見出し画像

「推しの結婚」という阿鼻地獄について

はじめに

若手俳優の結婚について、長い間考えてきました。

結論から言うと、私は推しが結婚してもいい。
いいけど、絶対に、結婚したことをご報告しないで欲しい。絶対にバレず、隠し通して欲しいのです。
これから書くのは、私の暴論であり、祈りです。


急に「人間」を見せられる恐怖

若手俳優が結婚のご報告をするたび、界隈は盛り上がります。
お気持ちを表明する者、震え上がる者、「推しのめでたい話を喜べない奴はファンじゃない」とかわざわざ余計なこと言う者…。
私もその度にワナワナと震え、おしっこをチビり、鍵垢で荒ぶってきました。次に結婚するのは私の推しかもしれない、そんな見えない恐怖が私を狂わせます。
推しが公式に誰か1人の女のものになる。
こんなに精神を力で殴ってくる事象がこの世に存在していいのでしょうか?自分で文章にして震えました。

自分の知らない、推しの「商品ではない部分」を急に突きつけられるというのは、シンプルに刺激が強すぎる。目の前の牛豚鳥が、お肉になるまでを見せられたような…(この表現は食育ガチ勢に怒られるかもしれません。すみません。)

「俳優も人間なので、結婚くらいする」「推しにもひとりの人間として幸せになる権利がある」などとツイッターにわざわざ書く奴がいます。そんなことは言われんでもわかっている。
わかっているけれど、推しは公の場で、「商品」としての部分しか見せない、そういうシステムでそれを崩さずに、推しと我々オタクはやってきたじゃないですか。
なんで結婚した途端、急に人間の部分の話をするのだ。あたしたちオタクって、そこまで都合良くないわよ。

事実は変わらないのに

発表してもしなくても「結婚した」事実は変わらない。なのに、なぜわざわざご報告するのでしょう。別に言わなきゃいいじゃないか。
と、誰かしらの結婚報告が出るたび、疑問に思います。しかしこれはオタク視点の話で、実際、ご報告をする俳優は多いのだから何かしら理由があるのでしょう。私は若手俳優ではないので本当のところはわかりません。予想してみました。

■オタクたちにウソをついてるみたいで嫌だから
 →そっちがスッキリしたいだけかい。オタクのお気持ちはどこへやったらいいのだ。否定も肯定もしなければウソにならないのに。

■オタクにも祝ってもらいたいから
 →そんなわけないだろ。

■ガチ恋勢が邪魔、そういう売り方しませんよという宣言
 →じゃあ今後絶対にオタクに積ませるな。接触もすな。

■バレたら大変だから
 →バレるな。

■夫婦で堂々と外を歩きたいから
 →これは……………確かにそうかもしれない。そうだとすると余計に「推しって奥さんのこと大好きなんだな」と思えてツラ。

…と、まあ予想したところで検証のしようがなかった。ただ気分が悪くなっただけでした。

何がそんなに嫌なのか考える

怒るとか、悲しいとか、人それぞれいろんな感情があると思います。私もいろいろな気持ちがぐるぐると渦巻くけれど、やっぱり1番は「寂しい」のです。
自分が推しにメロメロになって、生活の中心に推しがいて、血反吐吐いてボロボロになりながら働いて、稼いだ金を推しに注ぎ込んで。
そうやって自分の人生そのものだと思い込んでいた推し本人はというと、仕事が順調で、結婚して、そのうち子供が生まれたりなんかして、ひとりの人間として幸せを掴んでいく。

「そもそも、勝手に好きになったのそっちじゃないですか(笑)」みたいな、突き放された感じがして、本当に寂しい気持ちになるのです。

どんなに推しにお金を使っても、自分が結婚できるわけじゃないことなんかわかっている。わかっているけれど、そうでもしないと自分の寂しさを埋められないから推している気がします。推しのパフォーマンスが、活躍が、笑顔が、何もかもが楽しくて嬉しくて大好きで、自分の寂しさを埋めてくれるのです。
そんな心の隙間に優しく優しく詰めた綿を、「ご報告」は一瞬にして引き抜き、カラシを塗りたくる。

後生ですから

オタクは推しの「商品」としてある部分以外は知ることができません。どんなに金を落とそうが、どんなに現場に居ようが、どんなに推しのことを愛していようが、オタクは「お客さん」でしかないのです。

わかっている。それで良いんです。
でも本当は、私は、推しの本名が知りたい。どこに住んでいるか知りたい。行きつけの飲み屋が知りたい。今日の予定は?今日は何食べた?スーパーではどんな買い物をするの?本棚にはどんな本が並んでいるの?どんな友達と連んでいるの?どんな女の子が好き?お父さんやお母さんはどんな人?
推しがどんな人間か、どんなことを思いどんなことを感じるのか、全部知りたい。
これが本音です。

でも、それは許されないし、知らなくて良いのです。私はいちオタクだから。それでいいということにしてあげます。

だから、結婚報告なんかしないでください。
ずっと私たちの「商品」であって欲しい、と必死に願うしかありません。


(できれば、推し以外の俳優たちは熱愛や結婚でたくさん燃えて欲しい。たくさん燃えて、推しが「結婚なんかするもんじゃないな…」とか思いますように。私はこういう最悪なことを考えて今日も懸命に生きています。)

サポートありがとうございます! 全額しっかりと推しに使わせていただきます。