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からあげ定食

「今日のね、給食のからあげ、私のところにみんなより少し大きいのがきたんよ!!」

そう友人が帰り道の第一声に今日一番であろう笑顔で伝えてきた。
あれは小学5年生くらいのことであったと思う。

大人になった今、からあげ定食を頼んでも、友人より私の方が大きいなど考えなくなった。それよりも目の前の話題に夢中である。
しかし、あの時の小学生の毎日では給食がなによりもその子の楽しみだったのである。からあげの数センチの大きさでその子の一日の期待と、その子のその後の一日のテンションは大きく変わっていたことに間違いはないだろう。

からあげに限らず、あの、小学校という狭い世界では、そんなことで というような小さなことがビッグニュースになりかねないのだ。


私は、栄養教諭を目指している。管理栄養士としてどこで働こうか…と迷ったとき、あの友人のなんとも嬉しそうな顔が思い浮かび、私も誰かの世界のその日のビッグニュースにされるような給食を考えたいと思うようになった。就活を行う上で壮大な夢への理由を考えなければとも思ったが、夢を目指す理由なんてそんな些細なきっかけでよいのではないかと思った。

また今度、あの友人に会った時に最近の嬉しかったことを聞いてみようと思う。

小学生の時に食べたからあげよりも大きい
からあげ定食でも食べながら。

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