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どんなに訓練しても、事故は起きる:献杯篇

今週は、奈良と伊勢に行っておりました。
3日で5万歩以上歩きました。

あーもう帰らないといけないのか、と思いながらの昨日、伊勢から福岡へ戻る途中。
陸上自衛隊の手りゅう弾のニュースを目にし、言葉になりませんでした。

手りゅう弾というのがどんな爆発の仕方をするのかがわからないのでなんとも言えないのですが、破片で亡くなるということは、散弾銃のような飛び散り方をして、それが急所に命中したか、血管から入って心臓まで達してしまったか…そんなことを想像しながら、この奈良伊勢旅の目的であった、初日の大和西大寺駅訪問のことを思い起こしました。

そう、散弾銃らしきもので撃たれてしまった、安倍さんのことを思い起こしたのです。

実は今回の旅、安倍さんが撃たれた場所に行きたいという一心で奈良へ行くことを決め、だったらいままで行けなかったお伊勢さんにも行ってこよう、となったのでした。

普段プライベートで旅行に行くことがほぼないのですが、これまで国葬、安倍さんのお墓まいり(去年の安倍さんのお誕生日に、山口のお墓まで行ってきました。お墓に着いた瞬間だけ土砂降りでした)と、このときだけは日程を確保して旅をしております。

ただ、その大和西大寺駅で感じたことは、まだ文字にできないので、今日は話を陸自の亡くなった隊員さんに戻します。

いま、これを書いているリアルタイムで、亡くなった隊員さんの元上司の方のSNSの投稿に対し、献杯の嵐が吹き荒れております。

後藤は飲めないので、コーヒーで献杯しつつ、この記事を書いております。

国防に興味を持つようになってから、自衛隊の隊員さんの思いがけない事故というニュースを何度も何度も目にしてきました。
きっとそれまでもニュースになっていたのだろうけど、私がスルーしてしまっていただけなんですね。

先週、護衛艦「くまの」というステルス艦が博多港に来たので見学に行ってきましたが、

もがみ型の2番艦「くまの」

この「くまの」に乗っている哨戒ヘリ「SH-60K」は

先月末、衝突事故で墜落したヘリと同じものです。

つまり、訓練中にも、事故は起きます。
どんなに防ごうと思っても、ゼロにはなかなかならない。
それでも、彼らは職務を全うすべく毎日訓練をしています。

現在、能登半島沖の被災地支援に自衛隊をもっと早く送り込めばよかったとか、まだ足りないといったことを言っている人もいるそうですが、そもそも彼らはこうした有事の際にすぐに対応できるように、日々訓練することが「仕事」なんです。
(このことを「練度を上げる」と言います)

つまりそれは、矛盾したことをあえて書きますが、現在有事対応をしている隊員さんが多ければ多いほど、訓練の時間が削られてしまうということにほかなりません。
そもそも自衛隊の救助の考え方には、「民間の業者さんに託せるものには手を出さない」というものがあると聞いています。
そう、自衛隊が全部復興させるのではなく、「これは民間ではどうにもならない」というものだけを対応して、あとは民間に任せ、仕事として運用してもらう。
そのほうが、変な話ですがその業種の方の経済を逼迫させないことにもつながります。
湯水のように支援物資が出てくるわけでも、救難リソースを繰り出せるわけでもない。
その解像度が、まだまだ日本の報道には足りないよなぁと、しみじみ思います。

ゆえに、自衛隊の初期稼働が遅かったと各社が報道していましたが、それは逆で、報道機関が「現地に来れるようになる」ところまでを済ませてくれたからこそ、彼らが報道という名のもとに、足を運べたというのが事実。
また、今回の能登半島の震災では、これまでにない、そしてこれから必要だとされている陸海空が一体となった救助活動が実施されました。
(という話は以前にも書かせていただきましたが)

これを「Joint Task Force」と呼びます。
ゆえに、能登半島沖に駆け付けた海自の輸送艦「おおすみ」の上に、陸自の輸送ヘリ「チヌーク」が乗っていたのです。

そんな日々練度を上げ、時に思わぬ事故に遭うことも厭わない覚悟で訓練されている自衛隊の活動を、もっと知る必要があると思って長年国防を趣味にしてきていますが、このたび、予備自衛官補の試験に合格しました。

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Podcast「チノアソビ」では語れなかったことをつらつらと。リベラル・アーツを中心に置くことを意識しつつも、政治・経済・その他時事ニュー…

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