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歳を取る

ソーシャルディスタンスが謳われるこの世の中で、就職活動も従来の形式とは違ったものとなった。コロナ期間中の面接は全てオンラインで行われた。

ある時はオンラインでのグループ面接だった。服装は自由ということだったが、流石にTシャツで参加するのは忍びないので、半袖の白と青のストライプのワイシャツといった自分の私服の中では綺麗めな格好にした。当日は電波の調子が悪く、集合時間ギリギリになってしまい、僕以外の学生はみんな参加していて、僕が最後の参加者となった。もちろん、僕もそうだが、周りも緊張で顔が硬っていた。普段はあまりこういった待ち時間中に話さない方だが、自分が参加したことで話の腰を折ってしまったかもしれないという負い目から挨拶だけはした。すると、ある学生が最近寒いですよねと言った。僕に話しかけているかはわからなかったが、時間が経っても誰も返事をしないので、あまり寒いと感じることはないと答え、どこに住んでいるのかと問いかけた。すると、その学生はもちろん、他の学生たちも自分の住んでいる場所を答えた。正直あまり興味はなかったが、自分の質問で話が盛り上がるのならよかった。その流れで僕も自分の住んでいる場所を答えたのだが、なぜか変な空気になってしまった。そこである学生が、面接官の方ですよねと念を押すように質問した。会社の場所と僕の住んでいる場所があまりにも違いすぎて、こんな空気になってしまったのかと察知し、違いますと答えたはしたが、もう面接が始まっていると思った、めっちゃ緊張してしまったなど僕が面接官だと思った人が大半を占めていた。

二歳違うだけで学生と面接官くらいの差に見えてしまうのかと悲しくなり、面接が終わった後、そんなに老けて見えるかなと鏡の前の自分に問いかけた。

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