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サッカード素人の相模原市民が、サポーターという言葉の意味を知った話

5月30日、J2第16節、アウェイ・モンテディオ山形戦。

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NDソフトスタジアム山形のスタンドは真っ青に染め上げられ、圧倒的なアウェイ感を感じた。

メインスタンド最前列で、モンテディオサポーターに囲まれながら、先日届いたSC相模原のオーセンティックユニフォームを着て観戦していた。

スタンドで孤立していて心細い感覚は少しあったが、GK練習を終えて引き上げてきたアジェノールに青いスタンドから1人拍手を送ったら、僕の目を見て親指を立ててくれたのが嬉しかった。


試合は今日も、と言うべきか悩ましいが、SC相模原はハマっている長いトンネルを抜け出すには至らなかった。

前半にPKからの失点を許すと、立て続けに2点目を奪われ、そのまま0-2で敗戦となり、引き分け1つを挟む5連敗を喫した。

ゲームの入り自体は非常に良かったし、前節・愛媛戦での敗戦を受けて、チーム全体にパスを受けたら前を向く意識が短い時間で浸透したように思う。

シーズン序盤に比べると、着実にパスを送ろうとする場面が増えている。ボール奪取の意識も高くなってきている。
後半からは選手を入れ替えて、システムも5-3-2から4-4-2にし中盤で数的有利を作り出そうとした。実際、山形側で相模原が攻撃を仕掛ける場面が多く見られた。
明るい兆しはいくつも見られた。

しかし、2点ビハインドでセットされたディフェンスを崩すことができない。
打ち込んだ後のこぼれ球を叩き込めるスペースに選手がいない。
あと一つのパスが、繋がらない。

右サイドを90分間凄まじい運動量で上下動した#2夛田が、後半80分台、パスにあと一歩追いつかずにゴールラインを割った時は、もどかしさと苦しさと悔しさがないまぜになって、涙がにじんだ。

皆、これ以上ないほど振り絞っている。
内容も段々良くなってきた。

けれど、結果だけがついてこない。悔しいしもどかしい。

どうか、彼等の頑張りが報われてほしい。

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相模原はじめ、遠方から駆けつけたサポーターも、チームと一緒に悔しい思いを噛み締めた。


SC相模原のサポーター、"サガミスタ"の方々は本当にクラブを愛している。

車で山形まで駆けつける人、
試合開始の何時間も前からスタジアム入りし、相模原から持ってきたいくつもの横断幕をスタンドに掲げる人、
アウェイだろうが嵐に晒されようがドラムを叩き続ける人、
相模原ギオンスタジアムで運営ボランティアに参加する人。

本当に色々な方がSC相模原をサポートしている。
野球畑からサッカーを見るようになった身としては、開幕してサッカーを初めて見た頃は、なぜサガミスタの方々はクラブにこれほど尽くすのかすごく気になっていた。

けれど、僕もこの地元のクラブを応援するようになって、段々分かってきた。



今日のモンテディオ山形対SC相模原は、モンテディオ山形のスポンサーで、でん六豆で有名な株式会社でん六の冠協賛ゲームとして行なわれた。

試合に先立って挨拶をしていた、でん六の鈴木隆一社長の言葉が非常に印象的だった。以下に、自分が共感した部分を覚えている範囲で書き出す。

ストレスには私たちが販売しているお菓子が効きます。けれど、もっとストレスに効くことがあります。
それは、モンテディオ山形を応援することです。
モンテディオ山形を応援すれば、力が湧いてきて、人と人はより強く繋がれます。モンテディオ山形を応援することは、不要不急ではありません。


とても熱のこもった挨拶だった。

モンテディオ山形は確かに、山形の人々を熱くさせ1つにしている。今日のNDソフトスタジアムには、山形の穏やかな街並みからは想像もできないような熱が宿っていた。
そうしたかけがえのない効果をもたらすからこそ、モンテディオ山形は多くの地元企業や自治体からスポンサードを受けて、応援されるのだろう。


あの挨拶を聞いて、SC相模原もそうなのだと気付いた。

ただの郊外の一都市である僕の地元・相模原を1つにして、皆で同じ方向を見て熱くなれる存在、それがSC相模原だ。
僕自身も、そういうクラブがあると3ヶ月前に知ったことがきっかけで、こうやってスタジアムに足を運ぶようになった。

そして、その人と人の繋がりや熱狂は、勝手に降って湧いてくるものではないことをもう学んだ。


僕が小学生の頃には、相模原にはまだそういう存在がなかった。
地元皆で応援して、一喜一憂できるクラブがあることは、当たり前のことではない。

この熱狂と地域の一体感は、クラブだけでなく皆で守っていくべきものだと今は心底感じている。

何十年後の未来も、相模原の子供たちがスポーツ教室でサッカーをはじめとしたスポーツに触れたり、身近なスタジアムに応援に出かけられる日常を守らなければいけない。

そのために、応援する"ファン"という枠を超えて、クラブに自分を捧げて支えようとする"サポーター"は生まれるのだと気付いた。


SC相模原のホームゲームでは、多くのサガミスタの方々がボランティアスタッフとして、スタジアム設営や運営業務などにあたっている。

一人一人がSC相模原に何かをしたいと思われているのが伝わってきて、胸が熱くなる。

この記事を書いた頃の自分に教えたい。

SC相模原は、自分の何かを捧げてまで応援するに値する存在であると。


リーグ戦で1ヶ月負け続けているとか、資金力に劣るとか、そんなことはもう関係ない。

応援すると決めたから、応援する。

もし、踏み出すときの一歩目、辛く苦しい時の最後の一歩をほんの少しでも後押しすることが出来たとするなら、応援するしかない。


前述のでん六鈴木社長は、こうも言っていた。

私達はモンテディオ山形が強いから応援するのではありません。
私達が応援するから、モンテディオ山形は強いんです。

山形のサポーターとクラブの信頼関係が透いて見える良い言葉だった。


相模原から遠く離れた山形。
地域を背負って戦うクラブという存在、そしてそれを支えるサポーターについて、とても考えさせられた一日になった。

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