しらぬひシリーズの作品群 上から順に読んでいけば時系列となります。 ・本編:タイトルにepisodeとある。中編~長編。 ・幕間:タイトルにpartとある。短編、sss。 【第一部】 1861年初夏 episode1「丁半ばくち(前編)」 part1 「五鈴と島田の恋愛事情」 1861年初夏 episode1「丁半ばくち(後編)」 part2 「マリアのばくまつ教室」 part3 「武蔵、来京」 あとがき X
ふわっと男の爪先が月に照らされ、ゆっくりと歩くとともに暗闇から頭が現れる。口元まで隠された首巻きと頭に巻かれた手拭の隙間から、垂れ目が瞬きをする。 着物の裾をまくって股引をあらわにした作業着姿の男は、力仕事を主にしているのか肩幅や胸板が厚く、町人風情としているがしっかりとした足取りだ。 男は幕府公認の花街—島原を横目に通り過ぎ、東西両本願寺の門前に広がる数珠屋町も過ぎる。仏壇,仏具,法衣を扱う店が軒を連ねていて、まさに本願寺を中心に栄え、門前町の風情が漂って
S(少し)F(不思議な)幕末を舞台にした小説でした。 先んじて申し上げますと、ジャンルは時代小説という意識ではないです。私が考えるこうだったら楽しいな幕末です。知識の穴抜けや、ご都合主義が沢山あるでしょうが・・・・・・ハイ、勘弁してください(土下座)。 ジャンルSF幕末小説です、ハイ。 もともと幕末は興味あったのですが、あまりの複雑さに理解できず、知識がないから楽しめず、といったジャンルでした。もっと気楽に歴史偉人や有名題材からハマればいいものを、教科書知識レベルだと
episode1「丁半ばくち」に出てくる五鈴と新顔の武蔵です。 書いてて五鈴は本当こいつって思います。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 「仕事をもらえると聞いた」 高瀬川を行き交う川船の音と、船頭の寂声が障子を越してくる。 高瀬川は鴨川に沿うかたちでつくられた人工の運河で、主に京と伏見を繋ぎ、水運を担う。また花街のある先斗町付近を通るために、船着場等は盛り場のひとつとなっており、桜の名所でも知られた。 座敷にはざるの蕎麦と昆布の香るつゆ、向かい合うように男が二人い
episode1「丁半ばくち(前編)」に出てくる長谷川と新顔のマリアです。 廓のシーンのはずですが、色気も素っ気もない。求む色気。 ーーーーーーーーーーーーーーーー うっすらと白く染まる屋根に、日が照りかえってまぶしい。この場所が一番静かな朝、まわし(下男)が外を掃く音が静かに響いた。 「麻璃亜、マリア」 寒い。 羽毛がたくさん入った布団の中でうなり声がする。 「ちょっと、京さん、その名はやめてって言ってるだろ。信燈だよ」 「似合わない、いッ」 ふすまを開けた長い髪
殺陣集団「しらぬひ抜刀隊」のメンバーをもとにした登場人物たちが謀略渦巻く京都市中にて出会い、物語をつむぐ。 各登場人物が主人公になり、オムニバス形式で連載予定。 episode1(主人公/五鈴) 幕末、博打狂いでもあり商人でもある五鈴という男がいた。 のらりくらり京都を根城に、商人・農民・佐幕派・攘夷派とあらゆる組織を相手をするに厭わない 自分の身を遊びに使う男であった。 今、己の人生を掛け金に丁半を張る。 —————————————————————— 帝のい
episode1「丁半ばくち(前編)」に出てくる五鈴と島田の小話。 本編は次話。 どうやら島田には好いたおなごがいるようで、五鈴はいつものように煮売り屋(居酒屋)で相談を受けているが・・・・・・ ーーーーーーーーーーーーーーーー 「お前、あの人と別れたというじゃないか」 惣菜が多く並べられた煮売り屋で、家に買って帰る女もいれば、店に備えられた横長の腰掛け台に居座り、その場で買った惣菜をつまんで酒をかわす男達が数組いた。 五鈴と仕事を終えた島田は、行きつけの煮売り屋でい
殺陣集団「しらぬひ抜刀隊」のメンバーをもとにした登場人物たちが謀略渦巻く京都市中にて出会い、物語をつむぐ。 各登場人物が主人公になり、オムニバス形式で連載予定。 episode1(主人公/五鈴) 幕末、博打狂いでもあり商人でもある五鈴という男がいた。 のらりくらり京都を根城に、商人・農民・佐幕派・攘夷派とあらゆる組織を相手をするに厭わない 自分の身を遊びに使う男であった。 今、己の人生を掛け金に丁半を張る。 —————————————————————— 何故、賭け