夢のはなし第三夜『捜索依頼』②

▽①話目はこちら



コソコソとするのも変な感じがするので、私は控えめに平穏を装いつつ捜索をすることにした。

会場は、日本で一番有名なあのテーマパークかと思うほどの混雑で、4つもの列がとめどなく流れている。
友人と並びながら少し辺りを警戒した。混んではいるが、チケット確認の人数が多いようなので列の進みはとてもスムーズだ。これならあの怪しい男に近づかれることなく入場口を過ぎていけそうだ。
前後左右の入場待ちの人たちと歩幅をあわせて密着しながらも徐々に前へ進んでいく。

すると、ちらっと白い中折れハットが後方にあるのが目に入った。その瞬間に反射的に目をやってしまったため、怪しい男と目が合う。
やばい。と思ったその時には、男は私を目がけて人の波をかき分けやってくる。

急いでチケットを切ってもらって走った。絶対に捕まってはいけない気がした。
長い距離を後ろも見ずに走り切ってはじめて振り返る。すると男の姿はもう無かった。今考えると、入場ゲートですでに捲いていたのだと思う。

その後、友人と合流していきさつを小さくはなして急に走って行ってしまったことを謝った。
友人は「途中からそわそわしていたから、何か隠してるって気づいてたよ。」と嬉しそうな顔で言ってくれた。


つづく

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