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CCPMだけではうまくいかない製品開発現場のリアル

こんにちは。ゴール・システム・コンサルティングの真道(しんどう)です。先月から、オンラインによる「製品開発マネジメントセミナー」を月1回のペース・全3回で開催しています。その初回として、5月16日には「CCPM“だけ”ではうまくいかない製品開発現場のリアル」と題してお話をしました。今回のnoteでは初回の概要をご紹介します。

難しい製品開発

当たり前ですが、製造業にとって製品開発は大変重要な役割を担っています。そして製品開発においてはその特性上、大きく①創造性のマネジメント②不確実性のマネジメント③複雑性のマネジメント、という3つの難しいマネジメントが求められます。これら3つのマネジメントを通して、各製品開発プロジェクトではQCD(品質・コスト・納期)目標の達成を目指して、日々頑張っているわけです。

しかし現実としては、多くの製品開発プロジェクトは途中で発生する様々な問題の解決に労力を使い、結果としてD(納期)の目標達成が後回しになってしまっています。
これまでに多くの製品開発の現場に伺ったことのある当社の経験上、製品開発の現場では以下のような問題が起こっています。

  • 企画フェーズで決まっているべきことが決まっていない。

  • 設計途中で仕様変更や追加が発生する。

  • 製品開発プロジェクトなのに新たな要素技術開発が発生する。

  • 想定していた設計案がうまく行かずに手戻りが発生する。

  • 他のプロジェクトにリソースを取られてしまう。

  • 担当者が抱えていた不具合対応の発覚が遅れる。

  • 試作段階で想定外の技術課題が発生する。

  • 試作段階で発生した技術課題が思うように収束しない。

  • 下流工程との調整事が増えて負荷が高まる。

これら問題への対処に追われて、最終的に目標納期(製品の上市時期)の延期が発生しているのです。

CCPMへの期待と適用の現実

このような状況を打開しようと、ソリューションとしてのCCPM(※)に期待し、実際に導入している企業も多くあります。しかしCCPMを導入してはみたものの、思うような成果が得られていないという声を聞くことも少なからずあります。

※CCPM(クリティカルチェーンプロジェクトマネジメント)は、TOC(制約理論)の考え方に基づくプロジェクト管理手法です。

経験者の方のお話を聞いてみると、CCPMで思うような成果につながらない場合でも、CCPMの方法論には忠実に従っていることが多いようです。

具体的には、プロジェクトのゴールはODSCで定義し、ゴールから遡ってタスクを洗い出してPERT図(バックワード工程表)を作成、バッファを計画しています。そしてフルキットにも注意を払い実行を開始し、実行中はバッファのゾーン別の対応(バッファが黄色になれば対策を立案し、赤色になれば対策を実行する)を取ろうとしています。

ところが、有効な対策を打てずにバッファを大きく消費してしまい、再計画・納期の延期になってしまっているのです。ここで注目したいのは、CCPMの「お作法」通りに・基本に忠実に適用しているにもかかわらず、思うような成果が得られていないという事実です。
これはいったいどうしたことでしょうか?

CCPMが機能する前提をあらためて問う

こんな時はソリューションの前提に戻ってみるのが一番です。
詳細は割愛しますが、CCPMによるバッファマネジメントが機能する上で前提としているのはプロジェクトの各タスクに存在する時間的な「ばらつき」です。一方で、製品開発には「ばらつき」では収まらないような「不確実性」が存在しています。

※ここでは不確実性を「インプットに対するアウトプットが予測しにくいこと」、「何をどれだけ行えばどの程度の見返りがあるのかを予測しにくいこと」という意味で使っています。

こう考えると、たとえ基本に忠実にCCPMを適用しても期待成果が得られないのは不思議なことではない、と思われます。CCPMが前提とするような条件が成立していないのに、その方法論だけに依存しているからではないか、というのが私の考えです。

CCPMを補完することを考える

冒頭で触れたように、製品開発には3つの難しいマネジメントが必要であり、何かひとつの「特効薬」に頼って現状を改善するのは難しいでしょう。われわれはCCPM万能論の立場でもCCPMが役に立たないと考える立場でもなく、CCPMに何らかの「補完」をすることでうまく機能させる立場を取るのが現実的だと思われます。そしてCCPMを補完する上でのカギはリスクをどう取り扱うのかにある、と考えています。これこそ当社が製品開発のコンサルティング現場でやっていることでもあります。

CCPMをどうやって補完すればよいのかについては、6月13日(月)16時~17日開催予定の第2回のセミナーでお話する予定です。ご興味のある方は、ぜひご参加ください。

▼6月13日(月)セミナーは、以下リンク先よりお申込みいただけます。
※申し訳ありませんが同業の方のご参加はご遠慮いただいております。

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