見出し画像

あるギフテッドの子どものお母さんの手記

どうも、しょーじです。

京都大学 教育学研究科 認知心理学講座の修士課程を休学し、京大生で運営するGOALOOK学習塾の副代表に就任。現在はギフテッド教育に関心を持ち、オンライン教育サービスdialogueの立ち上げに取り組んでいます。(サービスの詳細はこちらから)

本日はこちらの記事で書いた、A君というギフテッドのお子さんのお母さんが書いたA君に関する赤裸々な分析と、それを踏まえた今度の方針についての手記をご紹介します。

ギフテッドというと自分の興味ばかりを追求し、場の空気を読むことが苦手、みたいなイメージが先行している気がしますが、この子はむしろ逆で、自分の特異な才能を押し殺して周りの空気を読みすぎてしまい、結果的に自分の首を絞めてしまうことが、この子の悩みです。

かなりプライバシーに踏み込むことですが、同じような子どもが苦しまなくて済むようにと、ブログでの公開を承諾してくれました。

同じような状況に苦しむお子さん、親御さんにこの記事が届き、少しでもその苦しみが和らぐことを切に願います。

以下、お母さんによる手記の内容です。

お母さんによる手記の内容

中学に入ってから息子のAの自律神経がダウンしてしまうことが何度もあった。いじめとそれに対する担任の理不尽な対応、理解しがたいバトミントン部の練習方法、修学旅行に行くか否か、 先生の理解の無い対応、今後の登校の仕方についての話し合いなど、ちょっとしたことが原因であった。自律神経がやられると最短で数日から長いと数か月に渡り、勉強はおろか食事や睡眠などの日常生活に支障を起こし、本人にも大きな損失がある。

しかし最近になって気の合う京大生との対話が出来るdialogueというサービスによる影響で自己理解や許容が進みA自身が上記問題について冷静に考えることができるようになった。

よってAの持つ特性とそれ故に生じる問題について、本人と私の分析をまとめて、最後に解決に向けた今後の方針について考えてみる。

A 本人の自己分析

「なぜこの人は僕に危害を与えてくるのだ?」
「なぜこの人は理不尽なことをしてくるのだ?」
「なぜこの人はめんどくさいという態度を取るのだ?」
「なぜこの人は話をするときに圧をかけてくるのだ?」
「なぜ論点をずらした回答をするのだ?」
「なぜこの人は嘘をつくのだ?」

こんなことを人と話す度に感じる。そのようなことを「だりぃ」とか「うざい」などで形容できたらラクなのだけれども、僕はどうしても相手のことを理解しようと思い、頭フル回転でなぜ?を考えてしまう。でも実際にはそこに明確な理由が存在しない。だからなぜの結論を見つけてスッキリすることができず、相当に頭を酷使してしまい、結果として処理落ちしてしまい、自律神経がダウンする。学校の授業だってなぜこんな内容に一時間も使って教えるのだろうと疑問に思う。もちろん他の子どもに対しては意味があることは理解できるけれども、僕にとっては苦痛でしかない。僕にとっての授業に出る意味を必死に探すけれども、答えが見つからず尚しんどさが増して、発熱する。

母の分析

かなり小さい赤ちゃんのときから周りを見る子だった。ベビーサインはもちろん会話も早くから噛み合い危ないことはしないし、説明をすれば理解をし、イヤイヤ期はなく手がかからない子だった。そのため自分しか見えていない、自分の意見だけの時期がなかったことにより幼少期から自分の意見を辛抱するようになってしまったのではないかと思う。

今でも自分軸で物事を見ることがなく、相手を尊重してしまう。しかし相手の人が自分の倫理観や価値観とかなりズレる。そこをスルーせずに理解しようとして理解できないことが苦しさにつながる。一般的にはもっと自分を優先して物事を見たり考えたりしていると思う。自分の考えと相手の考えに価値を持たずに僕の考えと相手の考えをそのままどちらを正解ともせず、フラットに事実とだけ知れば良いのではないかと思う。

Aにとって理解不能の度合いが高ければ高いほど日常生活に支障が出て回復までに日数がかかる。例えば先日始業式の日、今後の登校の仕方について深く悩んだ結果(ほかの人から見て短時間でもフル回転で考えた)頑張って週2回は学校に行くと決めた。

それなのに「出席日数が気になるならば放課後登校でも出席にするよ」と言われた。なぜ?となった。それならば最初からその選択肢を提示すべき。なぜ最初は認めてくれなかったのに、今になってそういうことを言うのか?と混乱した。

ここが一般の人とAとのズレなのだろうと思う。もちろん先生はAの苦しさを少しでも軽減してあげたいと思って話してくれたことと、A自身理解はしている。

今後の方針

会話のどこに気をつければズレが生じないのか?、それにより傷つくことが減るのだろうか?dialogueというサービスでの京大生との会話ではそのようなことが一切なかったので,一般の人との話と何が違うのかを考えてみた。

担当して下さるしょーじさんとは、あるテーマについて基本的にお互い好き勝手に話しているが、議論が本質から脱線しないように修正することと「相手の立場や意見を尊重すること」これに尽きるのではないかと感じる。お互いをリスペクトしていれば起きないトラブルではないだろうか。

会話の中で同意するときは「確かに」と相槌を打ち、ちょっと違うなと思うとき、それはこういうことかな?と具体的に確認し擦り合わせる。理解して欲しいと思うことも決して押し付けずにこういうことを感じてくれたらいいなと思っているというアイメッセージ(I message)で終始終わる。

Aにとってはその時間は心地良く、またその現象に再現性があり、また来週もあると思えるため、終わった後もその会話を深く感じジワジワと肯定感を感じることができる。

結局のところ、近い価値観の人の中で生活することで一番しんどさが減ることだろう。では、一般とかかわるときにA自身のできる工夫はなんなのだろうか?

ここに対する答えはまだ見つからない。

しょーじさんは、もしこの社会と積極的に関わっていくことを選ぶなら、人生を賭けても良いと思える目的を見つける事が大事だと言う。すると、理解の出来ない人間が多いこと、この社会が理不尽や矛盾だらけであること、それに対して自律神経がダウンするほど落ち込んでしまうという現象も含めて、困難と思える現象に対する見方が変わっていくと。

だからこそ今できるのは、本人が望む未来の実現に向けて、Aがやりたいと思うことを焦らず応援してあげることしかない。

「人生を賭けても良いと思える目的」

そんなものがいつ見つかるのか分からない、というか見つかる時期が来るのかすら分からないけど、いずれにしても焦らず成長を待つしかないのだと思う。

以上。

まとめ

いかがだったでしょうか。

ギフテッドというと嫉妬や羨望の対象になることもあると思いますが、彼/彼女らはこんな事に本気で悩み、強い責任感と倫理観故に他者を責めるのではなく、社会に適合できない自分の方を責めます。普通に生まれたかったと嘆き、時にはこの社会に絶望し、自ら死を選ぼうとすることすらあります。

子どもにそんなことを思わせる社会で良いのでしょうか?

日本がそんな社会のままだったら、きっとこの国に未来は無いのではないかと私は思います。

だからこそ私は彼/彼女らの健やかな成長をお手伝いする中で、ギフテッドのお子さんも含めて同じ問題意識を持つ人たちと出会い、そんな社会へ一石を投じたい、そんな気持ちでこれからも前に進みます。

それでは、また。

オンライン対話サービス dialogueについて

スクリーンショット 2022-10-05 14.01.17

お子さんの成長を見守る中で こんな悩みはありませんか?

「知的好奇心の高さから日常がちょっと物足りない」
「興味のあることが周りの友達や 先生に理解されない」
「物事の考え方や感じ方の違いから話が合わない」
「人間関係がうまく築けず、周りの人から孤立しがち、、」

こんなお子さんを対象に、親でも先生でもない、少し年上でナナメの関係を築けるメンターによる「傾聴」「対話」を提供します。

子供の興味関心に対して本格的な専門知識で応えられるメンターとの対話により、知的好奇心を満たして、更なる学習意欲を引き出します。

またそのような対話を通して信頼関係を築いたメンターは、日常生活での悩みを打ち明ける相談相手となれることもあるかと思います。

無料体験も可能なので、お気軽にご連絡ください。
詳細はこちらから



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?