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相模原に、スタジアムに、僕達の心に、火を灯し続けよう。

2022年3月12日。待ちに待ったSC相模原の開幕戦。
相模原ギオンスタジアムには試合の何時間も前から多くのSC相模原サポーターが集まった。

開場前のギオンス外周のあちこちで繰り広げられる
「あけましておめでとう~!」
「今年は勝つよ!」
といった挨拶の数々。サポーター同士も久しぶりの再会、皆待ちに待っていた。

いよいよ開幕する。

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アスルクラロ沼津を迎えての開幕戦。
SC相模原はスタメン11人のうち7人が新加入選手、そしてフォーメーションも4-4-2と、昨季から大きく変わった編成となった。

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試合は前半、相模原が決定機を多く演出する時間が続いた。

ボールを縦に入れようという意識の強さ、そして裏へ抜け出す際のスピードと連動感が醸し出す迫力は、明らかに昨季のチームよりも増していた。

前半37分、何度目かの決定機を迎え、その時が訪れた。

沼津ボックス内から弾き出されたボールを、高木琢也監督の秘蔵っ子でベガルタ仙台より新加入した中原彰吾が回収し、右ポケットに走り込んできた石田崚真に優しいボールを出す。
石田はそのボールは更に逆サイドへふわっと上げる。
待っていたのは東京ヴェルディからの期限付き移籍2年目、今季は副キャプテンを務める松橋優安だった。

泥臭くゴールを狙い続ける貪欲なプレースタイルの松橋が至近距離から放ったシュートは、誰の身体に触れることもなく、激しくゴールネットを揺らした。

ゴールに湧き上がるスタジアムが、相模原に帰ってきた。


相模原はその後も決定機を数多く演出するも、ゴールを割ることはなかった。
また、後半は沼津が機動力を生かした攻撃を見せ、相模原にチェックの微妙なズレが生まれたり、中盤で数の優位を取られて自陣奥へ押し込まれるシーンが目立った。

だが、今季新加入にしてキャプテンに就任したレジェンドフットボーラー・水本裕貴、
浦和レッズからの育成型期限付き移籍2年目、相模原で大きく成長している青森山田高校元キャプテン・藤原優大のCBコンビが危険なシーンを最小限に留めていた。

目安の追加時間を過ぎた94分、ラストプレーとなった沼津のロングスローからのボックス内の競り合いを制し、大きくボールが蹴り出された。

勝利を確信して沸き立つスタンドの音量に負け、開幕戦勝利を告げる長い笛の音は、僕の耳には届かなかった。

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負けが込んだ昨季はなかなか見ることができなかった選手の晴れ晴れした顔が、相模原ギオンスタジアムのLED照明に照らされてよく映えた。



今節はアスルクラロ沼津を迎えての一戦となった。
アスルクラロ沼津と言えば、Jリーグファンの間では話題になっている、"Jリーグ退会危機"に瀕しているクラブだ。

現在、沼津ホームスタジアムの愛鷹競技場は、照明の明るさがJリーグ基準を満たせていない。これを早期に改修しなければ、来季以降のJリーグライセンスが発行されず、アスルクラロ沼津はJリーグを退会することになってしまう。

この照明改修費用を調達するために、現在アスルクラロ沼津はクラウドファンディングや募金活動などをクラブを挙げて行っている。

ギオンスでも、沼津のクラブ職員の方々がスタジアム外周に立ち、募金箱を持ってSC相模原サポーターに協力を求めて声を上げる姿があった。

この呼びかけに多くのサガミスタが立ち止まり、募金をしていた。
僕も、募金箱が出てきたタイミングで即座に募金をした。

僕一人が払った金額など微々たるものだが、それでも沼津のクラブ職員の方に深々とお辞儀をしていただいて、事態の重大さと切迫感を思い知った。


Jリーグを、サッカーを、明るい照明に照らされたスタジアムで多くの人と楽しめることは、当たり前のことではない。
子どもの頃にはまだSC相模原も相模原ギオンスタジアムもなかった僕もそうだし、多くのサガミスタはそれを知っている。

皆で好きなクラブ・地元のクラブを応援できるということは、当たり前のように感じてしまうけれども、本当に尊いことなんだと思う。

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昨日の試合、73分のシーン。
左サイドで安藤翼がボールを奪って前へと運び、自陣から一気に飛び出した佐相壱明にボールを送ると、そこから計5人が一斉に全力疾走し沼津ゴールに迫った、川崎フロンターレのそれを彷彿させるような大迫力のカウンターがあった。

ボールと選手が一気に動き出したとき、ギオンスのボルテージは最高潮に達していた。

惜しくもゴールが決まることはなかったが、あのシーンはSC相模原の標榜する「ENERGY FOOTBALL」を体現した場面だった。


明るく照らされたスタジアムで数々のプレーを見て、仲間や周囲、選手達と喜怒哀楽を共にする。
この光景が身近にあることに感謝して、今ある光を大事に守って、さらに大きく明るく育てることができたら、それはとても幸せなことだと思う。


J2昇格・J3優勝へ向けて、産みの苦しみを経験しつつも白星発進に成功したSC相模原。
秋に皆で、そして未来にもっと多くの人と、熱くなって喜べる日が来るように、また次節から心新たにリスタートしよう。


一つのパスが、
一つのシュートが、
一人のサポーターの存在が、
一つの拍手が、
皆の明るい未来に繋がると信じて。

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