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美味いはあとからやってくる

いまは2020年2月。
新酒も一通り出そろい、うまみの乗った生酒がたくさん出回る時期です。

お酒のご紹介です。

自然郷(しぜんごう)

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福島県西白河郡にあります大木大吉本店のお酒です。

銘柄「自然郷」の歴史は古く、1974年に発売された「無添加酒-自然郷」にさかのぼります。
当時より地元農家によって無農薬栽培された米のみを原料として醸造することを目指して命名されたと。
ま、蔵のホームページに記載されていることなんですけどね。

ともあれ、いただいてみることにします。

上立ち香は青リンゴとラムネを足したようなさわやかなもの。
口に含むと、出会いは舌先に感じられる微炭酸。
スッとそのまま消えるかと思いきや、かわいらしい甘みとラムネ系の爽快な含み香が顔を出します。遅れて唾液腺の横から酸。
後口はガス由来の渋を残してフィニッシュ。さわやかな残り香はあれど余韻は短めです。

総じて、非常に軽快な口当たりとバランス。
アルコールを感じさせないジューシィな味わいで、クイクイ飲めてしまう危険なお酒です。
油を使った料理と相性良さそうです。

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裏ラベルの規格を記載しておきます。
自然郷 SEVEN 中取り
純米吟醸
精米歩合:60%
アルコール分:15度
2020年1月出荷

価格は1.8Lで3,025円(税抜)。
購入は東京都豊島区にあります地酒屋こだまです。

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私が自然郷を初めて飲んだのは20代後半。
当時は果実感のあるフルーティで華やかなお酒に傾倒していました。というかそれしか飲めなかった、が正解だと思います。そんな私には自然郷は雑味が多く感じられ、美味しいと思えなかった。
それなのにいま飲むと、あの頃の自分とはまるで別人のように美味しく感じられる。あのときの酒とはまるで別の酒のように感じられる……

もちろん、当時と今とで蔵の目指す味の着地点が変わっている部分もあるかと思いますが、
自分の味覚がレベルアップしたのは確固たる事実として、受け止めておきたい。

小さい頃は食べられなかったものが、飲めなかったものが、大人になると美味しく感じられる。日本酒とひとくくりにしても、味わいはまさに千差万別で多様すぎるほど多様化している。
その中で自分にぴったりの銘柄を見つけるのも愉しみではありますが、いつのまにか新たに獲得した味覚に目覚めることも大いにあるわけです。
根っこは保守的でも、意識は革新的であれ。

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生酒万歳な2020年2月にも関わらず、今回ご紹介のお酒はなんと火入れ
無濾過、中取り、原酒ときて生ではないのです。
でも、だからこそ冬の寒い時期にお勧めしたいですね。
燗も良いですよ。

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