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【ザゴール2編5:現状ツリーで問題を構造化する】

このマガジンの過去の記事は上記に入れてます。

 過去のマガジンで改善の理論学習と実践をしてきた紫耀(ショウ)も入社して15年になる中堅社員となりました。製造で現場管理を経験した後、IT推進課を経て再度製造部に戻ってきたようです。
そんな時、紫耀(ショウ)はある日工場長の哲也に呼ばれ、製造管理だけでなく事業管理についても携わってほしいと内示を受けます。そこで、参考に哲也は、問題解決とは何ぞやについてザゴール2を使って紫耀(ショウ)に解説していくことに。今回は第3章「生贄に三社」の後半を解説します。

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◆現状ツリーの作成

🧒;おはようございます。今日もお願いします。前回は、社外取締役の松原さんに15の「好ましくない現象(UDE;un desirable effect)」を提示されそれを構造化、問題の特定をするように指示されたところで終わりましたよね。

👨‍🦳;おはよう。そうだな。自分の会社ではない案件だが、ゴローさんの事業部の傘下の会社を売却させないためにまずゴローさん自身が信用されないといけないからな、思考プロセス、現状ツリーを使った問題解決の可能性を見せないといけないからね。

🧒;なるほどです。その他社さんの課題というのは下記のものでしたよね。これを構造化、つまり現状ツリーにしていくわけですね。そして、根幹となる問題、つまりコアを探しているというわけですね。

1競争がますます激化している
2 価格引き下げのプレッシャーがますます増大している
3 市場が望む価格では、十分なマージンがとれない場合が増えている
4 市場の期待に応えるパフォーマンスを示すことができないと、市場から見放されてしまう
5 マネジャーは、部分最適化を達成することで、会社を運営しようとしている
6 社内それぞれの部署同士で、互いのパフォーマンスの悪さを責め合っている
7 売上増大のために何か策を講じろと、ますますプレッシャーが高まっている
8 新商品をこれまで以上のペースで投入しないといけない
9 新商品が次々と導入され、市場が混乱する
10 新しい販売チャネル・製品は、既存の販売チャネル・製品の売上減につながる
11 営業スタッフの多くが、必要なスキルに欠けている
12 営業スタッフに負荷がかかりすぎている
13 製造、流通部門の改善が順調に進まない
14 技術部門による新商品の開発が順調に進まず、信頼性にも欠ける
15 革新的なマーケティングのアイデアが企業には欠けている


👨‍🦳;そう。多くのUDEはコアの問題から派生している現象にすぎないからね。ここで、依頼を受けながら、社外取締役にも一緒に作ろうとゴローさんは提案するんだ。

🧒;すごい。目上の人を巻き込んじゃうのですね。

👨‍🦳;でも、俺はこの依頼はすごく、すごくいいことだと思う。一緒に考えるということは、文脈を共有するということだからな、お互いの暗黙知を共有することができるんだ。だから、こう課題を一緒に分解することで、提案する解決策も一層相手に理解されやすくなる。ここ本の中では触れていないけど私の経験上非常に重要なポイントだ。

🧒:でも、このUDEがいきなり与えられているというのはちょっと実情と違いますよね。

👨‍🦳;そう。まず、何が問題・現象なのか洗い出すところから始まるからね。そこも重要だが、今回はそれは洗い出せる前提として話を進めていこう。

🧒;なるほどです。しかし、この現状ツリーを作っていくにあたって何か準備するものとかあるのですか?複数の人で、何かの問題の構造を見えるようにするわけですからポストイットとか?

👨‍🦳;その通り、まずポストイットを用意して、UDEをすべて書き込むことが大事だ。同じように早速ゴローさんたちはつながりを考えていく。しかし君ならまずどう考えていく?

🧒;えー。そうですねー。どうしましょう・・・。

👨‍🦳;最初いろいろ考えてしまうけど、まず選んで始めてしまうのがいいと思う。例えば「UDE8;新商品をこれまで以上のペースで投入しないといけない」と「UDE7の売り上げ増大のために策を何か講じろとますますプレッシャーが高まっている」というのはまずつながりそうだよな。

🧒:はい。つながりそうですが、ちょっとしっくりこないですね。

👨‍🦳:そういう場合は、状況を理解している自分たちで付箋を付け足していくんだ。例えば、7と8の間に新製品を速やかに開発しろとますますプレッシャーが高まっているとかね。さらに補足で、「売り上げを増やす最も効果的な方法は新商品開発」という言葉も付け足そう下記のようなイメージだ。

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🧒;あれ?この三日月みたいなやつなんですか?

👨‍🦳:これは、「かつ」という意味だ。さらに、ここで具体的な状況に絞っていきたい場合は、コメントもなるべく細かく書くといいい。上でも先端素材産業と書いているように産業を絞っている。これは本の中の話だから難しいけど実際は書けるだろう。

🧒:なるほど。でも、これって単純なものならささっといけますが、15個とかになってくるとなかなか難しいですね。

👨‍🦳;そうだよ。物事の因果関係を明らかにするってことは簡単じゃないんだよ。でも、これを実施して問題を構造化しておかないと効果的な改善策はだせない。そして、多くのUDEは関連性を持ちながらループをする場合がある。例えば、「UDE1で競争が激化している」というのがある。そして、今上ので解説したプレッシャーの話がある。

🧒:なるほど、鶏と卵のようになっているのですね。激化したから売り上げ増大のプレッシャーが高まっているし、売り上げの増大のプレッシャーがかかればさらに競争は激化しますし。

👨‍🦳;そう。すべてのUDE同氏をきちんとつなぐためには、一つ一つのUDEを軽かるしく扱わず付け加えていく必要があるんだ。

🧒:なるほど。実際に慣れていかないとなかなか難しいということですね。

👨‍🦳:ああ、習うより慣れろだし、これはロジカルシンキングにもつながるし、鍛えておくべき能力だろうな。上記の15項目の現状ツリーの思考の流れは、細かく本書に書かれているか参考に是非読んでみてくれ。最終的にゴローさんたちは下記のように現状ツリーをまとめた。

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🧒:おお、やはり大きくいろんなものがつながっていますね。

👨‍🦳;でも、結果論のように見えるかもしれないけど、最終的には、一番上のUDE10とUDE4の「現象が好ましくない現象」として発生していて、一番下を見てみると一番最初の問題となっているのは、UDE5の「マネジャーは部分最適を達成することで組織を運営しようとしている。」になるね。

🧒;なるほど、ここでコアはUDE5となるわけですね。

👨‍🦳;本当にこれが正しいかどうかというのは100%言えるわけではないと思うんだ。いろんな人の見方があるからね。でも、少なくとも、コアの確率が高いものであり、関係者のコンセンサスが取れた最初の解決策となるんだ。

🧒;コンセンサスが取れていればアクションも早いですね。おー、思考プロセス・現状ツリーすごい。ゴローさんはこれを社外取締役に見せたのですよね。これで売却は考え直されたんでしょうか?

👨‍🦳;いや、そうはいかない。社外取締役は関心はしたが高く売るためにいい仕事をしたという発言をするんだ。今は他社さんの事例を分解しただけだから、これから売却予定の3社に対して現状ツリーを作って問題を解決していかなければならないんだ。それが第4章以降に描かれていく。

🧒:おー。そうなのですか。よろしくお願いします。

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 今回で第三章までが終了です。現状ツリー難しいですよね。。まずUDEを洗い出すところから実際は思考を開始しなければならないですし、UDEを出してもツリーを作っていくにはかなりの時間と思考労力がかかるはずです。でも、だからこそ構造化できた時には真の問題を発見できる可能性が上がるのでしょうね。私自身さらに訓練していかなければと改めて感じています。さて、次回は4章に入っていきます。

なお、下記noteにものづくりに携わる人であれば、必要であろう知識について、本マガジン同様に対話形式で解説しています。もしご興味あれば、覗いていただければ幸いです。

休憩がてら、番外編マガジンもあります。

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