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今は熟成酒が好きじゃなくても熟成とはうまく付き合ったほうが楽しいという話

世間は自粛モードにもかかわらず、先日は congiro 氏主催の蒸留酒の会の末席に入れていただきました。アルコール度数40度以上の酒しか認めないという(蒸留酒なだけに)ハードボイルドな企画で、文字通り身体の内部から消毒されまして、最後にコロナビールを頭から浴びるというバプテスマを受け生還いたしました。
楽しかったです。

お酒のご紹介です。

かたふね

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新潟県上越市にあります武田酒造店。
創業は1866年、現在の代表である竹田成典氏は9代目です。

私が30代前半からずっとお世話になっている酒販店兼居酒屋さんが新潟県糸魚川市にありまして、4年前の夏にお邪魔したときに頂いたお酒になります。
夏のにごり酒です。夏に火入れのにごり酒。

頂き物で悪いんですが&かたふねさんには申し訳ないんですが、まあ食指が動かない。
夏にすっきり飲めるように設計しました!と言われたとしても、そもそも日本酒である以上、どうしても重さを感じてしまうんですね。
普段は夏はビールとチューハイで炭酸ヒャハー!日本酒イラネ!してますから。
そんなわけで、6月出荷のこのお酒、8月に頂いた物にもかかわらず、しばらく冷蔵庫に眠っておりました。

で、その年の秋。
封切して飲んでみたら、結構ドライで、さっぱりスッキリとしたにごり酒でありました。
そして燗にして飲むととても塩梅よかった。でもなんでしょうね、正直そこまでグッとくるお酒ではなかったんでしょう。
時間を置いては少しずつ飲んで味を確認しながら、また冷蔵庫の奥に眠ることになります。

4年の歳月が流れ2020年。
毎年ちびちび飲んでいた夏のにごり酒クンは立派に育ちました。

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上立ち香は梨のような果実味のある香り。
口に含むと、上品ながらもぽてっとした甘みが舌先に乗っかってきます。
遅れてチョコレートのフレーバ、喉奥にビター。サイドからは果実感のある酸が出てきます。さしずめイチゴチョコレート。
締めは苦みを残して。余韻は長めで、カラメル香をふんわり残します。

果実感を残しながら、4年の熟成が加わって稀有な味になりました。
同じ方向性で、コアラのマーチと合わせるとピッタリ。笑

裏ラベルを記載しておきます。

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原材料名:米(新潟県産)、米麹(新潟県産米)
精米歩合:65%
アルコール分:16度
製造年月:28.6.20

頂き物なので値段はわかりません。
お世話になったお店のリンク貼っときます。

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基本的に早飲みがモットーの私ですが、本意・不本意にかかわらず、自家熟成させることも多いです。
自分でも不思議ではあるのですが、家で熟成させたお酒で失敗したことはあまりありません。多少はありますよ、多少はね。

日本酒に限らずどんなお酒でも、酒販店で購入できるようになっているということは、その時すでに飲み頃だと私は思っています。熟成が必要なお酒は、売られている段階ですでに熟成されている。

それでも自分で熟成させようと思うお酒とは、買ってきた段階では自分の好みに合わなかったお酒ということです。
まだ固いなとか、寝かせたら面白くなりそうとか、何度か熟成を繰り返すことでわかってくることもありますが、単純に「あ~これ美味しくないな~」と思ってそのまま放置し、しばらく経ってから飲むと別の感想が出てくることも多いのです。

家飲み用に日本酒を購入したら、もし好みに合わなかったとしても、ほっとくだけで旨くなる可能性は大いにあります。酒蔵が、酒販店が、飲み頃だと判断して出荷販売したとしても、買った人にとっての飲み頃とは限りません。日本酒の熟成は難しくないので、ぜひ試していただきたいですね。

ただ、前述したように明らかに失敗するタイプのお酒は存在します。
熟成に向かないと思うのは、口当たりが非常に軽快なタイプのお酒。
ジュース感覚で飲める低アルコールのお酒とか、うまみ成分が少ない繊細なお酒は、寝かせると味が乗るどころか枯れていってしまうことが多いように思います。
枯れてしまうと、ただ渋み苦みだけが前面に出た味わいになってしまう。これはもう美味しくないわけです。
上手く寝かせれば美味しくなるのかもしれませんが、なかなか難しいように思います。早飲みしちゃったほうがいいお酒と言えます。

逆に、熟成に向くと思うのは、うまみの強いお酒や雑味の多いお酒。
特ににごり酒は、比較的短時間で面白い変化をすることが多いので、お勧めしたい所存です。

生酒の熟成は、個人的に生熟の香りが苦手でリスクが大きいので滅多にやらないのですが、たまに矢鱈と美味しい生熟にごりもあるので一概には言えません。活性にごりで新酒の時期に穴開き栓で出荷されるお酒も多いですが、もし熟成させるのなら穴はテープなどで塞いでおくほうが良い方向に向かうと思います。

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ちなみにかたふねですが、銘柄としては何度もリピートして購入するほど好きなお酒です。

斎藤さん。今年は行きます。

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