Withコロナ時代のカメラの価値を考える
リモートワークの生活に入ってから一ヶ月余り経ちました。
世の中の多くのモノの価値が様変わりしているのを日々目の当たりにしています。人の動きは止まり、膨大な情報がネットワークを駆け巡っています。
このような状況が、これから数年間続くのではないかという予測もあり「Withコロナ」時代に物事の価値はどう変遷していくのか。
自分が大好きな「カメラ」はこの時代にどんな価値に変わっていくのか、思いを巡らせました。
1. カメラを外に持ち出せない日々
なかなか外に連れ出せない一眼カメラ達をうらめしい気持ちでいじっている時にふと「こんな時代にハイエンドなカメラの価値って何だろう?」という事が頭を過りました。
写真を生業としている訳ではなく、旅行や登山が好きで風景を写真に収める機会が多い自分にとってカメラは嗜好品と言えます。
外出する機会も限られ、被写体を探してウロウロと出歩く事も憚られるこの状況がこの先何年も続いたら、一体何を撮ったらいいのだろう?こんな高いカメラ必要なのか...?そんな事すら考えたりしていました。
2. PCのカメラ越しにオンラインミーティング
リモートワークで働いている多くの方が日々、オンラインでPCのカメラ越しに、同僚やクライアントとミーティングをしていると思います。私もそんな一人です。
実際にやってみると思ったよりもリモートワークで仕事は成立しています。この技術と高速なネットワークがまだ無い時代に、コロナウィルスが蔓延していたら全く仕事になっていなかったでしょう。テクノロジーの進歩に感謝するばかりです。
一方で、ZoomやHangoutなどのツールで一日何時間も過ごしていると夕方には疲労困憊になります。
人間は相手の表情から無意識に多くの情報を読み取りコミュニケーションを行う生き物です。恐らくは低画質と低音質の情報でのやり取りに脳のかなりのリソースを費やしているのでしょう。
また、来る日も来る日もPCの前のカメラに写ったパッとしない自分の姿を見続けるのに何だかウンザリ来ていました。
3. SIGMA fpをWebカメラにしてみた
そんなある日、TwitterでSIGMA fpをPCに繋ぐとそのままWebカメラとして利用できる事を知り、早速試してみました。
大抵のカメラは「キャプチャボード」などの別のハードウェアが必要なようですが、SIGMA fpはUSB-Cケーブルを挿すだけでWebカメラとして使う事が出来ます。
PCに映った自分の姿を一目見て感動しました。
いや「ワシ美しい...」とかそういう事では微塵もありません。相変わらずパッとしないおっさんが映ってる事には変わりないのですが、ボケや色味や構図までコントロール出来る事に感動したのです。
自分が人や風景を撮っている時には当然のように行っているカメラ操作ですが、自分を撮るためにカメラの設定をいじる事がすごく新鮮な体験でした。
その日はミーティングや夜にたまたま行われたZoom飲み会に参加しながら、手持ちのレンズを取り替えたり構図を変えながら、自分がどう映るのかを試しました。
むちゃくちゃ楽しい。毎日PCの内蔵カメラで映されたしょぼくれた自分を眺めるよりもずっと良い気分でした。
4. 自分の存在をカメラ越しにしか伝えられない時代
もしWithコロナの今の状況がこの先何ヶ月、何年も続いたとしたら。人と人の殆どのコミュニケーションはオンライン上で行われる事になります。
となると、自分の姿かたちを世界に伝えてくれるのは、PCに付いている低解像度の内蔵カメラという方が殆どなのではないでしょうか。私はここにハイエンドのカメラの価値を強く感じました。
これまでの世界で、セミナールームで何十人もの聴衆の前でプレゼンテーションを行ったり、企業の大きな会議室で提案のプレゼンテーションを行う。自分がそういう役目を追った時は、最大限の成果を得るために何日も前から練習を重ねて自信に満ちた状態(に見えるように)で本番に臨んでいました。
気になる相手とのデートの時はどうでしょうか。その日はお気に入りの服を着ていったり、出来る限りの準備をしているのではないかと思います。
私たちはこれからしばらくの間、自分の存在感をカメラ越しにしか伝えられない時代を過ごすかもしれません。
ここ一番のプレゼンや大事な人との会話の時、低画質でぼんやりした自分ではなく、自分が堂々と出来る映りで相手に見てほしくはないでしょうか。
5. 高解像がコミュニケーションを円滑にする
これは、私と同じくSIGMA fp持ちのMATCHA 青木さんとfp同士でオンラインミーティングした時の様子です。
人は多くの情報を表情でやり取りする、非常にソーシャルな生き物です。高解像でお互いの表情がちゃんと伝わる事が、いかにコミュニケーションにおいて重要な役割であるかという事を実感しました。
こちらは実際にミーティングしている時の映像。
6. カメラは世界と自分を繋ぐ窓
今の状況というのは、世界規模で人々の動きが止まり、代わりに流れる情報の量が増大し高速でネットワークを駆け巡っています。
人と人の距離が離れ情報だけが行き交う。こんな今だからこそ、人間のコミュニケーションにとって重要な役割を果たしている繊細な感情表現を、高いクオリティで切り取りデータにする事が出来る、ハイエンドなカメラの価値の高まりを感じています。
これまで私にとって、自分が見たものを記録し共有するツールだったカメラが、今は世界に自分を映すための「窓」のような役割へと価値がシフトしました。
これから多くの人が高解像のカメラで活き活きとした日常を切り取って世界に共有してくれる。そんな風になれば、人が移動できないWithコロナの時代でも、今よりも世界が明るくなるのではないかと思いました。