お酒に合う料理ってどういうこと?
先日41回目の誕生日を迎えまして。
お祝いされて嬉しい歳でもありませんが、お刺身や天ぷらをいただきました。
私は温かいご飯と刺身を合わせるのがあまり得意ではなく、それはご飯の香りと刺身の香りが合わないと思っているからです。
ですが日本人の多くの人は温かいご飯で刺身を食べるのを美味しいと思っている様子。人によって味覚って異なりますね。
お酒のご紹介です。
飛露喜(ひろき)
福島県河沼郡会津坂下町にあります合資会社廣木酒造さん。
説明不要の有名銘柄です。なので余計な説明はしません。
飲んでみます。
上立ち香は果実味のある吟醸香。
口に含むと、ふんわりした上品な甘みが舌先に乗っかります。次いで唾液腺の下から酸味。
ジューシィさとボリューム感の両立を狙ったような中間、含み香はしっとりと落ち着いた、若いバナナ様の香り。下の真ん中に苦みを置いていきます。
後口は酸味を少し残して。バニラアイスを食べた後のようなふんわりした余韻です。
裏ラベルを記載しておきます。
純米大吟醸 生詰
原材料名:米(国産)、米麹(国産米)
精米歩合:麹米40%掛米50%
原料米:山田錦100%使用
アルコール分:16度
製造年月:令和2年1月B
価格は2,700円(税抜)。
購入ははせがわ酒店です。
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冒頭で触れた話の続きです。
餃子に合うアルコール飲料といえばなんでしょう?
……ビール。正解です!焼き餃子とビールの組み合わせは鉄板だよね‼
……ワイン。試したことないからわからない?いや、最近は餃子とワインのお店なんかもあるらしいですよ。
……日本酒。うーん、合う餃子もあればそうでないものもある?
お刺身に合うお酒といえば?
……やっぱり日本酒でしょう!いや、甘くてフルーティな日本酒とは合わないかも?
……ワイン?醤油付けた刺身だとあんまりだけど、酢でマリネしてあれば、白ワインのイメージ?
……ビール?気にならない人もいると思うけど、生臭さが増幅しちゃってニガテだなー。
いろいろな意見あると思います。
でも、そもそもお酒に合う料理、食べ物ってどういう意味なんでしょう?
人間には先天的な味覚と後天的な味覚があります。
先天的な味覚とは、生まれながらにして持っている防衛本能を基軸とした味覚。人間にとってのエネルギー源である甘み、体を形成するたんぱく源である旨み、体の調子を整えるミネラル源である塩味。これらは生きる上で必要な栄養素であるため、先天的に好ましい味覚として実感されます。
後天的な味覚とは、生まれてから成長していく過程で獲得する味覚。
人間はもともと、毒を知らせる苦みや腐敗を知らせる酸味を受け付けません。しかし、甘みや旨み・塩味と結びつき、自分の親や信頼する人が食べさせてくれるおかげで、毒ではない苦み・腐敗ではない酸味を獲得していきます。
腐敗ではない酸味の代表である柑橘類、酢やヨーグルトなどの発酵食品、毒ではない苦みの代表であるコーヒー。これらは小さい頃は苦手だったはず(大人になっても苦手な人もいますが)。
これらの苦みや酸味を美味しいと感じるようになることが、後天的な味覚と言えます。
お酒は後天的な味覚の代表といえます。
なぜなら子供のころに飲めば確実に毒だから。
成長し、身体的な成熟と後天的味覚の獲得によって、ようやく「美味しい」と思えるようになる。
そしてお酒とそれに合う食べ物(合わせることでより美味しい)の実感には、さらに住んでいる地域や国の食文化の獲得が非常に重要になります。
前置きが長くなりましたが、お酒に合う料理、食べ物ってどういう意味かといえば、あなたが今まで獲得してきた後天的味覚と遭遇してきた食文化が、合うと判断した組み合わせである、といえます。
餃子にビール、チーズに赤ワイン、お刺身に日本酒、そもそも揚げ物にはビールでしょ、魚の塩焼きなら日本酒なんじゃない、肉料理って赤ワインだよね、これらはすべて、食文化として確立されてきたものを自身の後天的味覚として取り込んだもの。
逆に、合わない組み合わせというのは、その組み合わせが後天的味覚として獲得されていない、ということを意味する。今は美味しく感じなくても、将来美味しく感じるようになる可能性だってあるわけです。
つまり、あなたが外食をした店の人にお勧めされた組み合わせ・ペアリングは必ず美味しく感じるわけではなく、それは自分が培ってきた味覚、たどってきた食文化に大きく影響される。
前述しましたが後天的味覚の獲得には、親や信頼する人が食べさせてくれることが非常に有効です。
あなたが外食をした店で出されたペアリングに感動し、新たな味覚に目覚めたと実感したのなら、それはその店のご主人を信頼している証拠です。
ぜひ愛を伝えましょう。
きっとその奥の新たな扉を開けるきっかけを与えてくれるでしょう。
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お刺身に天ぷら。
飛露喜の純米大吟醸とともに。
相性バツグン!