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ラーの鏡をたたき割りたい

わたしは自己顕示欲が強い。『そんなことありませんよ』という顔をしておきながらも後生大事に抱え込んだ自己顕示欲をぎゅっと抱きしめている。その証拠に過去20年近くにわたって様々なプラットフォームで駄文をつづり、今もまだnoteで文章をアップしている。

文章のみならず、楽器、歌、ダンス、演劇と『わたしを見て!!!』と半端にかじってはやめ、再開し、を繰り返している。そのどれもがパッとした結果を出せておらず、自分もNPD性質をしっかと持っている事実に頭を抱えそうになる。

近年は録音、録画技術が向上し、素人でも簡単に取り扱えるようになっている。カラオケにも録音・録画機能がついており、時折録音しては絶望している。最近、『うまれてはじめて』(『アナと雪の女王』劇中歌)にハマってせっせと歌っている。神田沙也加さんの伸びやかで弾むような歌声は本当に素晴らしく彼女の足元に1mmでも近づきたい!の気持ちで歌っている。非常に難しいリズムを難なく歌いこなし、そのうえ演技までしっかりされている神田沙也加さんの才能、技術力のすばらしさに感服している。

先日もカラオケで『多少練習(せいぜい3時間程度)したから、ちょっとは良い感じに歌えているだろう😊🎶』と意気揚々と録音をし、帰宅後『ほれほれどんな感じかな😊🎶』とウキウキで自分の美声に酔いしれようとした。再生したとたんジャイアンも裸足で逃げ出すリサイタルが強制的に始まり『すわブラクラかッ!?!?!』と椅子から転げ落ちた。この歌声ではアナも運命の人どころかハンス王子にも出会えそうにない。エルサと違う能力者として闘えるようになってしまう。

今年になって習い始めたダンスに関してもそうだ。ダンスに関しては何も言いたくない。録画のダメージはでかい。

理想像とかけ離れた現実のしょぼさを見るとラーの鏡を粉々に叩き割りたくなるが、現実は消せない。逃げ出したいほどの恥ずかしさと直面して過剰な自信をバキバキにへし折られながら、少しずつ理想像に近づけていくしかない。表現者に限らず様々なプロフェッショナルがかっこよくてたまらないと思うのなら、狭い部屋で『オレはすごい』と念仏を唱えずに臆病な自尊心を適宜粉砕されながら立ち上がる必要があるのだ。現実の残酷さに恥ずかしさで身もだえしつつ『うまれてはじめて』を練習し続ける。神田沙也加さんの足元に少しでも近づけますよう。


厳しすぎやろ、現実


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