時間が停滞する日

 不眠症になってしまった。
 ちょうど、2ヶ月ほど前の話だ。

 以前から眠れない日が続いていたが、その日は脳がずっと緊張しているような感覚でベットで眼を瞑っても5〜6時間は眠れない辛い日だった。

 仕事にならないので、会社を休んで睡眠薬を貰いにいくことにした。今まで睡眠薬を服用したことなかったので、眠いけど眠れない眼を擦ってスマホで検索したところ、精神科で出しているとのことだった。

 ダメもとで近くの精神科に連絡したところ午前中には診断可能だった。

 病院に向かい、精神科医に不眠症になってしまったと説明。日々の業務による疲れが積み重なったのが原因と思われると伝えたところ「それはうつ病に伴う不眠症ですね。会社も2ヶ月ほど休んでください」とあっさり答えた。

 うつ病に対して、知っていることが少なかったので自分がうつ病になっているとは思いもよらなかった。大人しく医師の判断に従った。

 帰路の最中、途方に暮れつつ、これで会社を休めるなと安堵している自分がいたのも事実だ。

 会社に事情を説明し、その日の夕方には正式に休職扱いになる。最低、2ヶ月の休職期間になったのだが、2ヶ月ではまだ休みが足りないなどと言い出すのは別の話である。

 色々、手続きやら引越しの準備もあったので、すぐに何もしないということにはならなかったが、休みが出来て嬉しいかと言われれば嬉しいとしか答えようがない。

 確かに最初の1週間ばかりは何もしたくなく、ただひたすらに椅子に座ってうなだれていたことはあったが、それも落ち着いてくると今まで時間がなく読めていなかった本などを読み始めて徐々に回復に向かってきていると感じ始めた。

 そして、2ヶ月があっという間に過ぎてしまった。まるで時間が停滞していたのか、もしくはすっ飛ばしてしまったかのような感覚に囚われている。

 仕事をせず怠惰に過ごすことを久しく忘れていたが、人は簡単に環境に順応してしまうのだなというのが現在の感想である。


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