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好きなんだよ。大好きだよ。
一昨日別れを唐突に告げられた。
でもその言葉を使わないように、けれど残酷にも離れたいの意思は曲げずに伝えようとしてきた。
あの人にとっては唐突じゃなかったのかもしれない。だけれど、理由を聞けば聞くほど後付けのようなものばかりで全く前から思っていたことのようには思えない。
「私がなにか悪いことをしたの?不機嫌になったのが嫌だった?」
「何も悪いことなんかしてないし、貴方は悪くないよ。何にも。全部俺が悪い。前みたいに貴方を想う気持ちだけで動けなくなってしまっていることが辛くて仕方がない、ただそれだけ」
「ほかに好きな人が出来たの?」
「ほかに好きな人が出来たわけじゃないよ。」
「私のことを嫌いになったの?」
「そんなにすぐに人のことを嫌いにはならないでしょう。嫌いになったんじゃないよ。」
「もう好きじゃなくなったんだね?」
「好きじゃなくなっちゃったのかなあ。分からないよ。」
好きじゃなくなったとも、ほかに好きな人ができたとも、突き放すようなことも言わない。
ただ、自分の中で以前ほど「好き」の気持ちで動けなくなってしまった自分が情けなくて、一緒にいるのが辛いんだとぽつぽつ泣きながら話す彼。
私は好きなんだよ。大好きだよ。
そう伝えると、「分かってるよ。好きでいてくれていることくらい。分かってるよ。」と必死に答えて苦しそうな表情を浮かべていた。
別れようなんて本当に口にしない彼だったから、わざわざ会いに来て別れを告げるくらい決心が着いてるのだと思っていた。
なのに、付け入る隙間がありすぎて、突き放されることも無くて、納得ができなかった。
「キスして」
彼の弱い部分に尽くつけ込んでしまった。してほしかった。
苦しそうな顔をして1度短いキスをしてくれた。
彼は、どうしたいの、、とまた泣き始めてしまった。
理由は、たった一つ。自分が理想としている彼氏になれないことに息苦しさを感じている、ただそれだけ。
今までずっと、二人のことは二人で一緒に話し合って決めようと彼が話していた。
それなのに、こんな話にいたっては「自分の中で話し合っても無駄だと思ったから」と彼は自己完結してしまっている。
私は別れたくない。もう少し一緒にいよう?
そう言うと、俺は一緒にいることがこんなにも辛いのに?と涙目に言われてしまった。
なんにも言えなかった。苦しめたいわけじゃない。
彼の主張には、いつも通りの筋の強さが全くなかった。情もあるのかもしれない、いや情が湧いてブレてしまっているのも間違いないと思う。けれど、ずっと別れたくないの私の主張に肯定も否定もしてこなかった。
「ここに来るまでの間、この話をすることによって私はどんな反応をすると思ってたの?」
「嫌がられるとは思っていたよ。」
分かってるんじゃないか。嫌がられるのをおしのけてでも別れようと思ってきたんじゃないのか。
それなのに私が言葉を発すれば発するほど、彼は苦い顔をして息が苦しそうにして、言葉も詰まってしまっていた。
今日は無理。どうしても今日、はいそうですか。じゃあ別れましょう。って言えない。時間がほしい。
そう言うと、分かったと言って私の家にある彼の私物をよろよろとかき集めて帰っていった。
丸一日、時間をとってほしいとお願いした。
丸一日空いてる日は、私たちの都合上最短で2週間後の祝日。
それまでの間に何が変わるかは分からないけれど、もっと先になるかもしれないけれど、私はどうしても次会う時までに彼の気持ちが変わっていることを願っている。
翌日の早朝に送った彼へのLINEはまだ既読がつかない。
「私からこれ以降連絡しないから、気持ちが落ち着いたら、また連絡して。」
そういった旨を伝えているけれど、まだ彼は既読をつけない。
このままフェードアウトするような最低な人じゃないと信じている。
いつかは、どの道を選択するにしても顔を合わせてしっかりと考えたい。この先のことを。
好きなんだよ。大好きだよ。
本音を話して欲しいよ。
貴方の未来に私がたとえ居なかったとしても。
私は貴方が愛おしいよ。
次会う時が最後になってしまっても、もっと本音で話し合おう。
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