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一番古い記憶

誕生日が二日違いで、三つ年下の妹がいる。

その妹のお産で母が入院し、伯母の家に預けられるため、父と二人で乗っていた電車内の光景を覚えている。

なので、二歳の終わりくらいの記憶が一番古いものになる。

預けられているときの記憶もいつくかある。

二つ年上の従兄が通う幼稚園の陽の当たる明るい印象のある園庭を、柵の外側から叔母と覗いている場面や、アパートの薄暗い雰囲気の台所のようすを思い出すことができる。

そんななか、わがまますぎたため、面倒見切れないとSOSが出て連れ戻され、出産までの何日かを自宅で仕事を休まざるを得なかった父と過ごした、そんな日々の光景も覚えている。

その次の記憶はしばらく後の妹のお宮参りで、座っている時間が長く、早く終わらないかなぁと思っている場面になる。

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と、こんな話をすると、同じ歳の妻は幼少の記憶などほとんどないと言う。

幼稚園の記憶ですら、何らかの理由でいじめっこの男の子が先生にしかられているところなど数場面とのこと。

記憶なんてどうでもいいというスタンスの妻が、なんだかとても潔く清々しく思える。



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