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親からもらった名前を変えた(最終章)

先日家庭裁判所から手紙が届いていた。
中を見ると、使わなかった返信用切手四十円分と紙が入っていた。
あぁ、やっぱりダメだったんだなと思いガッカリした。
一応紙に目を通してみた。
申立人の名○○を○○と変更することを許可する。
え、まじか。本当なのか?見間違いじゃないよな?
いや、マジじゃん。小さくガッツポーズをした。

やっとだ、やっとこの名前から解放される。
もう誰にも名前の話を深掘りされなくて済む。
もう誰にも名前の由来を聞かれないのだ。
嬉しい、心の底から安心した。
やっと人生をやり直せる。
日本に一人しか名前、本当に大変だった。
ありがとう、裁判官。

だけど親に対する後ろめたさは大きくなった。
疎遠とはいえ申し訳ない気持ちもある。
もしいつか会うことがあった時、おそらく黙っているだろう。
もし親が亡くなったら言えなかったことを後悔するだろう。
だけど俺はずっと悩んで苦しんでいたんだ、許してくれ。
こんな親不孝な子供でごめん。


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