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【活動報告】みらいチャレンジプログラム 事前学習、浦幌合宿レポート

特定非営利活動法人glolabは、外国にルーツを持つ若者が、視野を広げる力をつけ、将来を考えることや新しいことにチャレンジするきっかけを作る「みらいチャレンジプログラム」を2021年度より実施しています。

第2回となる今年度は、6月26日に事前学習、8月22日〜8月24日に浦幌合宿を実施しました。新型コロナの影響で、昨年度は浦幌町に訪問することがかないませんでしたが、今年は念願の浦幌合宿が実現しました。浦幌合宿では、高校生たちが予想以上の成長をみせてくれました。

その様子をご報告いたします。

▶事前学習 

■ 日  時: 2022年6月26日 (対面)/ 7月3日・7月5日(オンライン)
■ 参加者 : 高校1年生〜2年生  
■ 参加人数: 11名
■ 形  式: 対面/オンライン

今年の参加者は、千葉県、東京都、神奈川県在住の高校生11名です。南アジア、東アジア、東南アジア、南米といったルーツも多様な生徒が集まりました。参加の理由は「学校の先生からの紹介」「去年参加した生徒の保護者の紹介」など、このプログラムのことが口コミで広がっていることがわかり、とても嬉しい気持ちになりました。
初回となる事前学習では、自分自身や仕事について考えてみたり、浦幌町についてイメージを膨らますワークを行いました。「浦幌町にしかない仕事」「どこにも必ずある仕事」など、みんなで意見を出し合いました。滞日年数が2.3年の子がほとんどで、まだ日本語で自分の意見を表現することが難しい場面もありましたが、みんな個性豊かでいろんな考えをもっていることがわかりました。すでに、やりたいことがはっきりとある生徒もいて、希望の道に進むため、このプログラムを通じて、たくさんのヒントや出会いを提供しなくてはという思いをあらたにしました。

▶浦幌合宿 

■ 日  時: 2022年8月21日空 (対面
■ 参加者 : 高校1年生〜2年生  
■ 参加人数: 11名
■ 形  式: 対面/オンライン

当日は、待ち合わせ時間の1時間も前から来ている生徒もいて、こちらもびっくり。初対面同士自然と自己紹介がはじまりました。中学校時代の修学旅行ぐらいしか自分の街を出たことがない子がほとんどで、みんなワクワクがとまらないようでした。

夏合宿1日目

町歩き

浦幌の町を歩く

浦幌町に到着して少し休憩したあと、町の交流施設FUTABAに移動し、浦幌夏合宿が開幕しました。まずは浦幌町を探索する町歩きです。

参加者3人と大人1人の4人構成のグループを3つ作り、それぞれ違うコースの駅周辺を歩きながら浦幌町を観察。自分が住んでいる町との違いに着目しながら、浦幌町の中心地を歩きました。

お弁当やさんと飲み屋さんと八百屋さんがいっしょになっているお店、道の駅、乳業メーカーなど関東ではなかなか見ることができない町の特徴を発見していました。

大発見!すぐにメモしなきゃ

FUTABAに戻ってきてからは、町歩きで見てきたこと、発見したことををチームでさらに深掘りしました。

最後に、何を発見したか他のグループに向けて発表。「へーそれ面白いね」「そんなことに気づいたの!」それぞれの発表にさらなる発見がありました。

町歩きで見てきたことを発表

仕事体験プレワークショップ

2日目の仕事体験のプレワークショップということで、訪問する企業の社長さんに聞いてみたいことを出し合うワークを行いました。

企業の情報は、たったの3行。この情報をもとに、高校生は考えをめぐらし、自由にアイデアを出し合いました。時々大人が促すこともありましたが、一人のアイデアからさらに派生したアイデアもでてきて、模造紙いっぱいに質問アイデアがうまりました。製品の作り方や営業の方法、ブランド名の由来、お会いする社長さんのキャリアやプライベートまで!聞きたいことに溢れていて高校生たちの深い好奇心に嬉しい気持ちと驚きで、1日目で胸がいっぱいになった私でした。

高校生たちからでた質問アイデア

ワークショップの後のみんなの笑顔をみてください。初日とは思えないほど1ワンチームになっていました。

ワークショップの後 あっという間に仲間に。

夏合宿2日目

野菜収穫とご飯作り

2日目は、元木農場で野菜収穫とお昼ご飯作りをおこないました。

ハハハホステルから元木農場までは徒歩で。「この植物、ネパールにもあるかも。」「あの木になっている実はなに?食べられるかな」「あれは木材工場?」急がないと遅刻する、でも高校生たちの好奇心も大切にしたい。そんなジレンマをかかえながらの楽しい時間でした。

元木農場へ続く道

農場では、元木さんが笑顔で迎えてくれました。まずは野菜収穫。都会っ子の高校生たちはどう反応するのかなと少し心配していましたが、野菜収穫にみんな熱中していました。普段スーパーではみかけないカラフルなじゃがいもを収穫。「ペルーにあるじゃがいもといっしょだ。」と発見した子もいました。

温室の中にも野菜がたくさん
野菜収穫に熱中
薪割りもみんなの力で
窯づくり、チームビルディングの真髄!

収穫の後は、窯や薪割りからはじまりました。

ここで、高校生の個性を見ることができました。周りの様子に目を配りながら率先して動く子、リーダーシップを発揮する子、こつこつ作業を進める子。自然と役割分担が生まれ、高校生同士の距離もさらに縮まりました。そしてできたのはとてもカラフルな肉じゃが。元木さんも「こんなカラフル肉じゃが初めて見た!」と驚いていらっしゃいました。

野菜を無心にカットする3人
カラフルなじゃがいもができましたー!

最後は元木さんのはからいでひまわりを持ってパシャリ。いい笑顔です。

まわりをもってチーズ

職場体験

午後の職場体験は2グループにわかれて北村林業さんとROSARUGOSAさんを訪問しました。

北村林業株式会社さんへ訪問!

北村林業さんは、「100年先も地域やお客様から必要とされる企業であること」という理念のもと新しい林業のかたちにチャレンジしている会社です。

浦幌町の中心地から車で約一時間かけてめったいに入れない現場に連れて行っていただきました。現場を回りながら、木の伐採の瞬間を見て、異なる木材を触り、切り倒した木の枝の匂いを嗅ぎ、北村林業の社長北村さんからの説明を聞く、五感をフル稼働させる体験となりました。

北村さんのお話を聞きながら5感をフル稼働

第一次産業というとどうしても遅れている、泥臭い、活気ないイメージを持つ人が多いですが、実際に見る現場は世界最先端の機械と従業員の腕の両方の技術をうまく組み合わせ、自然との共生共栄を図ることへの誇りを大事にしていることがわかりました。さらに、次世代とその次世代のまた次世代までに林業そして自然のバトンを渡していきたいと願い一生懸命取り組むランナーたちの姿がそこにありました。

用意していた質問用紙では聞き足りないほどに、参加者たちは北村さんの仕事に対する信念に魅了されていました。北村さんの話を聞いた後に、奥の山に落ちていく陽を見て考えに耽る参加者の姿がなんとも印象的でした。

山をバックに素敵な一枚。北村さん、本当ににありがとうございました!

広大な山を山林をバックに

rosa rugosaさんへ訪問!

もう一つのチームは、浦幌町の中心地にある「まちなか農園」にあるハマナス畑を訪問しました。

ハマナスは浦幌町の町の花。rosa rugosaは、町の花ハマナスをつかったコスメティックブランドです。社長の森さんに畑を案内していただきました。事前学習と予習でその知識のあった高校生たちですが、実際にハマナスを見るのははじめてです。匂いを嗅いだり触ったり。少し畑の中に入ったりして、ハマナス畑をおもいっきり体感しました。

まちなか農園で。森さんの話に真剣にメモ取り。

ハマナス畑のあとは、蒸留所のある町のはずれのTOKOMURO LABへ。

旧校舎にカフェや子どもの遊び場があったりと、高校生は興味津々。そのTOKOMORO LABに、ロサルゴサの蒸留所があります。ここから、高校生たちが事前に考えてきた質問をまじえて、森さんの創業ストーリーを聞くタイムです。ハマナスをコスメにするまでの製造プロセス、本州出身にもかかわらず、浦幌町でビジネスを起こしたこと、お金だけじゃない町の人たちの想いをビジネスにしたこと。高校生たちの好奇心を刺激するお話しばかりでした。

私たちの嬉しい驚きは、森さんのお話を聞くだけではなく、高校生から次から次へと質問がでたこと。森さんのお話しがすすむにつれ、みんなあきらかに表情が変わり真剣にメモをとっていたのが印象的でした。

TOKOMURO LAB

仕事体験まとめ

ハハハホステルに戻ってからは、仕事体験で聞いてきたことをチームでまとめる作業に取り組みました。高校生たちは聞いてきたお話しをどんどん模造紙にまとめていきます。その集中力たるや!大人のサポートは最小限で話し合いは高校生主導で進んでいきました。最後は、何を感じたか、何を学んだか全員で共有するための発表をしてもらいましたが、模造紙のまとめもかたも発表もとてもわかりやすくて、参加者の持っている力を改めて時間しました。

仕事体験で発見したこと、学んだことの発表

交流タイム

夜はハハハホステルでバーベキューをしながら浦幌町の社会人のみなさん、東京から引率してくださった住友商事サポートチーム、大学生ボランティア、glolabのスタッフとの交流タイム。進路のこと、学校生活のこと、お互いの文化のこと、さまざまなことを語り合いながら夜はふけていきました。

雨があがり美しい夕焼けのなか交流タイムが始まりました

夏合宿3日目

夏合宿最終日は、浦幌町の社会人のお二人、当プログラムの企画者で自らも外国にルーツを持つ李澍が先輩としての経験談を話しました。

高室さんのお話

一人目の登壇者は高室印刷の高室さん。印刷会社を経営しながら、町のお祭りでハンバーガーを大量に売ったり、剣道の指導をしたり、ミュージシャンを招聘したり。そのすべてが過去の経験とつながっている「無駄な経験は一つもない。経験を活かすのは自分自身」そんなメッセージを届けてくださいました。参加者からもいろんな質問がとびかっていました。

高室さんのお話

宮寺さんのお話

二人目は宮寺さん。宮寺さんは東京でだれもが知っているアミューズメントパークでカスタマーサービスやアトラクションの開発をされた後、浦幌町に移住、転職されました。そのチャレンジ精神は、参加者にとっても学ぶところが多かったようです。

宮寺さんの話

李澍りしゅのお話

そして三人目は、李澍。自身も現役学生で、このみらいチャレンジプログラムの企画から実施まで主体となって作り上げたglolabのコーディネータです。参加者と世代が近く、同じ外国にルーツを持つ一歩前をいく先輩だからこそ、どのようにこれまで壁を乗り越えてきたか、自身の経験から今高校生に伝えたいことを話してくれました。「李澍さん、いつも笑顔で、元気いっぱいです。元気もらいました!」と参加者から声があがりました。

外国にルーツを持つ先輩として

最後は3日目の感想を一人一人みんなの前で発表しました。2日目に訪問した元木農園の元木さんもいらしてくださいました。参加者全員が、浦幌町で出会った大人の言葉を自分なりに消化し、一人一人3日間で感じたこと、考えたこと、自分の言葉で話してくれました。参加者の好奇心、前に進もうとする力がとても感じられた発表でした。

また、そんな彼ら彼女らを温かく見守る浦幌町の方、住友商事サポートチームのみなさんの姿にも心うたれました。

「君にはいっぱいやれることがある。僕は知っている。自信をもって」という元木さんからある参加者へのメメッセージはその参加者だけではなく、参加者みんなへ響いたのではないかと思います。

3日間を終えて

3日間を終えて

3日間の熱いプログラムはこうして幕を閉じましたが、みらいチャレンジプログラムはこれで終わりではありません。10月〜11月にかけて事後学習1回目、12月には事後学習2回目を行います。夏合宿で学んだり知っりした考え方、行動規範を日々の学校生活、将来へどう活かしていくか、生徒たちの背中を押し、私たちは伴走を続けます。高校生たちがどのように成長していくか、とても楽しみでもあります。

■ glolab 基本情報
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