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マラソン大会がオワコン化?日本各地のレースで定員割れ現象に関して考察

コロナ以前までは、どこの大会にエントリーするにも抽選となっており、必ずしも走れるわけではなかった。しかし、2020年新型コロナウイルスが世界中で猛威を奮ったときに、世界中のマラソン大会が中止もしくは大幅縮小(エリートランナーのみ)といった形で開催され、3年間はマラソン大会を走れる機会が大幅に減ったのではないかと思う。

先日(2023年2月26日)参加してきた地元の大阪マラソンも、定員割れ(倍率0.77)を2次募集を行ったぐらいだ。もともとは倍率4倍以上の大会であった大阪マラソンは東京マラソンに次ぐ規模であるが、「大阪マラソンですら定員割れ」という状態。また、大阪マラソン終了後に、大阪マラソン側よりアンケートメールが飛んできたのですが、そこには今回の定員割れに関しての項目があって、大会運営側も深刻に受け止められているように感じた。

マラソン大会が定員割れした背景

person putting coin in a piggy bank
Photo by maitree rimthong on Pexels.com

各報道をまとめると以下のようなになっている。

  1. レースエントリ費用が高くなった(1.5倍〜2倍)

  2. ランニングシューズや GPS ウォッチなどのギア類の高額化

  3. レースがコロナの感染状況次第で直前に中止になる可能性があるため、エントリーを控えている

  4. 上記理由などが重なり、気軽に楽しめるスポーツでなくなりファンラン層が離れた

レースエントリー費用が高くなった理由は、2013年のボストンマラソンの爆破テロの影響で警備費用、新型コロナ対策費用が追加で発生したため高額化している。大阪マラソン2023の場合、エントリー費用が23,000円+チャリティー費用(一口500円)と海外100kmのトレイルレースのような料金になっており、昔と比べると2倍ぐらいまで高くなっている。

あとは、2020年から続く新型コロナウイルスの影響で、多くの大会が開催を自粛したこともあったり、また募集はしたものの直前で開催が中止になって、エントリー費用が返ってこないといったこともあって、気軽に走るファンラン層がマラソン大会に出なくなったということもあると思う。

これは、川内優輝選手の Twitter のアンケートの結果からもそれは読み取ることができる。

私がランニングを始めた頃(2008年)は、フルマラソンのエントリー費用が5000円程度であった。人生で始めて走った京都の福知山マラソンも、確か5000円程度であった。この福知山マラソンも、今となってはエントリー費用が1万円となっており、高くなったもんだ。ちなみに、2022年11月の福知山マラソンは、定員1万に対して、応募が3800人だったとのことで、かなりやばい状況・・・大阪ですら0.77倍だったので、地方はより顕著に定員割れが発生している状況である。

他のスポーツと比較すると、例えばバドミントンの場合、シングルスの場合は1大会あたり3500円でエントリーができる。となると、マラソンはセレブなスポーツになったなと実感・・・

ギア類の高性能化に伴う高額化とは言われるものの・・・・

person wearing white and orange nike athletic shoes
Photo by Styves Exantus on Pexels.com

報道の中で言われているのは、シューズやウェア、GPSウォッチなどのギア類の高額化とも言われている。

確かに、ナイキの厚底カーボンシューズが登場して以降、ハイエンドモデルの値段が3万円以上もするといった10年前では考えられないような値段にはなってきているのは事実。それに伴い、ライバルのアシックスやアディダスも同様のモデルを投入して、2万円以上のシューズも珍しくない。

ただし、これに関しては僕はミスリードだなと思う。確かに、厚底カーボンシューズに関してはめっちゃ高いが、従来型のシューズは消費税増税や原材料費の高騰、あとは円安の影響で多少は高くはなっているものの、アシックスの GT-2000 シリーズは定価14,800円で購入可能。また、アシックスのターサーシリーズに関しても、15,400円と10年前より多少は高くなっているが、アマゾンとかで買うと1万円以下でも購入できる。

ただ単に「厚底カーボンシューズ」という新しいカテゴリーのシューズが出てきて、それが価格を引き上げているだけであって、従来型のシューズはそこまで高騰しているようには思えない。これは、GPS ウォッチでも言える。高機能化により10万円以上する GPS ウォッチが販売されているが、GPS による計測に関しては、Xiaomi や Amazfit などのような中国メーカーの GPS ウォッチでも十分に機能は果たせると私は思う。

あと、デカトロンやワークマン、台湾サンダルのように低価格なランニングシューズも販売されている。特にワークマンは、驚異の2,900円で厚底カーボンシューズを販売されており、別にギアに関してはピンきりだと思う。ただ、1秒でも速く走りたい層にとっては、お金である程度タイムを買う感じで、2〜3万円もするシューズを買っている感じではないだろうか。これらは、ガチ勢なので、多少エントリー費用が高くても走るとは思う。

しかし、個人的には、ギアに関しては必ずしもそこまで高額なシューズやギアを着用する必要性はないと思う。本当に走れる人は、裸足でも、サンダルでも42km走りきれるだろうし、「弘法筆を選ばず」という感じで。先日紹介した台湾サンダルを履いて自己ベスト更新やサブ3の人もいるぐらいなので、必ずしもシューズで結果を得てるわけではなく、結局はランナー自身のトレーニングやケアの集大成だと僕は思う。

海外のマラソン大会に関しては・・・

海外のマラソン大会の事情も調べてみた。

台北マラソン

台北マラソン(2022年12月18日)についても、募集は本来であれば2022年9月2日までであったが、10月11日までエントリーを延長していたようだ。2016年に台北マラソンを走ったことがあるのだが、このときは定員超過して抽選となり、見事に当選。台湾の場合は、当初の締切日であった9/2に関して、まだ水際対策の大幅緩和が確定してなかったので、海外からの参加者が集められなかった事情はあったと思う。

エントリー費用に関しては、2022年大会は2000台湾ドル(現レートで約8800円)。ちなみに、2016年は1500台湾ドル(当時のレートで4000円ぐらい、現レートですと6600円ぐらい。円安〜〜〜w)であった。物価の安さも影響はしているのだろうが、たぶん海外のマラソン大会は、スポンサーからの多額の資金があるので、エントリー代を安くできているのではないかと(商売上手!)。

台北マラソンは、参加賞が日本のマラソン大会よりも豪華で、参加賞用のタンクトップ(アディダス製)とは別に、完走用のTシャツ(アディダス製)が別途もらえて、その後お菓子やフルーツ、お弁当まで支給されて、普通に昼ごはんとして食べられる量であった。

香港マラソン

香港マラソン(2013年2月12日)に関しては、すべての種目(フル、ハーフ、10km、車椅子)で37,000名がエントリーして、実際走った人数が34,783名。94% ものランナーが実際に出走している。一見成功したかのように見えるが、香港マラソンはもともとは6万人規模で開催されるマラソン大会であり、2023年度は規模を縮小して開催。これは、おそらく感染症対策の一環で人数を減らしたのではないかと考えらる

なお、エントリー費用に関しては、フルマラソンは90米ドル(海外居住者向け料金)。2019年大会は70米ドルとなっており、参加人数が減ったことに伴って料金は高くなっている。しかしながら、日本国内の都市型マラソンに比べると約半額の料金である。

香港と日本(東京)の物価はほぼ同じであることを考えると、マラソン大会の料金は安い設定になっている。これも、おそらくスポンサーからの収入比率が高いのではないかと推測される。

HONG KONG, 12 February 2023 – The 25th Standard Chartered Hong Kong Marathon wassuccessfully concluded today. With the return of overseas runners, this ‘M’ Mark mega sports eventmade a roaring comeback to the city. Among the 37,000 registered runners, 34,783 runners showedup at the Start, with the overall attendance rate achieving a record high of 94%. Runners from Kenyaand Ethiopia were crowned champions in the Men’s and Women’s Marathons respectively. https://www.hkmarathon.com/wp-content/uploads/2018/07/25th-Standard-Chartered-Hong-Kong-Marathon-roars-to-success.pdf

さて、ランナーはマラソン大会に戻ってくるのだろうか・・・

photo of woman running on fishing line
Photo by RUN 4 FFWPU on Pexels.com

僕自身は、長期的に見ては戻ってくるとは考えている。

一番のネックだったのは、3年間の間、ほぼレースを走る機会がなかったので、マラソン大会を走るモチベーションが低下したのではないかと。3年もレースがなければ、それが習慣化してしまって、億劫になってしまうものだと思う。

あとは、もちろん費用の面もあるだろうが、おそらく来シーズンのエントリー費用は、少なくとも下がるのではないかと推測される。コロナウイルスも2023年5月から5類相当に引き下げられて、実質季節性インフルエンザと同じ扱いになります。そのため、感染症対策も今シーズンのように厳密に行う必要性もないだろう。

懸念としては、地方のマラソン大会がどうなるかだ。東京や大阪マラソンのようなビッグな大会ですと、集客しやすいし、海外からのランナーの参加も、おそらく来シーズンは中国人がやってくることになるので問題なし。

しかし、京都の福知山マラソンのような地方の大会は、何らかの施策をしないと集客自体が難しくなって、最終的にはディスコンになる事も想定される。また、運営者の高齢化で運営自体が難しくなることも、最近でてきている。。。。これは、ロードに限ったはなしではく、トレイルレースでも運営者の高齢化で、大会自体が終了した事例もあり、ある程度の淘汰は発生してきても致し方ない。

あと、日本では「マラソン大会=記録、速さ」というイメージがどうしても付いてきてしまっているのだが、海外ですともう少しお祭り気分な感じで緩い雰囲気で行われている。アジアですと、どうしても暑さで記録が狙いにくい事情もあるのだが、私が見てきた中では「記録よりも完走、そして何よりも楽しむ」という雰囲気を醸し出せるように、日本人ランナーも少し視点を変えてもらったらいいかなと思う。

最後に、本記事の参考となった以下のリンクに、実業家の堀江貴文(ホリエモン)氏が的を得たコメントをされていたので、こちらに紹介しておきます。

引用元:https://newspicks.com/news/8181186


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