見出し画像

なぜ今、世代を越えて交流・協働・共創することが大切なのか?(その2)

(その1)では、日本社会が抱える少子高齢化の危機と、GENERYS(GNR)の取組みの経緯などを書きました。今回さらに、世代間交流の意義について掘り下げていきます。

なぜ、世代間のつながりに価値があると思ったのか?

書けば長くなるのですが・・・、私の経験からです。
前職の監査法人を2008年に退職独立して以来約10年間、大した看板もない個人の私に対して、様々な世代の方から貴重なつながりをいただきました(ホントに、人と人とのつながりはかけがえのない資産ですね)。

おかげさまで、独立から丸12年が経ちましたが、人と人とのつながりが仕事の面でも大変助けになっています。余談ですが、監査法人からの独立は、収入ゼロからのリスタートでしたので、30代半ばの私にとっては「仕事がなかったらどうしよう・・・」という不安が強かったのを覚えています(しかも、想定外に、独立記念日(2008年9月15日)がリーマン・ブラザース証券破綻の日!で笑うしかなかったです😭)。
今は、会社の看板ではなく、一個人として、いろいろな方とのつながりをいただきましたので、仮に今の仕事がなくなっても「何とかなるだろう」という感覚です(年齢のせいもあると思いますが)。

一方でその間、さまざまな課題感や仮説も感じてきました。

シニアは、それまで培ってきた貴重な知見や人脈があるのに、何となく内に抱えているだけで、社会や次世代に十分還元できていないのでは?
・有望なプロダクトや高い「攻撃力」を持ちながらも、シニアやミドルにとっては良く分かっている「落とし穴」にはまり、消えていくユース主体のスタートアップが多い。結局、大きな失点をしないチームが勝ち進むのだから、もっと上の世代と積極的につながって、知見や「守備力」の面でサポートしてもらうよう甘えてもいいのでは?
ミドルは、シニアとユースそれぞれに接点が多いのだから、上下の世代をもっと積極的につなげる役割を果たすべきでは?
・同世代や同業種などの均質性の高いコミュニティではなく、普段は交わらないような異世代間の知見循環や価値観のぶつかりが、これまでにない予期せぬ化学反応を起こすのでは?
・その化学反応が、社会課題解決や事業価値創出のきっかけとして有用であることを証明できれば、世界の中でも圧倒的に超高齢化を突き進む日本が、今後高齢化が進むであろう諸外国のロールモデルになれるのでは!(世代間コネクトで価値を産むJapan Model!)

何か、各世代が「分断」している気がしました。。。
その一方、気心が知れ、信頼関係がある人同士だと、年齢差関係なく、こんな話が出て、純粋に楽しく、為になる経験を幾度となくいただきました(特にお酒が入ると遭遇しやすい笑)

・自分が失敗した時の話や修羅場ストーリー(ある意味、武勇伝)
・そこからうまくリカバーできた話(できなかった話も)
・そのリカバー経験や裏技が、その後の人生でとても役に立っている話

私は独立以降、社外役員などの仕事で、自分より上の世代の方々とお話する機会も増え、打ち解けた際に、数多くの貴重な「失敗談」を伺えました。
これは、私が企業経営やコーポレート・ガバナンスに関わるうえで、大変参考になるものです。

ただ、これらの暗黙知を私以上に必要としている方々が、世の中にはもっとたくさんいるはずです。特に、新規事業にチャレンジしているユース世代や、地方創生などで事業リノベーションに尽力しているミドル世代などに、お伝えすべきと思っています。

いわゆる「しくじり先生」話は、会社の上司と部下、先生と生徒の間など、自分の評価や成績に影響する利害関係のなかでは、すぐには出てこないのではないでしょうか。一方、その場を離れると直接利害関係のない3rd Placeコミュニティ内では、メンバー同士の信頼関係やコネクトがあれば、案外抵抗なく話せたりします。

なぜ「失敗談」「修羅場話」に価値があるかと言えば、

・とても再現性が高いからです。
・一度した失敗は同じような形で何度も繰り返されます
・これはビジネスの世界でも、人生においても、同じではないでしょうか。
・そんな話をどこかで事前に聞いておけば、深い傷を負わずに致命傷にならない可能性が高まると思います。
・そんな価値の高いお話なのに、世の中にはあまり出ていない(まあ、属人性が高いので、教科書的な内容にはなりにくいですよね)

自戒の念も込めて言いますが、危険なのは、上の世代が頼まれてもいないのに語ってしまう「成功体験」「美談」です。しかも、多くのケースで過去の成功は、時が経てば経つほど、盛られています(笑)。

有用なお話であったとしても「成功体験」は、その人の能力はもちろんですが、一期一会の運や、その時の風向きなどに左右され、同じことを再現しようとしても、かなり難易度が高いと思います(MBAの成功事例を学んでも、必ずしも成功に結びつかない)。
その長~い話をガマンして聞くのは、ユースにとっても辛いことです。

なので、GNRに集うシニアやミドルの方には、ご自身の経験の中から「失敗談」や「そこからリカバーした話」を、ぜひユースにしてあげて欲しいと思っています!

異世代間交流の雰囲気

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

GNRを始めた、もう一つの(隠れた)動機

実は、GNR運営にある程度の時間(と少しの資本)を使い、日々試行錯誤している隠された動機があります。それは、

自分が60歳か70歳になった時に、相手に年齢ギャップを感じさせることなく、20代や30代の人たちと、プロジェクトベースで何かチームを作っていたい!

という単純な動機です(笑)。
人生長い(予定)ので、80歳まで楽しく、若い人にウザがられず、世の中に価値貢献しつづけるためにはどのように行動変容すればいいか、ずっと考えていました(結構暇ですね)。
そこで見つけた答えが、

頭であれこれ考えるより、自分が中心になって、ゼロからそれをやってみればいいじゃん。

というものでした。残念ながら、まだその手応えはないので、もうしばらくは、試行錯誤の日々が続きますね。まだ60歳まで10年ちょいあるので、何とか間に合えばいいのですが・・・。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

実際の異世代間交流って、どんな感じ?

まあ、とにかくやってみようということで、2018年9月にはじめての交流会をレンタルキッチンスペースでやってみました!
運営は初めてだったこともあり、参加者の皆さんにも会場設営から、最後の片付けまで手伝ってもらい、手作り感満載のイベントでした(楽しかった)。

でも、正直不安もありました。オフ会では、グループ分けをする際には、あえて3世代が混ざるような座席割りにしましたが、

初対面のユースとシニアが、いきなりきちんと話せるのかな?
全く交流が起こらなかったらどうしよう??

結論としては、心配ご無用という感じでした(初めてのオフ会の様子)。

写真

この時は、まずは自己紹介を!ということで、自分にまつわる#(ハッシュタグ)やキーワードを考えてもらいました。そのうえで、各グループのメンバー間での「#かさなり」を発見すべく、各自の「#マッピング」をシェアしあうというGNRらしいプログラムでした(懐しい)。

オフ会プレゼン資料

これは私のサンプル例でしたが、皆さんに真剣かつ楽しそうに取り組んでいただけました。この時の手応えが、その後、GNRメンバー登録時に皆さんにお願いしている「#満載のプロフィールシート」((その3)で詳しく書きます)につながっていきます。

・・・で、2年近く(定例交流会は2021年1月で26回を越えました)、毎月のように異世代間交流のオフ会をやってきた率直の感想としては、

・世の中が思っているほど、世代間の隔絶はなさそう
・単に出会う機会が少ないだけで、会って話せば、お互い刺激や気付きがある
・もちろん価値観・スキル・スピード感・経験値の違いなど、乗り越えなければいけないハードルはあるが、それほど難しいことではない

そこから化学反応が起き、課題解決や価値創造につながるかは、まだまだ試行錯誤が必要ですが、現時点でネガティブには感じていません。

全景

(その3)では、具体的にGNRではどんな活動をしていて、何を目指しているのかについて書きたいと思います。【続く】

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?