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直感でわかるナッジ【基本編】②:身近なナッジを探してみる

健康支援現場の皆様から「急に政府がナッジを使おうと言い出したので現場でビックリしている」という声がよく聞かれます。多くの人がナッジの存在を知ったのは2017年かもしれません。日本政府にナッジユニット(ナッジ戦略チーム)ができ、秋には、ナッジ生みの親・R.Thaler博士がノーベル経済学賞を受賞しました。

そして2019年。成長戦略実行計画(閣議決定)にナッジが採用され、国の通知や事業にも「ナッジ」が多用されるようになりました。横浜市、尼崎市、岡山県、つくば市と地方自治体でのナッジユニットが立ち上がりました。竹林はこの3つのナッジユニットで講演させていただきました。3つの講演の様子は別にnoteに書きます(かなり盛り上がりました!)。また、2019年は企業や学会でも多くのナッジ研修会が開催されました。

このようにナッジは急激に広がったこともあり、現場の皆様が「いきなりナッジの話が出てきて…」と戸惑うのも共感できます。私自身、ナッジブームにびっくりしています。ナッジの通知を発出する官僚の中にも、実はしっくりきていない人もいるかもしれません。多くの人がまだナッジを知って3年以内の初学者です。ナッジは今、学問として伸び盛り時期を迎えており、多くの人が実践することで成長していきます。一緒に楽しく学び、そして育て上げていきましょう!

さて、日本ではナッジ戦略が採用されたのは最近のことですが、実は昔からナッジは私たちの身近にありました。こんな事例、見たことありませんか?

ナッジという用語は使われなくても、ナッジの概念を使った取組は昔から行われていましたが、中には間違った使われ方をしていたものも少なからずありました。科学的に検証し、そして効果があったものを体系的に整理することによって、理論として確立していきました。

私たちがナッジを体系的に学ぶことができるのは先人の積み重ねた知のリレーを受け継いだからです。先人たちの軌跡は、「予想通りに不合理」(D.アリエリー)、「実践行動経済学」(R.セイラー&C.サンスティーン)、「ファスト&スロー」(D.カーネマン)にわかりやすく整理されています。ぜひ読んでみてはいかがでしょうか?

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