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SUPER JUNKY MONKEY 〜最愛のバンドと過ごした日々 第3話


2018年5月21日 @下北沢 Club251

下北沢クラブ251や蔵王龍岩祭でPA(音響)を務めていたシンちゃんこと君波伸太郎氏の追悼ライブ。

打ち上げにも参加。イベントに出演したSUPER JUNKY MONKEYのしのぶちゃん、3rd Stoneの小林さんと同じテーブルだった。
「来年で20年ですね。何かやるんでしょ?」と2人にたずねた。何のことかは言うまでもない。睦ちゃんのことに決まってる。

小林さんが、離れたテーブルに座っていたジェイソンズのHIDEさん(vo)に声をかけて「来年一緒にやろう」と話し合っていた。
専属PAだったシンちゃんの追悼ライブのために復活し、この日のトリを務めたジェイソンズは、過去に何度もSUPER JUNKY MONKEYと共演している。


2019年2月5日
20年前に亡くなった睦ちゃんの命日の朝に、小林さんからメールが届いた。
6月22日と23日に、クラブ251でSUPER JUNKY MONKEYの2daysイベントを開催するという。対バンは初日がGARLICBOYSで、2日目はWRENCHとジェイソンズ。もちろん観に行くと返信した。


2019年3月
小林さんから「イベントでDJをやらないか?」という誘いを受けた。

2016年に発症した変形腰椎症と、10代の頃に損傷した両膝の前十字靭帯の状態が悪化した影響で、数年前から日常生活に支障が出ていたので一瞬だけ迷ったが、睦ちゃんが亡くなって20年経った2019年の623の日とその前日に開催される重要なイベントにこのようなチャンスをいただけたのだから、断るという選択肢はなかった。

小林さんと相談して、睦ちゃんと深い交流があったキャブレターボーイズの加藤兄弟とDJ Wacにも声をかけた。


2019年5月
小林さん、しのぶちゃん、DJ Wac、キャブレターボーイズのカトキチこと加藤敦慎アツノリ氏(兄)と打ち合わせと称した宴会を下北沢の居酒屋で。
この時点でチケットは両日ともソールドアウト。あとは当日を迎えるのみ。

*     *     *


2019年6月22日 @下北沢 Club251

live : SUPER JUNKY MONKEY / GARLICBOYS
DJs : キャブレターボーイズ / 5B (GOBE)

16時前に会場入り。入り口のドアを開けると、ステージ上にはSUPER JUNKY MONKEYの3人の姿が。リハーサルの真っ最中だった。
久々に再会した出演者やスタッフと近況報告。彼等と知り合ってからもう四半世紀になる。

小林さんが関係者スペースに椅子を用意してくれたので、お言葉に甘えさせていただくことに。自分の出番以外は着席して観ることができるのでホッとした。前日に長年お世話になっている治療院の先生に施術していただいたものの、一抹の不安が残っていたので。

GARLICBOYSのリハが終わり、DJのサウンドチェック。クラブ251のPAさんと諸々の確認を済ませ、そのまま待機。最初にかけるレコードをターンテーブルに載せて合図を待った。

定刻通りの開場。
1曲目はSUPER JUNKY MONKEYのライブアルバム『キャベツ』のラストを飾る「Bed Side Session」。今回のイベントは睦ちゃんの歌で始まるべきだと思い、DJの話をいただいたときから決めていた。

彼女の歌い手としての魅力が存分に発揮された「Bed Side Session」から某人気グループのサンプリングソースとして知られるジャズファンクへ。この時点ですでに多くの熱心なファンが物販スペースに群がり、Tシャツを物色していた。

2曲のネタものジャズファンクから国内外の90年代ヒップホップにつないで、SLAYERネタのPUBLIC ENEMY「She Watch Channel Zero?!」。そして本家SLAYERに。そこから90年代のハードコアやミクスチャーロックを連発して終了。
SUPER JUNKY MONKEYが共演したバンドや、睦ちゃんと一緒にライブを観に行ったバンドのレコードを多めに投入した。フロアから良い反応をいただけた瞬間もあったがミスも多く、悔やまれる内容だった。


場内に少年隊の「仮面舞踏会」が流れ、歓声が起こった。GARLICBOYSの登場だ。
SUPER JUNKY MONKEYと対バンしていた時代の楽曲を連発したセットリストに、20年前にキッズだった観客達は大興奮。

photo by Wataru Umeda


続いてDJブースに現れたのはキャブレターボーイズのタクちゃんこと加藤啄巳タクミ氏(弟)。
過去に何度もSUPER JUNKY MONKEYの重要イベントに名を連ねてきた彼等が今回の2daysに最も相応しいDJであることを、SUPER JUNKY MONKEYを長く応援してきたファンはみんな知っている。


そして遂に主役が登場。睦ちゃんの追悼ライブ以降も何度かライブを観ているので、3人編成のSUPER JUNKY MONKEYに対する違和感はもうない。前回のライブが2015年12月25日なので約3年半ぶり。しかしタイトなプレイは健在だった。
ここに睦ちゃんがいたのだから。とんでもないバンドだったことを改めて実感した。

photo by Wataru Umeda

1. Parasitic People
2. The True Parasites
3. If
4. The Words
5. Where're The Good Times
6. ばかばっか
7. Revenge
8. 記憶の捏造 feat. 石坂マサヨ (ロリータ18号)
9. R.P.G
10. Shower
11. あいえとう

[encore]
1. Buckin' The Bolts
2. SUPER JUNKY MONKEYのテーマ

アンコールを終えた3人がステージから去り、明るくなったフロアでカトキチ(キャブレターボーイズ兄)のプレイに身をゆだねながら、多くの友人や初めて会った人達と盃を交わしているうちに打ち上げに突入。

翌日もあるので24時を過ぎたくらいに退席したものの、終電を逃した幼なじみのKを連れて帰宅したため、結局朝までコース。

*     *     *


2019年6月23日 @下北沢 Club251

live : SUPER JUNKY MONKEY / WRENCH / ジェイソンズ
DJs : キャブレターボーイズ / DJ Wac (ThePOPS / MUTIQUE) / 5B (GOBE)

前日同様、16時前にクラブ251に到着すると、WRENCHのメンバーがスタッフと一緒に機材を搬入していた。SUPER JUNKY MONKEYの3人と、リハを終えたばかりのジェイソンズのメンバーを呼び寄せ、出演者の集合写真を撮影することに。
同世代の彼等とかしこまった写真を撮ったことで、同窓会感が増幅。諸事情によりリハに来られなかったジェイソンズの茶谷雅之氏(ds)と、遅めに会場入りする予定だった私以外のDJ陣が不在だったことが悔やまれる。


2日目の一番手はDJ Wac。彼女がall O.K.のベーシストとして睦ちゃんの追悼ライブに出演していたことを知る熱心なファンも多かったに違いない。
茶谷が在籍するThePOPSでもベースを弾いているWacはDJとしてのキャリアも長く、この日も華麗なプレイを披露してくれた。

photo by Wataru Umeda


ライブアクトのトップはWRENCH。SNSで松田知大氏(b)が予告した通り、この年の3月にリリースされたニューアルバム『weak』からの楽曲のみをプレイ。とどまることなく進化し続けてきた現役バンドの凄味を感じた。

photo by Wataru Umeda


続いて私の出番。WRECHとジェイソンズの間に何をかけるのが良いのか考えた末にジャズを選択。
「電化マイルス」と呼ばれる70年代のマイルス・デイヴィスや、エレクトリックな和ジャズをミックスしてから、スピリチュアルなブラックジャズに移行してフィニッシュ。
4人そろったジェイソンズの爆音サウンドチェックが合間に入ったが問題なし。個人的には前日よりも落ち着いてプレイできたので充実感があった。

photo by Wataru Umeda


準備が整い、ジェイソンズの本番に突入。急遽決まった昨年のシンちゃん追悼ライブのときよりも一体感のある演奏でフロアを沸かせていた。

圧巻だったのは、本番直前に合わせただけの茶谷。いても立ってもいられず、ステージ袖から彼のドラムを堪能させていただいた。この瞬間は痛みを忘れていた気がする。

photo by Wataru Umeda


2日目のキャブレターは兄貴が先発。
カトキチのプレイを聴いて思い出した。SUPER JUNKY MONKEYのイベントで彼が投入した数々の楽曲でダンスミュージックの魅力を知ったことを。

photo by Wataru Umeda


そして2daysのメインアクト、SUPER JUNKY MONKEYが登場。前日とは異なるセットリスト。そして前日以上にタイトな演奏。盛り上がらないはずがない。

アンコールは「Find Yourself」と「SUPER JUNKY MONKEYのテーマ」。初期ナンバーで大団円を迎えた。しかし、それでも観客は帰らない。

さすがにもう終わりかと思われたが、3人はステージに向かった。全く予定外のアンコール。
つつ!! が「睦からの手紙です」と言ってある曲の訳詞を読み上げた。「可能なタイミングがあれば」と手紙を用意してきたつつ!! の思惑通り、涙があふれ落ちた。

photo by Wataru Umeda

1. Popobar
2. If
3. ばかばっか
4. We're The Mother
5. Revenge
6. 珠華(使用後)
7. Decide
8. Buckin' The Bolts
9. R.P.G
10. Shower
11. あいえとう

[encore 1]
1. Find Yourself
2. SUPER JUNKY MONKEYのテーマ

[encore 2]
1. If


締めはキャブレター弟のタクちゃん。彼が選んだ極上サウンドが鳴り響く中、この日も多くの人々と乾杯。そして打ち上げ。参加者のほとんどが20年前の睦ちゃん追悼ライブの打ち上げにも出ていた。

終電がとっくになくなった頃にお開き。
つつ!!、小林さん、数名のスタッフと別の店に移動。1時間ほど飲み食いして解散した。
タクシーで帰宅後、なんとかシャワーを浴びてからベッドに倒れこんだ。

昼頃に起床。『地球寄生人』のCDを聴きながら2日間お世話になったレコードを片づけ始めた。
『地球寄生人』の3曲目は「If」。もう一度泣いた。

photo by Wataru Umeda
photo by Wataru Umeda
photo by Wataru Umeda


(つづく)


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