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【ビジョンを描く】10年後の組織図について

皆さんは10年後の組織図について考えたことがありますか。
また結婚されている皆様や、これから結婚する皆様にとっては10年後の家族構成を考えたことがありますか。

今日は、経営の人・モノ・カネで言えば人の部分に該当する組織図について考えていきたいと思います。個人の方は家族構成などに置き換えてみていただけると良いでしょう。


10年後の組織図の位置づけ

10年後の組織図や10年後の家族構成については、その組織や家族自体が目的化する事はあまりないのではないでしょうか。

つまり、「100人の組織にするために経営をします」とか「5人家族にするために生きています」とかそういった体制自体を目的とすることはあまりないのではないかということです。

経営でいうならば、どのような状態を実現したいからその組織が必要であり、家族であればどのような幸せを実現したいからそういった家族構成になっていると言うことです。あくまでこのように体制は目的を実現するための1つの要素と考えられるのです。

もちろん、5人家族で幸せに暮らすために生きる、という人生の価値観を持ってる人もいるかもしれません。そうであればなによりもまず5人の家族を作ると言う事が優先されます。

人生の価値観は人それぞれなのでその部分について特段のコメントはありませんが、基本的にはどのような幸せを描くか、家族にどのように幸せになってもらいたいかということでその要素として、どのような家族構成になるかというのが仮説として決まってくると言うことなのだと思います。

私自身は3人の子供がいて5人家族です。5人家族になるために生きてきたわけではありませんが、結果5人家族になってよかったと思っています。

あらかじめ計画できることもあれば、縁や運などによって状況は変化しますが人生の価値観があれば柔軟に受け入れられます


ヒューマンリソースとは全体戦略の一部

経営に話を戻しますと、将来の組織図が一人歩きする事はないと言うことです。将来の組織図は、将来会社が何によってお客様に貢献しているか、つまり選ばれているかということを抜きには考えられません

例えば外食チェーン店が、将来店舗を倍にして人数を倍にするということを考えるでしょうか。
今までの成り行きで言えば、そういった将来もあったかもしれません。(今までであっても少子高齢化、人口減少社会の中で描きづらいものではありましたが)

しかしこれからは、コロナの影響によって直接人と人とが近くで接してワイワイ騒ぐと言うことに対してのリスク(≒コスト)が上がってきています。
将来的に提供する価値とそのものを変更していくことが求められてるのかもしれません。

そういった中では、将来の組織図としては今と同じように店長とアルバイトさんの人員構成でやっていくこととは少し異なった状況になるのではないでしょうか。

テイクアウトに特化した料理の提供と言う価値を提供し続ける組織として存続するのであれば、キッチンや配送などのスタッフやシステムを充実させていく必要があるでしょうし、また、コミュニケーションと言う価値を提供するのであれば、キッチンのスタッフなどはおかずにその部分をテイクアウトで持ってきてコミュニケーターとしての人員採用を進めていくと言うことも考えられるでしょう。俗に言われるスナックのような店舗形態です。

いずれにしても将来の提供価値、組織としてどのように世の中に貢献をするのかということを決めなければそれに合わせた人材採用や人材育成が進んでいかないと言うことになります

もちろん将来の提供価値や将来像についても仮説ではありますが、経営理念、組織の価値観に基づいて提供したい方向性は根底から覆される事は無いはずです

であるならばバックキャスティングで想定した将来像に対して必要な人材を具体的に採用していくということが求められてくるのです。逆に言えばそういったことが描けずに人を採用しようとしても将来像を面談などで伝えることができないので組織としての魅力を候補者の方に伝えることもできません。候補者の方も自分が何を具体的にやっていけばいいのかということもわからなくなってしまうのです。


自社の強みが何から生まれているか

今、会社の商品サービスが何によって(何を強みとして)選ばれているか認識していますでしょうか。
経営戦略における強みとは、お客様から商品サービスが選ばれる理由になっているものです。
具体的に言えばQPSに落とし込まれた強み
と言うことです。

例えば製造業で言えば、熟練のスタッフが入ることによって他の会社では出せないクオリティーの商品を提供していると言った場合には、自社の商品サービスが選ばれる強みに熟練のスタッフ(熟練工)が大きく貢献していると言うことになります。

その熟練工の人は10年後どのようになっているでしょうか。これは多くの組織においても言えることなのですが、強みの源泉になっている人材が高齢化していて10年後20年後には組織に存在しないということが想定されるのです。この最たるものが経営者です。

世の中の経営者の平均年齢は60歳を超えており、後継者が不足している会社が6割にも達します。
10年後の組織図を描くときに、1番不安なのは経営者自身かもしれません。だからこそ外部承継と言う意味でのM&Aが活況になっているのです。

システム会社が、M&Aを繰り返すのも将来にわたって優秀なエンジニアを抱えておくことが自社の商品サービスの強みに直結すると考えているからです。また現在主力のエンジニアが10年後前線から退くと言うことも想定した上で組織図を作る意味でのM&Aを実行していると言うケースもあります。

とはいえ、システム会社も日本のように個別の会社ごとの業務にあった独自のシステムを構築する文化がクラウドの普及によって変わりつつあります。そのような中で、自社のシステムエンジニアをそれほど抱えることが戦略的に適切なのか、ということについては不透明な状況になりつつあります。


10年後の強みを何によって作るか

AIやロボットなどによって生産性が高められる時代が来ています。そのような中で人間しかできない事は何かと言うことが問われている状況です。そしてそのような中で将来商品サービスが選ばれる要素を作っていくのは人間でしかないともいえます。商品・サービスを実際に選んで使用するのが人間だからです。

もちろんこれはもちろんこれは仮説ですが、AIやロボットがより安い価格で一般的に普及するようになれば、AI・ロボットの存在そのものでの差別化要素はあまりなくなってくる可能性があります。

人が提供する価値がお客様が選ぶか選ばないかを決める差別化要素になってくる可能性が高まってくるということです。

お客様に選ばれる価値を提供できる人材をどのような組織構成によって機能させるか、機能してもらえるか、ということが経営にとっていままでよりもさらに重要になってくるということでもあります。

10年後、何によって選ばれているか。

独立した個人の方であれば、何によってお客様から選ばれているか、会社で働く方の場合には、何の価値によって会社に貢献しているか、ということを考えていく必要があります。


人材採用や、人材育成は将来像に依拠する

どのような人を採用すればいいか、今いる人材をどのように育成すれば良いかと言うことについては、組織が何を目指しているのかに依拠します。もちろん、中にはとても魅力的な人材が自分の価値観に基づいて人生を磨いた結果組織の将来像を動かすということもあります

このバックキャスティング思考や、将来ビジョンにから逆算をして経営をするという事は、このようなサプライズを否定するものではありません。むしろ、そういったサプライズの積み重ねが未来を作っていくことでしょう。

将来像を描いて、それを達成するために具体的に行動していきつつ状況を柔軟に取り入れながら軌道修正をしていけばいいということです。

人に求める能力要素や、育ってもらいたいスキル等は何のためにあるかと言うと、お客様への提供価値を上げるためです。お客様への提供価値が上げられなければお客様から選ばれる事は無いでしょうし今以上の付加価値を提供することもないでしょう。そのため将来の組織図がそこを構成する人員の能力やスキルについては、将来何をお客様に提供するかと言う事から逆算して考える必要があるということです。このような観点から見ると、将来提供することと今採用している人材や育成方針がぐちゃぐちゃになっている会社も多く存在します。

1番多いのは、将来像を描かないまま人材採用や教育を形だけ進めている組織です。


10年後の組織図に入りたいと思うか(採用マーケティング)

人を採用する時にも、採用する人に10年後の組織図に自分自身が入っていたいと思ってもらえなければ前向きな入社にはつながらないでしょう。
今の時代は副業や、組織への関わり方が正社員と言う形に必ずしも縛られない緩やかなものになってきています。なので関わり方はそれぞれですが、少なくともなにがしかの形で10年後も前向きに関わっていたい組織でなければ本気を出して組織のために仕事ができないのではないでしょうか

マーケティングは、基本的にはお客様のためにお客様に選ばれるために行いますが、採用も言ってみればマーケティングです。会社に入っていただく人に対して、10年後も居たい組織であるかどうかということをどのように伝えられるか、採用マーケティングと言う考え方がとても大切になります。

今の方は、特に働くことに意味を求める傾向にあるといいます。昔は意味のない数字目標を押し付けられてそれにまい進するというメンタリティがありましたが、今は、働くこと、存在すること(個人においても組織においても)の意味が問われる時代です。

この意味を考え、伝え、議論しながら前に進んでいくことができなければお客様からも、社員さんからも選ばれることはなくなってしまいます。


将来像を描くことの大切さ

仮説であっても将来像を描く事は大切です。そうすることによって人材採用の時に採用する人材に目指している将来像を語って聞かせることができるのです。

仮説でいいのです。軌道修正してもいいのです。それでも将来像を描いてそこに進んでいくということが大切です。

成り行きで現場の環境で受け身で経営をしているよりも、将来像を描いてそこに対して能動的に進んでいくことの方がエネルギーが入ります。そして自らアクションをしている分、責任もあます。その責任を引き受けることこそ「経営」のスタンスです。

でもその分、やりがいもありますし、参加する周りの人もやりがいを持つことができます。

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まとめ

・10年後の組織図は、10年後の将来像が描けなければ決められない

・将来像とともに組織図も仮説

・今、何で選ばれているか、将来何で選ばれるか。人の要素がより重要になってくる

・仮説でも、真剣に取り組んでいくことが採用マーケティングにつながる

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