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【ザゴール2編9:ネガティブ ブランチを切る】

このマガジンの過去の記事は上記に入れてます。

 過去のマガジンで改善の理論学習と実践をしてきた紫耀(ショウ)も入社して15年になる中堅社員となりました。製造で現場管理を経験した後、IT推進課を経て再度製造部に戻ってきたようです。
そんな時、紫耀(ショウ)はある日工場長の哲也に呼ばれ、製造管理だけでなく事業管理についても携わってほしいと内示を受けます。そこで、参考に哲也は、問題解決とは何ぞやについてザゴール2を使って紫耀(ショウ)に解説していくことに。今回は第5章「現在から未来へ」の後半を解説します。

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◆アイコスメティック社の現状ツリー

🧒;おはようございます。

👨‍🦳:おはよう。今日は第5章の後半に入っていく。前回ダイナ印刷では、現状ツリーを使って顧客と課題をシェアすることで、「自社VS顧客」という構造を「(自社+顧客)VS課題」という構造に変えていくという流れをそして、その結果オーダーを獲得したという部分を解説した。

🧒;今回は、売却予定の三社のうちのアイコスメティックの改善アクションについて解説というわけですね。

👨‍🦳;ああ、そうだ。ゴローさんは、ダイナ印刷を後にして、早速アイコスメティック社へ向かう。そこにはアイコスメティック社の社長の野久保さんがいる。

🧒;そこでも現状ツリーを使って問題を構造化していくわけですね。

👨‍🦳;その通り。まず野久保さんはアイコスメティック社の市場である販売店のUDEを列挙して、現状をツリーを作った。下記のように。少しよく見てくれ。

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👨‍🦳;まず、「注文サイズに合わせてディスカウントする」「大口顧客へのディカウント大きい」がアイコスメティック社の販売方針だそうだ。だが、販売店側には、販売店同士が競い合っているという現実がある。結果、販売店はコスト削減のため「大量に注文せざる得ない」という構造で下部からスタートしている。

🧒;なるほど、大量に仕入れたら「在庫を大量に抱えなければならない」というわけですね。

👨‍🦳;その通り。だが、ほとんどの販売店は「現金をあまり持っていない」のが現状だ。その結果、「多額の借り入れ」をしなければならなくなる。その結果、「借入費用がかさむ」となり利益は減る構造となっている。

🧒;なるほど、そうか、「さらに借り入れ能力に限界がある」と支払いに苦労することなりますね。そして、現状ツリーの左端に動いてみると、「販売店の販売予測がかなり不正確」なので、「大量に在庫を抱えているにもかかわらず、必要な商品が不足する」ということが起きるのですね。これで大枠現状ツリー解釈できました。

◆未来現実ツリーへ。ネガティブブランチを切る

👨‍🦳;その通り、じゃあ、次はどうするべきだと思う?

🧒;はい。未来現実ツリーを作るべきです。

👨‍🦳;そうだな。野久保さんは下記のように未来現実ツリーを下記のように作った。

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🧒;これを見るとここでコアになっているのは、「販売店への商品補充は1日単位で行う」と「ディスカウント率は、1回あたりの注文サイズでなく、年間の注文合計額をもとに決められる。」ですね。これが最初のアクションとなるわけですね。すばらしい。

👨‍🦳;その通り、この方法で売り上げは30%程度増えるようだ。

🧒;なおさらいいじゃないですか。

👨‍🦳;ああ、でも短期的には売り上げは落ちていく構造となる。

🧒:そうなのですか?

👨‍🦳:そうなんだ。例えば、商品をすぐ補充できるのであれば販売店は在庫を減らそうとする。そうなるとアイコスメティックの短期的な売り上げは減る。本の中ではそれは2か月分程度減るというこになっている。

🧒;それは大きい。。でも、それの二か月の売り上げが減るということを乗り越えれば、つまりネガティブ・ブランチを切ることさえできればよいのに・・。

👨‍🦳;その通り、そんな時。ゴローさんの隣にいた藤堂さんは下記のことを考え付いたんだ。

🧒;どんな策なのですか?

👨‍🦳:それは、「委託販売」の提案だ。

🧒:委託販売?イメージが・・。

👨‍🦳;つまり、納品した商品が実際に売れた分だけ代金を販売店に払ってもらうということだ

🧒:でも既存の顧客が在庫を減らすと短期的に売り上げが落ちてしまうのでは?

👨‍🦳;そこは、客先のキャッシュが回るようになるのが先決だし、委託販売をすることで新規顧客を開拓し売り上げを増やすということもできると判断したようだ。

🧒:確かにメリットあると思いますが、販売店は浮いたキャッシュで他社の商品を仕入れるかもしれませんよね?それはネガティブブランチになりませんかね?

👨‍🦳;そうならないように、ゴローさんたちはアイコスメティック社の陳列スペースの確保を委託販売の条件にするそうだ。当然交渉と自社の製品ラインナップによるけど、どうやらアイコスメティック社はその要件にマッチしているようなんだ。

🧒:ん?売れた分だけ販売店に支払いをお願いする委託販売にして、さらに売り上げも増えて、スペースも確保するということはですよね。危険予知というか、結果、欠品を防ぐための在庫生産が増えてしまうのではないでしょうか?堂々巡りになってしまいますが・・。

👨‍🦳;なるほど、確かにそういう考えはある。だが、各販売店の在庫が、アイコスメティック社の在庫となり自社自身で在庫を持たなくてよい、つまり販売店で必要量を管理してくれるという形になる。その結果、藤堂さんの計算によるとその結果、売り上げが変わらなくても、売掛金が随分減って35億のキャッシュが浮くことになるという。

🧒;え?そんなに?会社の規模がぼやけているので、何とも言いにくいですがそれだけ各販売店が多くの在庫を抱えていたということですね・・。

👨‍🦳:ああ、そうだな。こうして、委託販売、つまりJITに近い考え方の販売方法を販売店と共に構築していくというのがアイコスメティックの解説策になったというわけだ。

🧒:なるほど。後は、売却予定の3社のうちのプレッシャースチームの改善が残るのみとなるのですね。

👨‍🦳;ああ、そこを次回6章で解説していこう。

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 今回は第5章の後半を解説しました。今回は、現状ツリーから未来現実ツリーに移行する例の紹介となりました。ちょっと強引な所もありましたが、構造を理解しコアを仮説として立て実行していく。この作業は有効的ですね。さて、次回は最終章の6章に入っていきます。そこでは売却先の3社のうちの最後の会社の改善策を模索していきます。

なお、下記noteにものづくりに携わる人であれば、必要であろう知識について、本マガジン同様に対話形式で解説しています。もしご興味あれば、覗いていただければ幸いです。

休憩がてら、番外編マガジンもあります。

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