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AIR Design誕生秘話 Part2

株式会社ガラパゴスの代表を務めております中平です。

2019年9月にローンチしたAIR Designは、ありがたいことに約2年で導入300社を突破しました。

ただサービスの成長には紆余曲折のストーリーがあり、簡単には超えられなかった試練もありました。

昔を思い出しながら、AIR Designの誕生秘話をお伝えいたします。
Part1に続きましてPart2となっております。

※本作は、以前wantedlyに書いたものを加筆編集したものとなります。

プロセステクノロジーで職人技を可視化

ここで突然僕ら創業メンバーの話になりますが、僕たちは元々製造業のコンサルティングの会社、インクスの出身です。

インクスを卒業して起業した会社として有名どころでいうと、SHIFTの丹下さん、スタディストの鈴木さん、コアコンセプトテクノロジーさんなど、非常に優秀な先輩方がいた会社になります。

そこで学んでいた事は「プロセステクノロジー」という技術です。

端的にお伝えすると、職人の思考プロセス(判断と作業)を細分化、可視化、組み替えて標準化、そこから属人性を下げて自動化した上で、圧倒的な生産性を実現してきました。

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まずはこれをデザインロゴの業界に持ち込もうとやってみました。

社内のデザイナーさんにロゴを作ってもらい、その様子を撮影させてもらい、ヒアリングして、プロセスを可視化してみました。

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平均的にロゴを一個作り終えるまで約300分かかっていました。

5時間も掛かっていた。これじゃあデザイナーさんは儲からない。

一体何にそんなに時間をかけてるのか?を解明するためにプロセスを細分化していきました。

そこで判明してきたのが、アイディアを形にする時間に最も時間を掛けていました。要は設計となるプロトタイピングの時間にです。

お客さんのオーダー情報(こういうロゴが欲しいという情報)を頭にインプットしてから、あーでもないこーでもないと手書きをする時間がめちゃくちゃ長かったということでした。

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(こんな感じで手書きで模索していました。)

それであれば、まずこの「設計」工程の時間をゼロにしてしまおうと考えました。要は、過去のパターンのDB化です。そのために、Deep Learningによる画像認識技術をフル活用してみました。

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(Deep Learningで特徴量を抽出してマッピングしてみたりしました。近いと似ていますよね。)

オーダー情報をシステムに入れたら、AIがリコメンドをしてくれて、類似したものを描いて作ります。試算したらこれができれば30分で一個作れそうだと分かります。生産性はいきなり10倍になりました。

もはや、デザイン産業革命の始まりです。

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(ロゴの設計画面をまずは作ってみました。)

そしてこのLAI System 1.0を成立させるためには、3つのデータが必要でした。

①インプットのオーダー情報
②アウトプットの画像データ
③画像の評価データ

様々な要望で作られたロゴデータのうち、良いロゴはどれか?というデータです。

これが都合良く全部揃ってるし、何ならマネタイズもできるマーケットは無いものかと調べ尽くしました。

ありました。

クラウドソーシングです。

AIと人の協働で初めて売れた

データがあるとは言え、そこからが大変でした。
画像データを集めるものの、そのままだと全く使えない。

データをアノテーション(キレイにしたりタグ情報をつけたりする)するための画像認識AIを自作したりしながら、30万個分くらいの画像データを加工していきました。

人手が足りなかったので、僕の奥さんも夜なべしてデータを加工してくれ ました。(本当にありがとう。)

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(こんな感じで2万件くらいを手作業で切り取って)

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(エクセルでめちゃくちゃ細かく分類したりしながら。)

LAIプロジェクトが本格的に始まってから、1年と2ヶ月が経過した2017年8月のある日の夜。

社内のSlackの通知が鳴りました。

「売れた!!!」

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LAI SystemでAIが設計を行い、人間がデータ作成作業を行い、トータル30分で作ったロゴが、クラウドソーシングのコンペで人間のデザイナーに勝って、売れました。

AIと人が協働して作ったロゴが売れました。

大きな仮説が成立し、デザイン産業革命の一歩目を踏み始めた瞬間でした。

「これで、行ける。思い描いた通りのデザインの世界が、これで作れる。」

この時の僕たちは、まだそこに、何の疑いもありませんでした。

Part3へ続きます!
もしくはPart1へどうぞ。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。