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声のお仕事をしているすごい人達

映像制作にナレーションは付き物で、単発でナレーションを入れて頂くお仕事もありましたし、ドラマの吹き替え制作で声優さんと数ヶ月一緒にお仕事をしたこともあります。
結構厳しい業界で食べていくのは大変だと聞いていましたが、その技術は本当に高い人ばかりでした。

声優さんの団体演技

ドラマの吹き替えになると10人以上の声優さんが集結し、一度に広いブースに入って声撮りをします。そこは服のこすれる音も拾って録音されるほど緊迫した空間です。
ブースの中では映像を無音で流しながら、俳優さんの喋りに合わせて台本を読み上げていくのですが、演技上5秒の早口の場面でも、ピッタリ5秒で長いセリフを読み上げたり、喋りの口パクの間合いや呼吸に合わせてセリフを表現していました。

一人で3役とかやる声優さんもいて、本当に一人でやってる?と思うくらいに別人の声で別人格を演じれる人や、小学生の子供役をしながら、おばあさん役もやれる人。

真骨頂の団体ガヤ

そして毎回驚かされたのが、カフェなどの雑踏シーンで、台本には「ガヤ」としか記載されていないのに、複数の声優さんでちょうどよい雑音を醸し出す場面です。
シーンで会話している声優さんの喋りを邪魔せず、うっすら奥の方で会話や笑い声を出す技術や、喋りではなくコーヒーをすする音や、店内を歩いている足音、店員さんの「お待たせしました」のような業務音。
すごく自然な空間を数名の声優さんで一斉に作り出されていました。

打合せはしていないはずなのに、一緒に何度も練習をしたあとのような一体感。これがプロか!とシビレた想い出なのですが、視聴者のほとんどの人は、そこに意識はいかないような細かい場面です。
そういう細部にこそ、魂を宿らせることがプロのプライドなんだなって学ばせてもらった経験でした。

今度吹き替えの映画やドラマを見る時は、裏の音や声も聞いて見てください。


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