読書感想文:生きるとか死ぬとか父親とか

壮絶。
なんだか壮絶。
読み終わってしばらくはほかの言葉が出てこなかった。借金、病気、婚外恋愛、その他色々。身内の厄介事のオンパレードにひとりっ子である著者のスーさんが1人で向き合い、1人で受け止め、周囲にサポートされながらガシガシと対処する壮絶な中盤がずしりと心に残ってしまったからだ。
シングルイズドラッグ。独身は麻薬。
スーさんがデビュー作の最後でユーモア混じりに叫んでいた言葉が、この本を読んでずしりと重たくなった。

とはいえ。
この本が暗くて深刻かというと全然そんなことはなくて。感情の描写が詳しすぎなかったりかなり客観的だったりするからだと思うのだけど、内容が内容なのにぜんぜん湿っぽくない。気風の良い自分語りを聞いている感じで、清々しい気持ちで読み切れた。
「石原慎太郎とナベツネを足して二で割らない」という魔性のお父さんは時にちゃっかりとかわいらしいし、からっと楽しく微笑ましい場面もたくさん描かれている。吉田羊さん主演のドラマもきっと面白かったんだろうなあと想像した。

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