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あれは強迫笑だったのかという話

小学4年、下校前の帰りの会の話。

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人前で物怖じしない人間に育てたかったのかどうかわからないが、机の縦一列ずつ児童が一分間ひとりで好きなパフォーマンスをする「一分間スピーチ」なることをしていた時期があった。

当時TV放映されていた野球アニメ「キャプテン」のオープニング曲「君は何かができる」などの歌をアカペラで歌う、その日の個人的なニュースを話す、給食の感想を述べる、などそれぞれ。

目立ちたがり屋にはなんてことないことだが、引っ込み思案には地獄のよう
な時間だったと思う。

途中で言葉に詰まり赤面してしまう女子などはかわいそうだった。

両者のどちらでもなかったわたしの一分間スピーチは、適当な空想話で秒針をチラチラ見ながら1周するまで間を持たせていた。

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きっかけは全く覚えていないが、1分間目を閉じてじっとするという修行のような日もあった。

たぶん授業中や帰りの会など、私語禁止の時間に児童がうるさいので教師が考えたことなのだろう。

結論から先にいうと、わたしは目を閉じたまま笑ってしまった。

誰かが声を出したらこの場はどうなるんだろうという映像が脳裏に映し出された。

じっとしていたれなかった者として、黒板にチョークでわたしの名前を書く音が聞こえた。

廊下で一緒に下校する友達を待つ者たちから「〇〇だって」と、わたしの名を呼ぶのが聞こえた。

わたしは恥ずかしくて泣いてしまった。

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結論

大人になって一分間スピーチが役立ったことはなく、強迫観念に囚われることもない。

帰りの会は必要最小限の連絡事項にとどめ、速やかに児童を下校させるべきだと思う。

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