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誰も書かない博多と福岡の違い:博多祇園山笠篇

博多は本日、「追い山ならし」という博多祇園山笠の予行演習のため、朝からお尻まつり。
(山笠エリアがお尻で埋め尽くされるので、後藤は山笠のことを別名「お尻まつり」と呼んでいる)

追い山ならしとは、博多祇園山笠のクライマックス「追い山」のリハーサルのこと。
本番が朝4:59からスタートするのに対し、追い山ならしは15:59スタートのため、早朝に起きる自信がない人でも見物できるのが特徴のひとつ。
一番山笠から順次「櫛田入り」して奈良屋町という町の角の廻り止め(ゴール)までの約4kmのコースを全力で舁くのだが、一番山笠は追い山笠同様、「櫛田入り」の際、山笠を止めて「博多祝い唄」を歌うことが認められている。

「櫛田入り」「全コース」ともに所要時間を計測するので、勢いは本場さながらというのも毎年見物客が多い理由だったりする。

こちらが櫛田神社

というわけで、櫛田神社前の通り沿いに株式会社フリーランスの事務所があるため、毎年山笠の季節になるとたくさんのお尻に遭遇するほか、車での移動が難儀になるなど、氏子ならではのエピソードが結構ある。

事務所の入っているビルには山笠のために借りられている部屋がある。年に1か月くらいしか使ってないはず。ほかにも、山笠のときにしか使わない場所が民家の隣に確保さていたりもする。

今日はスタッフに「追い山ばい」と伝えて昼から現場に出たのだけど、「なら15時で帰りまーす」と連絡が。うむ、それでよき。

ある年なんかは、「ちょっと5分ほどこのままお待ちください」と、山舁きの皆さんに車を停められ、数十体のお尻を前に山が通り過ぎるのを待ったこともある。

ちなみに高校の後輩が東大からTBSに入社したのだが、まさかの入社1年目から、山笠の15日間は会社を休んで山に参加していた。
新入社員に14日以上の有給休暇があるとも思えないのだけど、なんとなく、「山笠だから」という特別ルールがあるのではないかと当時は驚愕した。

そして現在、ある病院の壁面塗装のやりかえの打ち合わせを進行しているのだが、依頼している塗装屋さんが山舁きのため、
「15日からでいいですか?」
ときていたのだけども、あいにくの天候で日延べしたものの、
「晴れとったら山担いだあと塗装工事するつもりやったん?体力おばけやん!」
と後藤はなうで震えている。

さて、福岡に住んで結構長い後藤だが、とはいえ正直山笠の文化を息をするように感じるようになったのは、やはり櫛田神社周辺にオフィスを引っ越してからになる。
そう、県外の方は「福岡といったら山笠」という風に思っておられる方も多いと思うのだけども、実は案外そうでもない。

実際、山舁きをする人以外には山笠は「見るもの」だし、追い山は朝4:59という恐ろしい時間からスタートだし(ちなみにびっくりすることにちゃんと地下鉄が動く)、毎年だいたい雨に遭うので、
「テレビで見ればいいや」
という人も結構多い。むしろ、観光客のほうが熱心なのではないかと思う。

そう、ここで誰も書かない福岡と博多の違いを勇気を持って書いてみたいのだが、実は、山笠に関わりのある人は「博多」と呼ぶが、関わりのない人は「福岡」と呼ぶことが結構多い。後藤調べだが。
つまり、「博多」には、「明太子」「豚骨ラーメン」などを背負っている県外から見たブランドとしての「博多」と、「山笠に関わっている人間」としての「博多」の二つの文脈があるのではないかと勝手に思っている。

ついでに言うと、福岡市民のうち、ネイティブ(生まれてからずっと福岡市民)はなんと6%しかいないということがわかっていて、

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