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人生経験の乏しい人間の就職活動(準備編)

面接で話すことがない。どうしよう。

そう思ったのはエントリー受付開始から1か月ほど前のことであった。

人生経験の乏しい人間にとって最初の難関は面接である。

入試などは筆記試験のみであり、自分の経験によって合否が左右する機会なんて今までになかった。

大した経験をしていない人間にもお助けキャラとなるのがインターンシップやOB訪問である。

もちろん申し込んでないし、訪問してない。

真っ白な履歴書を前に、僕はふと思いついた。

「誤魔化してやる・・1社残らず・・!」

母親を巨人に食べられた少年のように、僕は決意した。

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とはいっても、さすがに全くの嘘がNGであることは分かっている。

そこでどんな些細な経験でもいいから挙げてみることにした。

「ゼミに所属した」とか「アルバイトをしていた」など、

もはや「新入生歓迎期間にちょっとだけ参加したサークル」についても書いた。

別に結局入らなかったなんて、言わなければ分からないだろう。

だけど「小学生の時に・・」で切り出せば、こいつ小学生から時止まってんのかと引かれかねないので、そのエピソードは避けた。

結果をみて、僕は愕然とした。

弱すぎる・・・

こんなもの、つまようじで戦場に行くようなものだ。

経験がないと突破できないのか。いや何か方法があるはずだ。


そもそも経験は就活においてどのような位置づけなのだろうか。

僕は「私見の根拠や裏づけ」であると考えた。

こういう経験があったときに、こう考えたとか、

外で漏らした経験をもとに、パンツの替えは持っておいたほうがいいと考えるようになったなど、

経験がもとにならないと私見は生まれない。

でも私見はあくまで感想なのだから、そこに関しては嘘などないはずだ。

つまりここをとてつもなく膨らませれば、なんとなくいいことを言っているように聞こえるのではないか。

正直私見を考えることすら苦手だったので、自己啓発本のようなものを読み漁った。

インスパイアされた私見を膨らませ、自分の経験に当てはめる作業をした。

もちろん本来逆である。

手持ちのつまようじを、できるだけ研ぎ澄ませる。

そして僕は戦場へと向かった。つまようじを携えて。

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