見出し画像

ジャパンタクシー位置情報取得で行政指導について

昨日、日経電子版で位置情報で日常「捕捉」、ジャパンタクシーに行政指導というニュースが出ていました。

ジャパンタクシーのアプリは、近くにいるタクシーを呼んだり、待ち時間を調べたりする便利機能に使うためにGPSなどで位置情報を集めています。

それ以外に、アプリは車内のカメラ付き映像端末と連動し、走行経路沿いの飲食店や不動産の広告を流したり、カメラで乗客の性別を判断して流す内容を変えていて、さらに下車後も位置を追跡し、実際にその店を訪れたかどうかも調べている。
位置情報自体は、個人情報ではないが、個人情報委員会は顔認証データに位置情報などを組み合わせる手法に対し、ユーザーに十分に説明せずに位置情報などを利用したとし、行政指導をしたという内容でした。

私もジャパンタクシーのアプリを使っている。このアプリは利便性が高く、非常に重宝しています。
特に最近、東京都内の繁華街では、曜日や時間帯によっては、タクシー難民になりかねない。
事前に配車し、目的地に数分前に行けば、乗車できるのは非常に便利です。
また、車内の情報端末で、顔認証で性別を判断してその人に有効な広告を出したり、パーソナライズされた情報を提供するのは、ユーザーにとっても意味のない広告が流れ続けるよりかは、有効な情報であると思われます。
タクシーを広告プラットフォームとする新たなビジネスモデルは、非常にチャレンジングで、素晴らしいと思っています。

さて、ではなぜ問題となったのでしょうか。

ポイントは、個人情報のそもそもの誰の権利者か、という個人情報の基本的な概念とと、位置情報における個人情報の取り扱いに関する解釈がどのような流れになっているか、という2つがあると思っています。

個人情報保護法の基本的な考え方は、個人情報は誰に帰属するか。当たり前ですが「個人に帰属する」ので、個人情報は、取得やその利用については個人の了解が必要だということになります。日本の個人情報保護法が厳しいという意見もありますが、今の日本の個人情報保護法はこういった解釈となっています。

また、位置情報における個人情報の取り扱いに関する解釈の流れが重要だと思います。

平成 28 年度総務省委託事業で「位置情報に関するプライバシーの適切な保護と社会的活用の両立に向けた調査研究」を野村総合研究所が発表しています。(出展:http://www.soumu.go.jp/main_content/000492789.pdf

詳しくは、リンクを見ていただければと思いますが、要点だけいうと、個人情報は「十分な匿名化」が必要であり、有効な同意が必要であること。また匿名化して集めた情報である匿名加工情報は、作成時の公表、第三者提供時の開示、識別行為の禁止・安全管理措置が義務づけられるべきという見解がなされています。

現在のところ、この流れを組んで、個人情報保護委員会は動いていると思っておいた方が良いでしょう。

ジャパンタクシーは、位置情報と顔認証情報で限りなく個人を特定できそうな情報に対して、十分に匿名化はしていたと思われますが、ユーザーへの開示について、もう少し配慮が必要ということで指導を受けたのだと思われます。

作成時の公表や第三者提供への開示をどのタイミングで、ユーザーに説明するかは、実際にはかなり難しい問題です。

あまりにも利便性を損なう開示方法だと、そもそも不安を煽ってしまいますし、情報が細かくて顧客体験を損なうとサービスの離脱を招きかねない。

どのくらいの開示でユーザーが認識するかも、かなり曖昧なところです。

個人情報利用の通知も含めて、ユーザーが認識し、利便性を損なわない絶妙なUXが必要であるということが、現在のところなのでしょう。

なかなか難しいですが、位置情報や顔認証情報を取り扱うということは、こういったこともしっかりケアする必要があると思います。

マーケターとしては、位置情報を使ったパーソナライズは、広告としては非常に魅力的な手法になりつつあります。やはりユーザー行動情報に沿って広告出稿できることは、費用対効果が高い手法であるし、ユーザーも情報の多い時代において、自分自身に合った情報を手に入れることができます。  

今後も、個人情報の取り扱いを最大限留意しつつ、位置情報や顔認証情報を使った手法は、マーケティングにおいて必須な手法となっていくと思っています。今回の事例を教訓に試行錯誤して、前進していきたいですね。

------------------------------------------------------
こちらもよろしければ見てください♪
HP: https://swankyconsulting.amebaownd.com/
Twitter: https://twitter.com/Kou_Goto
@Kou_Goto
------------------------------------------------------



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?