断がレース展開に大きな影響を及ぼします。

ピットインでは給油も認められますが、前述の通り燃料の残量が少ないことにはメリットがあること、また給油自体にもかなり時間がかかることから、選手は戦況と照らし合わせながら何L給油してレースに戻っていくべきなのかの判断を迫られます。

ちなみにゲームなので現実と違いピットのミスや事故はありません。

天候について

GT7ではレース中に天候が変わります。特に現実でも天気がころころ変わることで知られるベルギーのスパフランコルシャンのようなサーキットだとレース中に大雨と快晴を繰り返したり、コースの特定区間だけ路面が水浸し、なんてことが起きます。

選手は手元で雨雲レーダーを確認することが出来るので、いつ頃雨が降り始めるのか、どれくらい降ったらタイヤの替え時なのかを考えながら走ることになります。このあたりは現実のレース同様運が絡みます。

事故が起きた場合

ゲーム内で車同士が接触した際、明らかに相手を不利にしてしまうとペナルティとして強制的に減速を強いられることがあります。他にも細かくペナルティに関する規則が存在するようです。

現実と明確に違う点として例えば時速250kmで壁に突っ込んでも車の姿勢さえ戻せば直ぐにレースに復帰出来るため、セーフティーカーが導入されたりレースが中断されることは無さそうに見えます(無いと勝手に思ってます)。

戦略を理解する

上記のルールや特徴を把握した上で各選手の走りを改めて見てみると、色んなかけひきを行っていることに気づき始めます。そして、レース中の各選手、各チームの有利不利が分かるようになります。

速い走り ≠ 抜かれない走り

当然選手の皆さんは速く走る必要がありますが、抜かれるわけにもいきません。なので、後ろの選手が抜きに来る時に通るラインを塞いで、結果的に自分も最速のラインを外してスピードを犠牲にする場面がしばしば見られます。つまり、複数台の車が競り合うとペースが落ちます

なので、自分が自由に走れる状況をなるべく確保したいと考えるでしょうし、速くて寿命の短いタイヤはなるべく速く走ることに専念できるタイミングで投入することが望ましいわけです。

長いように見えるサーキットでも、他の車を追い抜けるポイントというのは実は結構限られています。

  • 物凄く長いストレート(スリップストリーム)

  • 長いストレートの後のヘアピンやシケインでのブレーキング

バトルになるのは大体この辺りです。特にタイヤの性能差が出るのは後者です。なので自分が速いタイヤを履いている時に目の前に遅いタイヤの車がいると、追い抜けるポイントまで自分のタイヤの速さを活かせないままタイヤ寿命が削られていく展開になります。

スタート時にどのタイヤを履くのか問題

一般に先頭に近い場所でスタートする人ほど速いタイヤを履いて、後ろの人ほど遅いタイヤでスタートする傾向があります。

これはシンプルに前に居るという優位を手放さないのが第一だと思いますが、後ろの方でスタートする方が混戦になりやすい、つまりバトルになってペースを上げづらく、速いタイヤの美味しい部分が使いづらいということだとも思います。

トップの方で速いタイヤでスタートすると前が空いているので快調に飛ばすことが出来たり、前の速い車を風よけに使って燃料を温存出来たりしますが、スタート時はフルに燃料を積んでいて車重が重いのでタイヤの消耗も速くなるというリスクがあります。複雑ですね!

例えば2020年Nations Cup決勝の場合は?

ここで改めて2020年Nations Cupの第一戦の決勝を制した宮園拓真選手の走りを見てみます。

全12台中4位のポジションでスタートした宮園選手は最も遅いハードタイヤを選択します。このレースではハード、ミディアム、ソフトのタイヤを最低1回ずつ使う必要があったため、最低2回のピットインが必要になります。

1度ピットインするとピット作業で10~30秒程度のロスが発生するため、普通に考えれば2回のピットインで3つのタイヤを使うことが望ましいです。なので、宮園選手はスピード的に不利なハードを10周程度は履いてミディアムやソフトに履き替えるであろうことが予想されました。

が、ここでなんと宮園選手がハードタイヤを1周で捨てます。ミディアムタイヤとソフトタイヤでは残り29周を走り切る前にタイヤの寿命が恐らく尽きてしまうため、この時点でレース中に3回ピットインしてソフトタイヤを2回使うつもりなのでは?という疑念が起こります。

その後更に7周してから再度ピットインしミディアムタイヤも捨てて最速のソフトタイヤに履き替えます。ここで、3回ピットインしてソフトタイヤを2回履く戦略であることが確定します。

ここでダントツの最下位になった宮園選手は風よけになる車もいないため燃費に優しくない状態での走りを強いられますが、その代償として「目の前に邪魔な車がいない、全力アタックできる状況」を手に入れます。もちろん、全力アタックはその分集中力を必要としますし疲れるというリスクがあります。

燃料をしっかり使ってFastest Lapを叩き出しながら全力アタックを続ける宮園選手に対し、最終的にトップを争うことになるLatkovski選手はミディアムタイヤでスタートし14周もの間トップのJ.Wong選手の真後ろで燃料を温存し続けるという対照的なエコな戦略に出ます。

最終的にLatkovski選手は残り13周、宮園選手は残り11周の所で最後のピットインを終え、ソフトタイヤ同士、燃料的にもタイヤコンディション的にも宮園選手やや有利の状況での最終走行が始まります。全く異なる戦略をとってピットイン1回分の差があったはずの二人が、ここにきて5秒差以内のところにいるというのが面白いところです。

会場内は地元オーストラリア代表のLatkovski選手応援ムード一色の中ついに29周目に宮園選手がLatkovski選手をとらえ、フェアなラインで抜き去ります。そのままファイナルラップに突入し二人の差は0.5秒程度、勝った方がその年のワールドチャンピオンに向けて快調なスタートを切るという場面で最終的に宮園選手が0.032秒差でLatkovski選手を下します。

選手同士の因縁や実績が気になり始める

こういった選手ごとの戦略に着目しながら他のレースを見ていると、誰がどんな戦い方に強いか、誰と誰にどんな因縁があるかといったシナリオも感じられるようになってきます。

例えば上述の宮園選手とLatkovski選手は前年2019年のNations Cupでスパフランコルシャンのレースで

  • 14周目、Latkovski選手がプーオン手前でクラッシュ

  • リスタート後、後続の宮園選手のラインを塞ぎ衝突

  • 宮園選手は表彰台を逃しLatkovski選手は10秒のペナルティを負う

という出来事がありました。こうした出来事や見どころは至るレースで発生しており、それらを追いかけることでGTの大会を追いかけるのがどんどん楽しくなっていくのです。

ググった方が早かった

このあたりのことをレース映像を見て実況解説を聞いてなんとなく理解したわけですが、公式サイトを見に行ったら最初から全部書いてありました。なんてこった。

実車も気になる

ここまできてふと「あれ、これって実車を観戦するのと大体同じことしてない?」と気付きます。

気になって調べてみると、グランツーリスモの公式大会のルールが実車レースのルールを模して作られていることを理解します。そして、グランツーリスモの中に存在するサーキットでF1 GPが開かれるとどこが勝負どころか分かって楽しいということにも気付きます。先日のベルギーGPはすごかったですね。圧倒的な強さで優勝するフェルスタッペン。

実車はクラッシュがあれば人命に関わるからこその限界ギリギリのスリル、グランツーリスモは人が怪我をすることが無いからこそ限界を突破出来ることのスリルがあってどちらも熱いものだなと思いました。

また、グランツーリスモで強い人が実車のレースにも参戦されているというのがとても興味深いなと思いました。体力的にも移動が多くてハードだと思うので、どうか怪我無くレースして頂きたいものです。

グランツーリスモから実車に参戦したレーサーの話でいうと9月公開の映画「グランツーリスモ」がGTプレイヤーからレーサーになったヤン・マーデンボロー氏を描いた実話ベースの作品ということで非常に期待が高まります。

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