リロイ・ハトソン ~サイン入りレコードA to Z (note版) 第13回 LeROY HUTSON
※全文を公開している「投げ銭」スタイルのノートです。
レコード&昭和プロレス愛好家のゴベと申します。
スラッシュメタルやハードコア、ミクスチャーロックのライブに足しげく通っていた私が、ヒップホップを聴くようになり、サンプリングソースとして知った70年代のブラックミュージックのレコードを集めるようになったのは90年代の中頃です。既にレアグルーヴやフリーソウルという言葉が広く浸透していた時代でした。
LeRoy Hutsonの存在を知ったのもその頃です。Stevie WonderやMarvin Gayeくらいしか聴いたことがなかったブラックミュージック初心者の私が頼りにしていたディスクガイドでは扱いが低かったLeRoy Hutsonのアルバムが、中古レコード屋ではキャプションに「Free Soul」と書かれ、面出しになっていました。
初めて入手したのは1975年に発表された3rd.アルバム『HUTSON』。当時、中古盤も扱っていた六本木WAVEで購入したものです。
LeROY HUTSON
『HUTSON』 LP
LeRoy Hutson
2018年5月3日 @Billboard Live Tokyo
これまでに何度針を落としたことか。
アルバムのトップを飾る"All Because Of You"は、いわゆるニューソウルと呼ばれる作品の中で最も好きな曲です。
2018年2月20日
前年の12月にLeRoy Hutsonの初来日公演が発表されました。大事件です。
発表から2ヶ月。そしてビルボードライブの会員先行予約から遅れること1週間。一般予約の開始日です。朝から気が気じゃありません(てゆーか、来日公演が発表されてからずーっとそわそわしてたけど)。
30分ほど電話をかけ続け、なんとか予約することができました。
2018年5月3日
そして遂にこの日が! 待望の初来日公演です。私が観に行ったのは、初日の2nd.ステージ。
『HUTSON』収録の"Cool Out"からインスト曲が続いた後、遂に登場したLeRoy Hutson。紅白を基調としたきらびやかなファッション、そして伸びやかな歌声。とても72歳とは思えない若々しさに驚かされました。
"All Because Of You"や"Love The Feeling"といった名曲を、レコードと遜色ない歌と演奏で聴けるのですから、超満員の観衆は大興奮。
終盤に"Lucky Fellow"が披露された際の、会場の一体感といったら!
ちなみに、70年代当時のサウンドを再現することに成功したバックバンドは、ドラム、ベース、ギター、サックス、キーボード×2、パーカッション、コーラス×2という9人編成(ストリングス等はPCで)。
バンマスのNick Van Gelderは、初期JAMIROQUAIの作品やライブに参加していたドラマーです。
終演後のサイン会は、それまでに見たことのないくらいの長蛇の列。もちろん参加しましたよ。こんなチャンスを逃すわけないでしょ!
2ステージを終え、疲れ切っているはずのLeRoy Hutsonは、終始にこやかな表情で多くのファンと接していました。
LeROY HUTSON
『HUTSON II』 LP
LeRoy Hutson
2018年5月3日 @Billboard Live Tokyo
サインをお願いしたのは、一番好きな『HUTSON』と、"Love The Feeling"や"I Think I'm Falling In Love"が最高すぎる『HUTSON II』。
2019年1月某日
ビルボードライブから嬉しすぎる公演案内のハガキが届きました。なんとLeRoy Hutsonが再び日本にやって来るというのです。しかし、喜んでばかりはいられません。ハガキに「最後のジャパン・ツアー」と記載されていたからです。
前年来日した際の年齢が72歳だったことを考えると仕方がないことでしょう。これは何がなんでも観に行かなくてはなりません。
2019年2月19日
会員先行予約から遅れること1週間。一般予約の開始日です。前年同様、朝から気が気じゃありません。予約開始と同時に狂ったように電話をかけまくったことが功を奏し、無事に予約することができて一安心。しかし・・・。
2019年3月某日
自宅で寝そべりながらスマートフォンをいじっていると、ビルボードライブ東京から着信が。私がビルボードに予約している公演は一つだけ。不安にかられながら通話ボタンを押すと、嫌な予感が的中。LeROY HUTSONの体調が思わしくなく、来日することができなくなったというのです。
ライブを観られなくなったことはもちろん残念でしたが、それ以上に気がかりなのが彼の容態です。公演の1ヶ月以上前に中止することが決定したのですから。前年、全く年齢を感じさせない素晴らしいパフォーマンスを観ていただけに、なおさら心配でした。
情報を収集しようとネットで調べてみても、来日公演が中止になったことしか出てこなくて。
翌日、SNSに来日公演が中止になったことを投稿すると、LeRoy Hutsonファンの皆様から、彼の体調を気遣うコメントを多数いただきました。
その2日後。フォロワーのMさんから嬉しい連絡がありました。M様と交流のあるソウルバーの御主人がLeRoy Hutsonに直接連絡を取ったところ、容態は深刻ではないとのこと。急いで御主人のポストを拝見させていただくと、LeRoy Hutsonからのメッセージが掲載されていて。ホッとしました。
新型コロナウイルスが猛威を振るう現在の状況を考えると、コロナ前のように海外アーティストのライブを日本で観る機会が訪れるとは限りません。
あの日からちょうど3年。たった一度だけでもLeRoy Hutsonのライブを観られたことは幸運なことだと思います。奇跡のような出来事だったのだから。
正に"Lucky Fellow"です。
【vinyl】
【CD】
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