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キラ星たちが全国で名を轟かす舞台袖で舞台を舞台たらしめる屋台骨たちの話

花粉症の症状にそろそろ悩まされそうな時節となりました。
私の花粉症の症状は鼻詰まりと喉のかゆみ。
対策はアレグラに代表される鼻炎薬と、越婢加朮湯という漢方薬。症状がひどいときはゾリン系の点鼻薬も併用しますが、おおむね飲み薬のみで越粉します。

お酒のご紹介です。

菊姫(きくひめ)

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石川県白山市にある菊姫合資会社。
創業は古く、安土桃山時代に屋号「小柳屋(おやなぎや)」として出発します。明治時代に合資会社となり、昭和16年には宮内庁御用達の日本酒として選抜。昭和から平成にかけて、全国清酒鑑評会で23年連続して受賞。
現在は「米の旨みを生かした清酒本来の味」を目指し精力的に酒造りを続けている・・・と。
ま、全部HPに書いてあります。

飲んでみましょう。

上立ち香はふんわり漂う米の香り。この香り、例えようがないんですが、果実感ともヨーグルトとも違い、穀類や枯草の系統。
口に含んだ時には明らかに「旨み」を感じます。「出汁」ですね。遅れてサイドから果実味のある酸、甘み。
中間はなだらかに膨らみます。含み香には奥のほうにビターな熟成香。これがのど越しに引っかかる甘みとくっついて、余韻を高級感のあるものにしています。

総じて、非常に軽快ながら熟成された丸み、バランスの取れた香りがあり、普通酒というカテゴリ、価格帯からも信じられないほどクオリティは高いです。
個人的には「室温」が一番ポテンシャルを発揮できる温度帯。
冷たくても上げすぎても魅力が損なわれてしまいます。何もせず部屋に置いといて、飲みたいときに栓を抜いて猪口に注いでグッと飲むのがよろしい。

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裏ラベルを記載しておきます。
菊姫 姫
普通酒 山廃仕込み
原材料名:米、米こうじ、醸造アルコール、糖類
アルコール分:14~15度
製造年月:2019年1月

価格は1.8Lで1,870円(税込)。
購入は東京都調布市の増岡酒店です。

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日本酒は大別して「普通酒」と「特定名称酒」に分かれます。

特定名称酒とはなにか?それは、「酒造技術の発達と、消費側の多様化されたニーズの増加に伴って、国が製法品質を定めたもの」。

純米、特別純米、純米吟醸、純米大吟醸。
本醸造、特別本醸造、吟醸、大吟醸。
これらはすべて特定名称酒に表示することができる表記です。それぞれ製法に明確な基準があり、その基準を守らなければ表記してはいけない。

さて、特定名称酒が定められたのは平成16年。比較的新しい制度と言えます。
その背景には、酒造技術の発達によって、様々な製品が作られるようになったこと。そして全国的に地酒が他の都道府県に渡るようになったこと。
消費が多様化し、蔵も技術革新によってユニークな商品を地元外にも出荷するようになった。その結果、産地だけでははかれない魅力・味わいが生まれるようになった
ただ、ラベルだけ見てもわれわれ消費者にはその違いが分かりません。そこで、それを消費者に分かりやすく表示するために、特定名称が必要になったのです。
そういう背景があるわけです。

そして、「特定名称酒以外」を普通酒と呼びます。

普通酒は特定名称を付ける必要がない清酒のこと。つまり普通酒とは、酒蔵の地元で普段から飲まれている清酒を指します。普通とは普段のことなのです。

私はこう考えています。
地酒蔵の普通酒は、その産地の料理とともに、日ごろから飲まれているお酒です。
地物の野菜、魚、肉。それらを邪魔しない、時には膨らませる、そんなお酒を目指して造られている。
ペアリングではなく、マリアージュでもなく、ファミリー。

私は見たことのない、特定名称のついていない日本酒(しかもラベルがモダンではないとなお良し)を見かけたら、つい手に取ってしまいます。
そしてどこにある蔵のお酒なのか確認し、その産地の気候、名物、郷土料理なんかを思い浮かべます。
するとそのお酒が寄り添うさまが立ち現れるのです。

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菊姫の普通酒の中で、今回のお酒「姫」が一番好きです。バランスがとてもよく、ずっと飲み続けても飽きることがない。
今日もつらつら書きながら2合ほど。良酒は減るのが早いです。

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