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100点じゃないとダメなんです委員会:母娘の因習篇

これは何につけても同じことが言えるのだが、Podcastをやっていて一番勉強になるのは自分自身である。そう、やっている本人が一番学びが多いのだ。
チノアソビのように、自身が内包する意識の有無を問わないバイアスを自覚せざるを得ない属性のものは特にだ。そのバイアス外にいる人に、自分の経験や意見を伝えるのは一筋縄ではいかない。
だからこそ、人は自分と同じバイアスを抱える人を「仲間」としたくなるのではないかと思う。

しかし、それでは真の「対話」にはたどり着かない。
(詳細は先週公開の「ソクラテスの弁明」をお聞きいただきたい)

ということで、このバイアスを「客観的な言語」にするという作業がなければ、「あいつ何言ってんの?」以上の感想を得られることはなく、プロレスにすらならない。
そしてこの作業は、残念ながら現在の義務教育ではなかなか学べないどころか、大学でも教えてくれるところはそんなにないように思う。

だからこそ、チノアソビはこのメタ認知とリベラルアーツを様々なテーマを通して自ら体現しつつ実行していくという、かっこよくいうと思考実験の場なのだが、その過程で発見できた、とあるバイアスについて紹介したいと思う。


少子化を考えるシリーズが内部で炎上中

先日公開した少子化シリーズ第三弾について、チノアソビ内部で相変わらず喧々諤々している。
論理が破綻していると林田が主張し、後藤は論理云々を言いたいのではないと返す。論理の話だけされても言いたいことに通じないのでは意味がなく、「そこは理解している」と言われても、理解だけされても実態が変わらないことにPOISONと言いたいのだ、という「論理的思考がわからないバカな女と、論理的思考で話す頭のいい男」みたいな座組になっていて正直腹が立つ。

まぁ、とはいっても他者に対しては腹は立てていない。ただ、どうしても、「君たちが女性に生まれて色々と大変なのはわかるよ」という、一見「わかってますよ」のベクトルを差し出され、それに対し「理解が欲しいのではない」としか返せない自分に一番腹が立つのだ。
(「は?論理的思考だけが偉いんか?」というポジショントークにまわる小手先すら赦せず、あくまでも相手のテーブルさえすべて凌駕せねばならないと思ってしまうこの思考こそが今回のテーマでもある)

そして、ずっとこのことを考えながら、色んな人と話をしてみた。
その結果、「あ、そうか、そもそもの話、バイアスが別にあるんだ」と気づいたことを今回は書いてみたい。

100点をとって当たり前だと言われて育った娘たち

これを書くと「やっぱ九州男児と九州の女やべえ」と言われることはわかっているが、それでも書く。でないと、先に進めない。

私の周りの女性のうち、何パーセントなのかまでは数値化できていないが、義務教育の砌、「100点をとるのが当たり前」として育てられた女子がいるという現象についてお伝えしたい。
100点が当たり前。99点は怒られる。できて当たり前、なぜできなかったのか。その1点はどんなミスなのか。次はどうすればそのミスを防げると考えているのか。

小学生の頃から100点をとることがデフォルトであり、褒められて育った記憶のない女子。しかも、このバイアスを自分に向けるのは、同性である実母。逃げ場がない。

このプレッシャーはなかなかにエグい。大人になって、たいがいのことでもプレッシャーを感じずに渡り歩いてこれたのは、きっとこの「100点じゃないとダメなんです委員会」に所属する母のお陰ではあるが、母の言動は別に娘のそんな将来を想ってのことではないとも思う。

ここまで読んで頂いて「やば、それ虐待やん」とお思いのあなた。
違うのだ。母は真剣に、自分の娘はできる子どもだと信じ、そうでないと妻であり嫁である自分のアイデンティティが崩れるという恐怖感からこのバイアスを振りかざしていたのだと私は思っている。

この「100点じゃないとダメなんです委員会」と私が勝手に命名した委員会、の被害者。すぐ近くに結構いた。ここまで話してみて、私もやっと気づいた次第だ。40年も生きてきて、えらく遅い気づきだと思うが、遅くても気づきは気づきなので綴っておく。

次なる委員会を生まないために、どうすればいいのか

断っておくが、私は母を恨んではいない。事実、このバイアスのお陰で、己の能力以上の成果を出せてそこそこ育ったと思っているからだ。
(しかしうちはここで父親から「その割にこの程度」という別のバイアスがかかるので強烈ではある。まぁそれはまた、パターナリズムとして書きたいと思う)

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Podcast「チノアソビ」では語れなかったことをつらつらと。リベラル・アーツを中心に置くことを意識しつつも、政治・経済・その他時事ニュー…

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