SUPER JUNKY MONKEY 〜最愛のバンドと過ごした日々 第4話
2019年9月30日
3rd Stoneの小林さんからメールが届いた。
「ソニー・ミュージックダイレクトからのオファーを受け、SUPER JUNKY MONKEYの7インチを作ることになったので、その収録曲をメンバー3人と一緒に考えて欲しい。アナログ盤が存在する『あいえとう』以外の作品の中から何曲か候補を挙げてもらえないだろうか?」とのこと。
なんと光栄な! もちろん引き受けさせていただくことに。
この年の7月からソニーのアナログレコード専門レーベルが、商品化リクエストにもとづいて限定プレスのアナログ盤を制作する「GREAT TRACKS Order Made Vinyl」というプロジェクトを始めていたことはすでに知っていて、真っ先にSUPER JUNKY MONKEYの作品をリクエストしていた。
私が提案したのは『SUPER JUNKY ALIEN』収録曲の「R.P.G」、そして『PARASITIC PEOPLE / 地球寄生人』に収録された「IF」。
最初に浮かんだのは「R.P.G」と、睦ちゃんが亡くなる直前に録音されたデモ音源等をまとめてCondor Recordsからリリースされた『E・KISS・O』の最後を飾る「Towering Man」だった。しかし、考えた末に「IF」を選択。
「Towering Man」がソニー時代の作品ではないこと。そして前年の2daysイベントで「IF」を聴いて号泣したことが決め手となった。
2019年11月3日
小林さんから、7インチの収録曲が「R.P.G」と「IF」に決定したという連絡を受け、思わずガッツポーズ。
1996年のある日。睦ちゃんと一緒に新宿のライブハウスに行った帰りに、彼女のクルマの中で発売前の『地球奇生人』を聴かせてもらった。
「このアルバムから7インチをカットしたいんだよね。LPは『キャベツ』で、10インチは『あいえとう』で出せたから、7インチも出したくて」と言うので、新作のカセットテープを聴きながら2人で話し合った。「どの曲を7インチで出すべきか? 海外からリリースするとしたらどのレーベルが良いのか?」と。
残念ながら『地球奇生人』からのアナログカットは実現しなかった。
そのことを思い出したのは、小林さんに7インチの候補曲を提案した直後。「IF」を選んでくれたSUPER JUNKY MONKEYのメンバーに感謝している。
テープを聴かせてもらったあの日から24年も経ってしまったけれど、『地球寄生人』収録曲の7インチが遂に制作されるのだから。
2020年2月20日
スペースシャワーTVで『SUPER JUNKY MONKEY 25th ANNIVERSARY SPECIAL』がオンエア。
貴重なライブ映像や、メンバー、レーベルメイトだった石野卓球(電気グルーヴ)、SUPER JUNKY MONKEYから影響を受けたUE CHANG(マキシマム ザ ホルモン)、草刈愛美(サカナクション)、HISAYO(a flood of circle / 東京ピンサロックス)、金子ノブアキ(RIZE / RED ORCA)といったミュージシャン達の証言で構成された特別番組が放送された。
2020年2月25日
『R.P.G / IF』7インチが発売。
2020年2月26日
都内某所で、しのぶちゃん&つつ!!、小林さん、7インチとスペースシャワーTV特番の制作に関わったスタッフ、関係者達とお疲れ会。
たらふく飲み食いしながら懐かし話に花が咲き、痛飲。
帰宅後、いただいた7インチをターンテーブルに乗せ、慎重に針を落として再生。スピーカーから睦ちゃんの歌声が飛び出してきた瞬間、さまざまな光景が脳裏に浮かんだ。
B面の「IF」が終わるころに涙腺崩壊。指先で涙をぬぐい、もう一度レコードに針を落とした。
『R.P.G / IF』 7 inch vinyl (2020)
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ありがとう、KEIKOちゃん、しのぶちゃん、つつ!!。
ありがとう、スタッフ・関係者のみなさん。
ありがとう、ファンのみなさん。
そしてありがとう、睦ちゃん。あなたに会えてよかった。
(了)
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2022年2月5日公開。
本日は、睦ちゃんの命日。