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サッカード素人の相模原市民が、栃木でアウェー観戦をして地元愛を知った話

僕の地元・相模原には、創設13年目にしてJ2進出を果たし、今季、新たな舞台で戦っている新進気鋭のクラブ、SC相模原がある。

実は、僕は相模原に長年住んでおきながら、2ヶ月前までろくにこのクラブのことを知らなかったのだが、それについてはこちらの記事をお読み頂ければ。

https://note.com/gloveace/n/n8a8e89e90c1b

(この記事がかなり好評を頂けたので、調子に乗ってまた書いてます笑)


なんだかんだ、SC相模原の今季4戦は全てギオンスに足を運んでいる。魅入られてしまったと言っていいだろう。
あの大宮戦で完璧に沼にはめられた。
ありがとう藤本淳吾、ありがとうSC相模原。

さて、そんなこんなで4月11日、観戦日和の澄んだ空の広がる栃木県グリーンスタジアムにやってきた。

もちろん、SC相模原を見るため。

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元々、プロ野球観戦が好きで、年間120試合ほど観戦に行くこともあった、いわゆる"遠征厨"というジャンルの人間だったし、距離的にも相模原から4時間弱と、初のアウェー観戦だったがそれほど抵抗なくすんなりと行けた。


試合は0-0のクリーンシートと相成った。
お互いに数回の決定機を逃したが、相模原はフィジカルモンスターの#9ユーリを上手く栃木SCに対策されて潰されてしまったため、攻撃の起点をなかなか作れないのがもどかしかった。
とはいえ、前節開幕5連勝の新潟をストップさせたのに続き、3連勝中で勢いに乗りまくっていた栃木からゴールを奪われなかったのは良かったのだと思う。
栃木にも所属していた#2夛田のアグレッシブな守備が光るシーンが多く見られ、#5梅井の最終ラインの統率っぷりも相変わらず素晴らしかった。

試合後は、相模原の選手・スタッフが十数人しかいないメインスタンドのサガミスタに向けても整列して挨拶してくれたのが本当に嬉しかった。

こういうことされるとまた行っちゃうんですよ、分かってるなあ笑。



動きの少なかった試合とは対照的に、スタジアムの雰囲気は最高だった。

試合前のグリーンスタジアムでは、SC相模原のゴール裏のサポーターがビジョンに映し出され、場内MCにも紹介され、栃木SCサポーターから大きな拍手をもらった。

相模原サポーターも、栃木サポーターがあまりリアクションしていない栃木チアのパフォーマンスを全力で応援するなど、今まで僕が見てきたプロ野球観戦では想像ができないくらいフレンドリーなスタジアムだった。

あと、スタグルは玉子焼きが本当に美味しかった。

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一回噛むと口の中でほろほろに崩れる玉子と、じゅわっと溢れ出るだしの風味と卵の香りが最高にマッチしていて、本当に美味しかった。
今度行くときは甘い方も食べてみたい。


また栃木SCのホームゲームに行きたい(今度は出来れば、新しく出来たカンセキスタジアムの方で笑)と思える、心に染みる楽しい観戦だった。


ギオンスに訪れたアウェーサポーターも、こんな気分で帰ってくれたらいいなと心底思ったし、一週間前の前節、4月4日のギオンスで行われたアルビレックス新潟戦での新潟サポーターを見て感じたことを思い出してしまった。


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4月4日、J2第6節。
SC相模原のホームスタジアム・ギオンスはアルビレックス新潟サポーターによってオレンジ色に染め上げられた。

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いわゆる、「ホームジャック」というやつだった。

遠征慣れしていて、応援の迫力もすごい"あの"アルビレックス新潟のサポーターが相模原に大挙してきて、正直ビビり散らした。

けれど、同時に、キッチンカーの列に並び、相模原のお店のスタグルを買うたくさんの新潟サポーターを見て、不思議な感覚になった。


僕が栃木SCとの試合がなければ宇都宮に行かなかったのと同じように、あの新潟サポーター達もまた、SC相模原との試合が無ければ、相模原にやってくることはなかったんだろう。


相模原は、住み良い街だと思う。
政令指定都市で、東京都心にそこそこ近く、市内にも多くの自然があって、大きな商業施設もある。
けれど、遠く離れた地域に住んでいる人がわざわざ訪れるような場所ではない。人を沢山呼び込む観光地が乱立しているわけでもないし、横浜や川崎などに匹敵するような繁華街があるわけでもない。
本当に、色んな意味で、地に足の着いた街だと思う。

そういう、生活するための場所だと、相模原のことを思っていた。


しかし、あの日はあれだけの数の人が、相模原に押し掛けた。
スタジアムでたくさん相模原のお店のご飯を買ってくれた。
グッズコーナーで売っていたお土産にぴったりの相模原ガミティせんべいは、新潟サポーターがとても多く購入してくれて、売り切れになったそうだ。感謝しかない。

それに、きっと僕ら相模原市民が見えていないところで、もっと色んな光景が広がっていたんだと思う。

もしかしたら前日に市内のホテルに泊まってくれたり、
行きや帰りに駅でお弁当を買ってもらったり、
あるいはギオンス近くのコンビニや自販機でペットボトルを1本買ってくれたり。

多分、そんな動きがたくさんあったんだと思う。
そして、それはSC相模原が、J2でアルビレックス新潟をホームに迎えなければ、どれも起こりえなかった出来事だった。

相模原に来てくれるアウェーサポーターは、きっとこの住み良い街の新しい可能性なんだと思う。


SC相模原はもはや、ただの地元のプロサッカークラブではない。
この相模原という地で、人と人を繋ぐ、ハブのような役割を果たす、無くてはならない存在だと感じた。

そして、今回訪れた栃木SCしかり、他の多くのクラブも、そういった地元の期待を背負い、地域の旗印となるべく日々奮戦しているのだと分かった。

そうしたクラブの一員に、SC相模原がなってきているのだと感じたら、俄然応援する気になってきてしまった。

相模原をただの住み良い街だとしか思っていなかった僕に、実は"地元愛"があったことに気付かされてしまった。



「ホームジャック」、上等。

様々な制限が続く大変な世の中だけれど、
事情が許す限り、どんどんギオンスに、相模原に来てほしい。

4月18日、ギオンスで迎える次節は、"あの"ジュビロ磐田戦。
きっと、サックスブルーのユニフォームを着た大勢のサポーターが、ギオンスに襲来するんだろう。

けれど、そんなホームジャックされている景色さえ、僕は誇らしく感じてしまう。
そんな景色、そもそも十数年前には想像すらできなかったから。



相模原にSC相模原があるだけで嬉しい。

「いてくれるから」。
それだけで応援できて、熱くなれる。

多くの人に相模原に訪れてもらえる。
そして、この新進気鋭のクラブがこれからももっともっと大きくなるのを見守っていける。


『共に育ち、共に戦う。未来へと続くこのまちで』
(SC相模原オフィシャルイメージソング「SAGAMIHALA・LA・LA」より)

今なら、この歌を恥ずかしげもなく歌える。

僕はこの街に居て住んでいるだけじゃなくて、一緒に育っていけるのだと、感じられたから。


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