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3人のマイ・フェア・レディ

いやいや、1人でしょうとおっしゃるかもしれない。

そう、世間に知られているのは、映画の中で
オードリー・ヘプバーンが薄汚れた場末の
花売り娘から 絶世の美女に変身する姿ですから。

でも、このミュージカル、もともとは
ジュリー・アンドリュースが主演で、 1956年から6年に
渡り、2700回を超える上演回数を誇る、
超ロングランの大ヒット作だったのです。

舞台で披露された曲のレコードは、 なんと全米で
400万枚を売り上げたのだとか。 そんなわけで、
映画化されると決まったとき、大衆は当然
ジュリー・アンドリュースが主演だと思って いたわけです。

ところが、そうはならなかった。

なぜかというと、映画化の版権を獲得するのに、
映画会社のワーナーブラザーズ社は当時、550万ドルも 支払った
そうです。もともとの映画化の予算が1200万ドル だったものが、
膨れ上がって最終的には1800万ドルに なりました。

当時としては、最も高額な製作費をかかった ミュージカルと
映画化となりました。そのため、 映画はその年(1964年)
最高の映画にしないといけない という命運を賭けたものに
なったのです。

結果として、当時すでに世界的な大スターであった
オードリー・ヘプバーンが起用されたのです。

彼女の存在だけで、さらに500万ドルは増収できると、
ジャック・ワーナー(ワーナー社社長)は踏んだのです。

一方、当時のジュリー・アンドリュースはまだ映画に
出演したことがなく、舞台が大ヒットしたとはいえ、
100万ドル程度の増収にとどまると試算されました。

さらに、舞台の成功が映画での成功となるとは限らない
ということもありました。

当然ながら、舞台で成功していたジュリーはがっかりした のですが、
そこにディズニーから舞い込んできたのが、 「メリーポピンズ」の
主役でした。これがあとで、 その年の賞レースで大きな注目を
浴びることになります。

話をマイ・フェア・レディーに戻すと、オードリーを
キャスティングして、映画の撮影は進んでいきました。

オードリーは当初、演じながらすべての曲を意欲的に歌って
収録していました。しかし実は、その陰でワーナー社は
ある女性にも歌を吹き込ませていたのです。 ここで、
3人目のイライザ・ドゥーリトル、もとい マイ・フェア・レディーが
登場します。 その人の名は、マーニ・ニクソン。

この人は、すでに多くの映画スターの歌の吹き替えの
実績がありました。一例では、デボラ・カー(「王様と私」)や
ナタリー・ウッド(「ウエストサイド物語」)です。

最終的には、マイ・フェア・レディの映画内で、
マーニの歌が98パーセント、オードリーの歌が2パーセント
使われるという結果になりました。 なぜそうなったのか、
それがわかる聞き比べ動画があります。

https://www.youtube.com/watch?v=XalUuhkg-Fg

最初に流れるのが、映画で採用されたマーニの歌声、
次に流れるのがオードリー本人の歌声です。

オードリーはボイストレーナーを付けて練習を重ねて
歌声を披露しています。もちろん、ジュリーとは
比較にならないとはいえ、下手とも言い切れない
味わいがある歌声です。

とはいえ、本職が歌手である マーニとの差は
歴然としています。 そう、ワーナーはハナからオードリーの
歌声を 使うつもりがなかったのです。結果、花売り娘時代の
歌を除いて、すべてマーニの歌声が採用されることと なりました。

そして、マーニの歌声であることについては 箝口令が敷かれたのです。
マーニは翌年までずっと、 ゴーストシンガーだったのです。

さて、そんな3人の悲喜こもごもが絡み合った
マイ・フェア・レディでしたが、1964年の アカデミー賞では、
ワーナーの思惑どおり マイ・フェア・レディが賞レースを
総ナメに しました。 たった一つ、主演女優賞を除いては。

マーニで吹き替えてしまったことが仇となり、 オードリーは
主演女優賞にノミネートすら されませんでした。
結果は、ジュリーが 「メリー・ポピンズ」で主演女優賞獲得しました。
こうして、3人の女性の波乱に満ちた1964年が 終わったのですが、
翌年の1965年に、ジュリーと マーニは「サウンドオブミュージック」で
共演 することになりました。

マーニは有名女優の吹き替えをしていることを明かすことを、 何年にもわたって口止めされてきていたのですが、 それがここでようやく日の目をみることになります。 2人目のシスターがマーニ本人です。

https://www.youtube.com/watch?v=s-VRyQprlu8

ジュリーは、現場でマーニが仕事をしずらくならないように、
かなり気遣っていたそうです。実はこの2人、前年の 「メリー・ポピンズ」でも歌では共演しています。 ショービジネスとは、ほんとうに狭く
複雑な世界ですね。

最後に、ジュリーが歌うマイ・フェア・レディの "Show me"を
お聴きください。とてもダイナミックで、 吉本小喜劇かと
思うほどのどつきっぷりです。 歌は言うまでもない迫力。
ジュリーの映画版も観てみたかったですね。

https://www.youtube.com/watch?v=yQM_KUg-YeI

とまあ、以上 いかにも私が調べたふりをして、この動画の 内容をほぼほぼパクらせていただきました。

英語できるって、こういうとき便利なんです(笑)

https://www.youtube.com/watch?v=unqQM3nuO-o

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