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QB10分カッティング

2023年4月29日。晴れた。しかし午前中は寝て過ごす。
取り戻そうと、(近所の老夫婦がカフェで腹ごしらえだ)と意気込んで向かうも営業していなかった。今日は土曜日で休日だった。
ふらふら歩いていると新しいラーメン屋を見かけたのではいる。初めて入るのに、あんまり推していなかった、まぜそばを注文する。よりジャンキーな味を欲していた。味変として醤油漬け卵黄が無料でついてきた。それをいれることで、待ち望んでいたまぜそばの濃さが出てきた。後半から濃厚になるまぜそば。固定観念は崩れるも、感動はしなかった。無念。

晴れていたのでぷらぷら歩いているとQBハウスがあった。10分で終わるヘアカット店である。そこそこ髪が伸びており(そろそろ切っておかなくては)と思っていたのだが行きつけの理髪店は予約がとれなかったところだった。

これまでの自分だったら素通りしていた。最先端(頭部)のファストファッションなんて資本主義まっしぐらやないかいと。完全なる毛嫌いであった。
しかし、週末には式典の予定がありととのえておかなくてはという若干の焦り。段々とこだわりが失われつつある頭髪への情熱。30代になったことでの大人のたしなみ。それらの割と弱々しい感情が重なりつつあって、
行くか!!
となった。人生分の固定観念が再び崩れる。

店内に入る。券売機でチケットを購入するスタイルだった。ついさっき食べたまぜそばと同じ動きだ・・・となる。値段は1,350円。いつもよりはるかに安い。ついさっき食べたまぜそばと同じ値段だ・・・。
待合スペースのソファに並ぶ。2人ぐらい待っていた。
待合席の目の前には、もう髪を切るスペースがあり、2人のスタイリストがいる。強面な50台男性と、丸いメガネをかけた40代男性。順番通りのペースでいけば後者。組み分け帽子のように心のなかで祈る。

次々と案内されとうとう待合最前となる。次はわたしの番。

すると後方から「次の方~」と声がかかる。
なんと髪を切るスペースは後方にもう一か所あり、思いの寄らぬところに組み分けされてしまった。前の人がすごい時間がかかっていたようで存在に気づかなかった。

そしてスタイリストはおそらく自分の母親と同じくらいの年齢の女性だった。幼少期にまだ当時の年齢だった母親から切ってもらった記憶があるが、初めての体験だ。少しうろたえて「ととのえる程度1センチぐらい切ってください」とざっくりオーダーになる。

しかし、順番を待つ人をひっきりなしに裁くQBハウスのスペシャリストだ。
甲本ヒロトの名言「売れているものが良いものなら、世界一のラーメンはカップラーメンだ」なぞらえれば、「切っている人数が多いなら、世界一のスタイリストはQBハウスだ」となる。
実際、手際はめちゃくちゃよかった。櫛を使って均一な長さに切り、耳の輪郭の1センチ周りに切り取り線があるのように、横髪をきれいに切り取られていく。このきれいすぎる精密なカッティングに、わたしはトリミング後の犬の写真が頭をよぎってしまった。

そうして、予想以上に均一にそろった髪型が生まれた。
しかし思った通りのさっぱり感は得られてそれなりに満足したので、風をあびたくてちょっと小走りで帰った。

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