『Pokémon LEGENDS アルセウス』ゲームデザイン概観
とりあえず最初の?スタッフロールを見たのでまとめてみる。
まずはお決まりの前置きを書く。
この記事はゲームデザインの概観だ。ここでいうゲームデザインとは、主にゲームシステム・遊びのみを意味している。したがって、アートやサウンドについてはあまり言及しない。遊びやすさについても基本的に無視する。また、概観なので各要素を深掘りしない。というかできない。プロのゲームデザイナーとかじゃないので。概観ではあるが、結局のところただのいちプレイヤーなので、単純に自分が気になったところを中心に考えるし、詳細なデータ収集などもまったくやっていない。この記事はふつーに遊んだプレイを振り返って書いている。
『Pokémon LEGENDS アルセウス』──以下、『アルセウス』表記にする──は、ポケモンシリーズ最新作として新しい試みをしている。したがって、【従来のポケモンシリーズとどう違うか?】も軽くではあるが同時に考えたい。でも【そもそもポケモンはなにがどうして面白いのか?】はめんどくさいのでしない。
大まかなゲーム進行・メインの遊び
ゲーム中における【メイン任務】を進めることでゲームが進行する。
→【ムラ】で任務が下される
→【フィールド】で任務遂行&達成
→ムラに戻って報告
これが基本的な流れ。実際のゲームプレイでは、
■ゲーム進行
①マーカー地点まで移動する
②ポケモンバトルに勝利する
(①と②を何回か繰り返す)
③キングを鎮める
④新しいエリアに行くために団員ランクを上げる
◆以上繰り返し。その他、一部のシーンで【ポケモンの捕獲】などが挟まる
となっている。③の【キングを鎮める】は今作からの新要素で、従来ポケモンにおける【ジムリーダー戦】に相当するイメージ。俯瞰すると、【移動→トレーナー戦】で進行するポケモンの──あるいはRPGの──ゲームサイクルにはほとんど変更は無い。
ただし、そのコンテンツ量は従来ポケモンよりも大幅に減少している。要因は二つ。
第一に、『アルセウス』ではポケモントレーナーが存在しない設定なため、従来ポケモンにおけるトレーナーバトルが大幅に減少した。
第二に、『アルセウス』では【シームレスなシンボルエンカウント方式】を採用しているが、野生のポケモンと【戦闘するかどうかはプレイヤーが自由に決められる】ため、移動における障害が地形しか存在しなくなった。つまり、野生ポケモンと遭遇して時間を取られることが無くなった。
前者は単純に【バトルコンテンツの減少】で、後者は【よりストレスフリーなゲームになった】と考えられる。ちなみに、移動自体はストレスフリーで軽くなったものの、【広大な3Dのフィールドを自分の足で進んでいく】という新しい方向性の面白さを追求している。
減少したバトルを埋めるように、ポケモン図鑑作成に関連したコンテンツ──つまり、収集要素がボリュームアップしている。従来ポケモンと違って、今作のポケモン図鑑はポケモンを捕まえるだけでは完成しない。そのため、従来作よりも大幅にパワーアップを遂げている。
ゲーム進行で言うところの【④新しいエリアに行くために団員ランクを上げる】の、団員ランクを上げるためには【図鑑タスク】をこなしてポイントを一定値まで溜める必要がある。団員ランク上げがいわば門のように機能し、ポケモンの捕獲を中心とした図鑑制作への導線が敷かれている。図鑑タスクはゲーム進行に必須だが、ほぼいつでも行えるため、メインの遊びでもありつつサブの遊びっぽくもある。プレイヤーが進めたいときに進められる柔軟性を持っている。
以上、メインの遊びをまとめると、
■メインの遊びまとめ
・バトル:大幅にボリュームダウン
・育成:バトルの影響を受けて重要度が低下(バトルに勝つために育成するわけだが、そのバトル自体が少なくなった)
・収集:大幅にボリュームアップ
・移動:従来ポケモンにはない3D空間を自由に動き回るものになった
だいたいこんな感じ。どちらかといえば少しだけバトル重視だったポケモンが、『アルセウス』では圧倒的に収集要素重視になった。
アクション
『アルセウス』から新しく追加されたアクション要素について考える。
アクション要素はおもにポケモンの捕獲に関わってくる。
■アクションの要素
・ポケモンに見つかると逃げたり捕獲できなくなったりするので、見つからないようにしゃがんで動く(ステルス)
・ボールを構えて照準をポケモンに合わせて投げつける
・後ろからボールを当てると捕獲率アップ
・ポケモンの攻撃はタイミングよく回避アクションをして避ける
・食べ物系のアイテムを投げて気を引く
ザッと箇条書き。これらの遊び自体は、すべてどこかのゲームが既にやっているであろうシステムのみで構成されている。20年くらい前には、もう似たような要素のあるゲームが出ていただろう。ポケモンとしては新しいが、ゲームとしては新しくない。
これらのアクションが上手くいかなくても、従来ポケモンのようにポケモンバトルに持ち込み、HPを削ってからモンスターボールを使って捕獲する遊びかたが可能になっている。限界まで間口を広げてすべてのプレイヤーを迎え入れようとする狙いか。ここはゲームが中途半端になってしまうのとトレードオフ。
■ポケモン捕獲の難易度の上げかた
■ポケモンのリアクションによる難易度上昇
Ⅰ:見つかっても特に大きなリアクションが無いポケモン
Ⅱ:見つかったら逃げるポケモン
Ⅲ:見つかったら襲ってくるポケモン
Ⅳ:一部例外として、空を飛び回っているポケモン(そもそもボールを当てること自体が難しい)
最初はポケモンのリアクションで難易度変化させている。後半のポケモンの多くは、見つかったら襲ってくるタイプになっている。
また、細かく調べていないが、ポケモンによってさらに細かく反応しやすさや視野の広さが設定されているかもしれない。たとえば、【天冠の山麓】に出てくる【グライガー】なんかはやたら遠くから発見してくる気がした。
【ケーシィ】は、
・遠くからプレイヤーに気付いてくる
・気付いたら即テレポートで消える
・気付いてなくてもちょくちょくテレポートして的を絞りづらい
めちゃくちゃ捕まえるのが難しい
こうしたポケモンごとの難易度に加えて、草むらの有無が大きく影響してくるようになっている。草むらの中に入ってしゃがめば見つからないためだ。
■周囲の環境による難易度上昇(大まかに)
Ⅰ:草むらがある
Ⅱ:草むらではなく岩・坂などの遮蔽物がある
Ⅲ:完全な平地で丸見え
環境の影響はこうなっている。実際のゲームでこれらがどのように展開されるかというと、
■ゲームの難易度変化
Ⅰ:【黒曜の原野】では草むらが多め+見つかっても襲ってくるタイプは少なめ
Ⅱ:【紅蓮の湿地】では水や泥沼などが登場+見つかったら襲ってくるタイプが多くなってくる+後半のコンゴウ団集落以降のエリアで草むらではなく岩などの遮蔽物
Ⅲ:【群青の海岸】では後半から海(完全な平地+草むら無し+しゃがみ無し)
Ⅳ:【天冠の山麓】では遮蔽物ナシがちらほらある
Ⅴ:【純白の凍土】は天冠の山麓と同じくらい
全体を眺めると、やはり海に出たときの難易度が図抜けている。ここで二段階くらい強烈に難易度が跳ね上がった印象。ただ、当然ながら長く海に出るわけではないのですぐに収まる。
原野→湿地と順当に難易度が上がってきて、海で一気に跳ね上がる。で、またすぐに下がってそのまま最後まで行く。
また、フィールドでは決まった箇所に【オヤブン】と呼ばれる強力な個体が配置されている。さらに、一定時間でランダムな箇所に【時空の歪み】が発生し、そこでは強力なポケモンが出現する。こうした要素でフィールド探索にメリハリを付けている。
■アクション要素によるポケモンバトルへの作用
ポケモンバトルを経なくてもポケモンを捕まえられるようになった。したがって、手持ちポケモンと極端なレベル差がある野生のポケモンも捕まえやすくなった。加えて、フィールドには【オヤブン】と呼ばれる強力な個体のポケモンが配置されるようになっている。
これらによって、初代ポケモンの【ディグダのあな】でレベル30越えのダグトリオを捕まえて無双する遊びに近いことが、ゲーム全編を通してできるようになった。とはいえ、バトルが少なくなったので無双を楽しめる機会も少ないが……
キング戦
いわゆるボス戦。真っ先に押さえておきたいのが、削ったボスのHPそのままで再戦する【ゲージひきつぎ】のリトライだ。これをやってしまうのなら、最初からアクション要素なんて入れなければいいのにと個人的には思った。しかし、やはりポケモンは全世界のいろんな年代のプレイヤーが遊ぶことを考えなくてはならないのだろう。大変だ。
キング戦はシンプルなアクションゲームだ。
■キング戦のアクション
・余裕があるときにボールを投げるのと同じ要領でシズメダマを当てる
・攻撃は主に回避アクションで避ける
・攻撃前に予兆がある
・回避アクションのモーション中は無敵
・回避アクション後に硬直があるのでやみくもに連発してはいけない
これらによって、攻撃と回避を上手く使い分けるアクションゲームを成立させている。
さらに、ボスの大技を回避するとポケモンバトルを仕掛けられる。ポケモンバトルに勝つとボスが一定時間防御力ダウン+棒立ちになって、プレイヤーの攻撃が当て放題になる。
ここで一つ違和感があったのが、大技を回避して隙ができたときにボールを投げ当てるとポケモンバトルに移行できる仕組み。これは【アクションの成功→ポケモンバトル】という構造になっている。つまり、アクションが下手な人はそもそもポケモンバトルに持ち込むのが難しい。
この構造は通常のフィールドでポケモンを捕獲するプロセスと少し逆を行く。フィールドでのポケモン捕獲では、アクションが上手ければポケモンバトル自体をスキップして捕獲できる。アクションが上手くないのであれば、従来ポケモンのようにポケモンバトルに持ち込んでHPを削って捕獲できる。
■キング戦のアクションとバトルの関係
→アクション課題をクリア
→ポケモンバトル
→一定時間だけアクション課題がラクに
■フィールドでのポケモン捕獲のアクションとバトルの関係
→アクションが上手ければそのまま捕獲
→アクションでしくじればorアクションが苦手ならバトルで捕獲
なぜこのようになっているのだろうか。キング戦は『アルセウス』の目玉要素としてアクションを強調したかったからだろうか。フィールドよりもアクションの強度を上げたかったのか。
このデザインの弱点は、キングの大技を回避した際に、ポケモンバトルに持ち込むチャンスの時間を厳しくする必要がある点だ。ここでそもそも大きく隙をさらすのであれば、わざわざポケモンバトルを経る必要性を感じないためだ。そのままシズメダマを投げ続ければいい。
であれば、単にチャンスタイムが生まれるだけでは、ポケモンバトルに持ち込む動機付けが弱かったからこういう構造になったのかもしれない。ポケモンバトルに持ち込むと、プレイヤーの体力が回復する。なので、
→大技に至るまでに被弾してプレイヤーがピンチになる
→大技を回避してポケモンバトルに持ち込む
チャンスタイムだけでは弱いと感じて、回復機会を加えてようやく綺麗にピースがハマったのかもしれない。
あと、ゲームオーバー時にヒントが一応出るが、これに関しては「攻撃が来たら回避しよう!」的な意味にしかなっていないように感じた。
ポケモンバトル
新要素についていくつか考える。
■早業・力業
いまいち「これだ!」という意図が見えなかった。早業で二回行動できるようにして上手く戦う。命中不安な技を力業で安定して当てるといったところに考えるポイントが生まれている。が、ポケモンシリーズにおけるメインストーリーのバトルは【レベルを上げて弱点を突けばいい】もので、『アルセウス』でもそれは変わらない。そのため、早業・力業がバトルの面白さを底上げするのに役立っているようには感じなかった。
もしかすると、早業・力業を入れることで【同じ技でも二種類の威力変化】を生み出せるようにする狙いがあったのかもしれない。こうすることで、ポケモンバトルにおいて威力調整がやりやすくなる。つまり、HPをほどよく削って捕獲しやすくする戦いかたが、よりやりやすくなった。
■行動順の仕様変更
『FF10』の【カウントタイムバトル】とほぼ同じかと思われる。
従来ポケモンと違って、自分のポケモンより速い相手と対面したときに、自分の行動を選べず相手が先に行動する。そのため、不利対面かつ相手がこちらより速い場合、なにもできずに一方的に葬られる。従来ポケモンと違って選択余地が消滅していて、高速アタッカーに対する理不尽感が強い。
一方で、こちらが先手を打とうがメインストーリーにおけるバトルでは相手が交換などしないため、プレイヤー側が得することはない。一応、トレーナー戦で相手がくすりを使う前に倒す、といったこともあるが……
■複数戦
敵が群れで襲ってくる。フィールドで複数のポケモンにターゲッティングされている状態でバトルに入るとこうなる。野生ポケモンに関しては、ポケモン世界のリアリティ補強と、こうした不利状況にならないように立ち回りを考えさせる狙いがあると思われる。
一方で、一部トレーナー戦でいきなり複数で襲ってくる場合がある。前述の行動順の仕様も相まって、いきなり3対1でボコボコにされて手持ちポケモンが1体ダウンといった展開になりがち。ハッキリ言って意味が分からない。【レベルを上げて弱点を突く】だけでは味気がないから、理不尽でもいいので感情を波立たせようとするのが狙いか…?
■状態異常の仕様変化
ねむり状態がねむけ状態になり、食らった時の理不尽感が減った。もちろん、プレイヤー側が相手をねむらせて一方的にいたぶることもできなくなった。したがって大きなストレスが無くなったが、してやったり感も無くなった。こおり→しもやけも同じ。
これら状態異常の多くは、やりこみプレイヤー同士の対戦などで大きな影響を持つ。従来ポケモンでは、メインストーリーの攻略にそこまで重要ではなかった。『アルセウス』でもほぼ同様で、さらにトレーナー戦の大幅な減少も相まってバトル関連の仕様変更は影響を実感しにくい。
状態異常は捕獲率に影響するので、捕獲がメインコンテンツの『アルセウス』では重要度が上がると思いきや、アクションだけで捕獲が完結する傾向なので、わりと空気な印象だった。
一部の技の仕様変更に関しても、やはりバトルが少ないのでやや空気。
図鑑タスク
個人的に一番面白かった。
『アルセウス』ではポケモンを捕まえるだけでは、図鑑が完成しない。図鑑タスクを進める必要がある。
図鑑タスクを進める動機付けは、団員ランクの上昇をエサにしている。
■団員ランクの上昇効果
・新しいエリアに行けるようになる(ゲーム進行に必須)
・○○レベル以上のポケモンが言うことを聞くようになる
・もらえる報酬──お金が増える
ゲーム進行上必須で、さらにいいことがあるので動機付けとして機能している。(ただ、ゲーム後半からはご褒美として弱くなっている)
なお、ポケモン捕獲自体も、
・捕獲の成績に応じてもらえるお金が増加
・捕獲成功で経験値獲得
・強いポケモンを捕まえるとバトルで有利
・見た目が好きなポケモンを捕まえたい
といった動機づけとして機能している。従来作と比べると、お金がもらえるようになったので報酬の強度が増している。
続いて、マユルドを例に図鑑タスクの項目を見ていく。
■マユルドの図鑑タスク
◆捕まえた数
◇夜に捕まえた数
◇倒した数
◇ほのおタイプの技で倒した数
◇「どくばり」をみた数
◆進化させた数
◆カラサリスとマユルドの違いを調査
各項目にノルマ数が設定されており、その数を達成するたびに【研究レベル】が上がる。ノルマ数は最初のうちは少なめだが、達成するたびにノルマ数が上がる。また、例に挙げた項目のうち、色つきの項目が2レベルアップ、その他が1レベルアップ。研究レベルが10になったらそこでそのポケモンの図鑑が完成する。
■図鑑タスクの基本
・対象を捕まえていないとレベルアップしない
(ノルマ自体はカウントされる)
・研究レベル10で完成
・各項目のノルマを一定数こなすことでレベルアップ
・一部の項目は2レベルアップ
・ノルマはこなすごとに要求数が多くなる
図鑑タスクは、なにも考えずに適当に捕まえたり倒したりしているだけでも達成できるようになっている。一方で、効率良くタスクをこなそうと思ったら工夫の余地がある。
マユルドのタスク項目をもう一度見てみる。
■マユルドのタスク項目
◆捕まえた数
◇夜に捕まえた数
→捕獲(アクション・バトル)
◇倒した数
◇ほのおタイプの技で倒した数
→バトル
◇「どくばり」をみた数
→バトル・育成(敵が使っても、自分が使ってもよい)
◆進化させた数
→育成
◆カラサリスとマユルドの違いを調査
→サブクエスト
ゲーム中の各要素をまんべんなく含んでいるのが見てとれる。これによって、各遊びへの導線を敷きつつ、遊びを循環させる狙いがあると思われる。ずっと同じ遊びをするのはすぐに飽きてしまうが、次々と違う遊びに誘導することで飽きを軽減させるよう仕向けている。
そのほか、○○タイプの技で倒した数は、対象のポケモンの弱点チュートリアルも兼ねている。また、「特定の技」をみた数は、技を繰り出すのは敵でも自分の手持ちポケモンでも構わないため、バトルへの誘導と同時に手持ちポケモンに加える動機付けにもなっている。
こうしたタスクがすべてのポケモンで個別に設定されている。次に考察するリソースの循環も加わり、ちょっとした穴埋めタスクが好きな人は延々と遊べる設計になっていると思われる。
リソース
おもにアイテムとお金について考えたことを少し書く。
■アイテムの主なカテゴリー
・ボール
・回復系アイテム
・クラフト素材
・きのみ
・捕獲補助系アイテム
・進化の石
・換金系アイテム
『アルセウス』は捕獲がとても重要になったので、ボールの重要度も増した。また、野生ポケモンの攻撃力が高めに設定されているようで──正確にはレベル補正が従来作よりも軽くなったように思う──かなりHPを削られる。そのため、回復系アイテムの需要もやや増した。
フィールドを駆け回っているとこれらを消耗してくるわけだが、当然フィールドなので補充手段が無い。ここで新システムのクラフトが登場する。まあよくある【素材Aと素材Bを消費してアイテムAを作るシステム】だ。
クラフト素材はフィールドで手に入る。特にボールは消費が激しいので、地産地消のサイクルがよく回る。ボールの消費が激しいので、捕獲失敗をなるべく避けたい。そうなると、捕獲補助系のアイテムが使われだす……といいたいところだが、そうなっていない。きのみが万能すぎる気がした。
きのみ系のアイテムは、クラフト素材同様、フィールドで手に入る。たとえば【オレンのみ】は使うと手持ちポケモンのHPを20回復させられるが、フィールドで投げると野生ポケモンを引き寄せ&食べさせて捕獲率を上げる効果がある。後者の【引き寄せ&食べさせて捕獲率アップ】効果が、すべてのきのみで発揮される。ここが非常に不可解だった。
まず、引き寄せ&食べさせて捕獲率アップがある時点で、【○○よせだま】というクラフトして入手する捕獲補助系アイテムの価値が暴落している。きのみよりも効果が大きいのかもしれないが、少なくともきのみだけでも充分だと感じた。
きのみの説明文もよく分からなかった。たとえば【ポフのみ】は、
“野生のポケモンが食べると周りへの反応が鈍くなる。”
と書かれているが、食べると捕獲率が上がっている(捕獲率を示す▲のアイコンが増える)。すべてのきのみでそうなる。したがって、よせだま系の価値が低いが、きのみが非常に有用なのでフィールドのアイテム収集の動機づけは強い。
捕獲補助系のアイテムは、擬似的に草むらを作り出す【めかくしだま】や、シンプルに気付かれにくくなる【ひそやかスプレー】などが有用だった。
■お金
秀逸だと思ったのが、入手タイミングと経路。ムラへ帰還する際にポケモン捕獲の報酬として貰える方式になっている。『アルセウス』でお金を使う箇所はムラしかほぼ存在しないため、ムラに戻る際にお金を手に入れられる仕組みはスマートだ。戻るタイミングで貰えるので、戻ったときに使いたくなる。
つづいて、使い道について考える。
■お金のおもな使い道
・各種アイテム
・見た目(服・髪型変更)
・新しい技を覚える
・ポーチ拡張
・クラフトレシピ
・掘り出し物(一部でロトムのフォルムチェンジが可能になる)
これに関してはプレイヤーの個性が大きく影響しそうなので、なんとも言えないが、自分が遊んだときはひたすら【ポーチ拡張】につぎこんだ。
消費アイテムの補充は、クラフトすればいい。見た目を整えるのには興味が無い。新しい技は特に必要性を感じない。クラフトもおもにボールだけで充分だ。そうなると、使い道がポーチ拡張に向いてくる。また、アイテムが持ちきれないのは損をした気分になるため、ポーチ拡張の圧力は強い。人間は損失を回避したがる。はじめのうちは少ない金額でポーチ拡張ができるのも理由として大きい。
結果として、得た報酬をほぼすべて【シュウゾウ】に貢ぐゲームになった。
従来ポケモンでは、タウリンなどの育成系アイテムやゲームコーナーのコインで余ったお金を吸っていたが、代わりとしてポーチ拡張を用意したとも解釈できる。
サブクエスト
サブクエストに軽く触れる。
■サブ任務
名実ともにサブクエスト。マップ・マーカーから発注者が分かる仕組みになっている。それとは別に【依頼版のようなものから任務を受注→依頼者に話を聞きに行く】という二度手間な仕組みが存在する。また、任務達成時には必ず依頼者のところまで報告しにいく仕組みになっている。他にも、素材を渡すサブ任務の場合、実際にそれらの素材を持っている必要がある。ムラにいるならボックスの中身を参照してくれたらよさそうなものだが……
このように、とにかく快適性を犠牲にしてNPCの描写・ポケモンの描写を充実させている。
ちょっとめんどくさいぐらいなんともないので、個人的には好きな方向性だった。わりと初期のほうからマップに居た【イーブイ】がいつのまにか【ブラッキー】に進化してる、といったポケモンならではの非常に上手い見せかたもあったし。
■ともしびあつめ
収集要素。正直、ポケモンを捕まえる要素だけで充分な気がするが……夜は遠くから見えるが、昼間は近づかないとダメな仕様はよく分からない。探索にメリハリを付ける狙いか?
■アンノーンさがし
収集要素。盛り過ぎな気もする。というのも、他の遊びをしているだけで満足しているので、このコンテンツを遊ぶまで手が回らなかった。遊び自体は暗号解読・謎解き系で、他のサブクエストとは毛色が違うのが良さそう。
収集系では、そのほかに【ガチグマ】による宝探しもある。広いフィールドで宝探しは鉄板。しかし収集系多いなぁ^^;同系統の遊びが渋滞を起こしている感じもある。
■ミニゲーム(風船割り)
宝探し系と並んで広大なフィールドを扱うなら鉄板の遊び。純白の凍土の風船割りは少し気になった。【ウォーグル】にライドする空の移動は、高度は下げられるが上げられはしない。なので、ちょっとミスると空中の風船を全部割れないといった展開になってしんどかった。
一個だけ気になったところ
終盤に【ユクシー】からクイズが出題されるところで少し気になった。
【レアコイル】ってどこにいるの?
自分はもともと持っていたポケモン知識で突破したが、もしレアコイルの居場所がノーヒントだったら相当キツい。一応、【ミツハニー】・【ズバット】はわりと見かけやすく、【アンノーン】・【サマヨール】は進行上必ず出会うので、レアコイル部分だけ総当たりも可能ではあるが……
まあ今の時代、ちょちょいとネット検索すれば済む話か。
まとめ
■まとめ
◆メインの遊び
・基本構造自体は変わらず【移動→バトル】の繰り返し
・バトルコンテンツが大幅ボリュームダウン
・収集コンテンツが大幅ボリュームアップ
◆アクション
・アクションはだいたいどっかで見たことあるヤツ
・ポケモン×環境で難易度を上下させている
・全体的には中盤の海で一時的にガツンと上げる構成
・オヤブンや時空の歪みで探索にメリハリ
・ディグダのあなでダグトリオ捕まえるような体験が常にできる
◆キング戦
・禁じ手とも言える体力引き継ぎリトライ仕様搭載
・シンプルな避けて投げてのアクションゲーム
・ポケモンバトルへのもっていきかたが少しいびつ?
◆ポケモンバトル
・早業と力業は少しだけ考えるポイントを作っている
・早業と力業は体力調整をしやすくするため?
・行動順の仕様変化は相手が高速アタッカーのときにスゴく理不尽
・対トレーナー戦での複数戦は「単調になるくらいならちょっと理不尽な刺激を与えよう」が狙いか?
・一部技・状態異常の仕様変化はバトル自体が少ないためやや空気
◆図鑑タスク
・いいことがいっぱいある団員ランク上昇が最初の動機づけ
・各遊びへの導線を敷きつつ遊びを循環させる狙いか
・弱点チュートリアルも兼ねる
・ちょっとしたタスクをこなすのを延々と楽しめる構造
◆リソース
・ボールと回復系アイテムの消費が激しめ
・クラフト要素による地産地消が捗る
・きのみが万能すぎる?
・お金を受け取るタイミングが使うタイミング
・シュウゾウに貢ぐゲーム
◆サブクエスト
・サブ任務は快適さよりも手間をかけて得られる世界へのかかわりを重視
・ともしびあつめは昼間見えにくい仕組みが本当に必要なのか怪しい
・アンノーンさがしは暗号解読・謎解き系の方向性を提示
→ただし、他の遊びが忙しくて手が回らない
・宝探し・風船割りは広大なフィールドでは鉄板
■レアコイル見つけられるのかなぁ
おわり。またちょこちょこ加筆・修正するかも。
参考になりそうな記事を載せておくところ
参考になりそうな記事をここに置くの、アリじゃね?
ということで、置いてみる。
この記事ではスルーした遊びやすさについての話。なぜ遊びやすいのか?をモードレスという言葉を使って端的に分かりやすく解説されています。
同じくこの記事ではスルーしたUI関連の話。基本的に僕は文句言わず遊ぶタイプなので、こうして問題と改善点をしっかりハッキリまとめてる方がおられると頼もしい。
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