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ラップを貸してくれてありがとう:壱岐篇

日本人は他人の顔色や評価を伺いながら発言する性質が強い。これは幼い頃からずっとそう感じてきた。
しかし。
いつからだろうか、その「伺う」が臨界点を突破し、「まるで総論」のような大きな顔をし始めたのは。

奇しくもTBSドラマ『不適切にもほどがある!』の大ヒットで、「まるで総論」状態の現在に対し、1986年からタイムトリップしてきた阿部サダヲ扮する小川市郎が暴言をぶちかましまくってくれる小気味よさが大人たちにウケにウケまくっている。

なんだよ、やっぱり「まるで総論」なだけで、全然総論じゃないんじゃん。
と思うのだが、だったらここはドミノ倒しと同じく、最初の一歩が肝心だと思うわけである。さぁ、勇気をもって一歩を踏み出すのだ!第二の阿部サダヲのやうに!
「好ーきーなものは好ーきと 言える気持ち 抱きしめてたいッ!」とマッキーが唄ったやうに!
(こういうときに奮起してしまう性格は昔から変わらない、のだが、10代まではいまよりももっとおそろしく正義漢だった…これでも丸くなったんだゼ~)
※何をもって正義とするかは主観のお話、と先に釘を打っておいた上で。

というエピソードを、先週の壱岐出張の派生でお届けしたいと思う。

壱岐で出逢った「否・総論」

先週ご紹介した壱岐出張。
二日目にガイドさんたちと一緒に壱岐島内の日本遺産をめぐったのだが、ランチは「一支国博物館」のカフェスペースで古代米のキーマカレーを頼んだ。ちなみにこの博物館は長崎県の埋蔵文化財センターを兼ねていて、「オープン収蔵庫」では収蔵庫の収蔵量が見える化されており、見学ができる。
『魏志倭人伝(ぎしわじんでん)』に記された「一支国(いきこく)」の王都に特定された原の辻遺跡の環濠集落跡地を見下ろせる高台にあり、平野に溶け込むデコラティブな設計は、黒川紀章。

で、キーマカレーに戻るが、前日の晩餐がホテルの社長の大盤振る舞いで(毎度そう…ほんと皆さん、壱岐に行くことがあればご紹介したい、朝食のお米も泣けるほどうまかった!)お腹がさっぱりすいておらず。
「ご飯少なめにできますか?」
と聞いたら
「分量が決まってるんですよ~」
と、提供の際にラップを貸してくれた。

20名くらいでぞろぞろっと寄っただけでも迷惑なのに(通常は数名ずつくらいしか想定されていないオペレーションのはず)、後藤の番号札をしっかり記憶してラップをトレーにのせてくれるところからはじまって、もう、胸アツなわけである。

いそいそとより分けて、約半分をにぎにぎ。

この古代米おにぎりは、この日福岡に戻った夜の立派な晩ごはんになったのであった。

ということで、この顛末をSNSで投稿した。

「コンプラとか非接触とかわーわー言うけどさー
 これでいいやん?と思うのは私だけ?
 真夏やあるまいし、たかだか半日くらいで悪くなんかならんって!
 だいたい、それでなんかあっても自己責任やろうもん、と
 いちいちガーガー言うマイノリティのために
 どんどん不自由になる社会はPOISONである
 後藤は初対面でも、ラップを貸し借りできるコミュニケーションのほうが好きじゃ!!!」

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Podcast「チノアソビ」では語れなかったことをつらつらと。リベラル・アーツを中心に置くことを意識しつつも、政治・経済・その他時事ニュー…

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