途上国でも日本のような暮らしがしたい場合にかかる出費

結婚すると、独身時代には考えもしなかった出費に直面する。筆者は海外で単身だったので、かなりミニマルな生活をしていた。国際協力関係者は途上国の物がない生活にも慣れているものである。

しかし配偶者ができたとなると、そう簡単に話は終わらない。こうした国際機関職員の配偶者(いわゆる駐妻/夫)の中には、途上国であっても日本でできたような暮らしをなるべく諦めたくない!と考える人がいる。まぁ人による部分が大きいとは思うが…。しかし途上国の環境に適応しろ!と一蹴する訳にはいかない。駐妻/夫は慣れない海外生活でストレスを溜めがちである。元から専業主婦/夫だった場合もあるかもしれないが、結婚と同時に仕事を辞めて、配偶者の赴任先に帯同したケースが多いだろう。仕事ができないというだけでもアイデンティティ・クライシスに陥りがちなのに、全く知らない土地で拙い英語で交友関係をゼロから広げなければならない。

何が言いたいかと言うと、ある程度、希望に沿うことは避けられないと思うのだ。まぁ支出がかさむのは本意ではないが…。こうした国際機関職員のプライベートでの葛藤は、あまり公に語られることが少ない。そこで本稿ではN=1だが、我が家では結婚後にどのような支出項目が生じたか記録したいと思う(注1)。


包丁

家事をメインで行う配偶者の不満ダントツ1位である。包丁の切れ味は日本製がズバ抜けていることは、海外暮らしをしたことがある日本人ならほぼ全員同意するだろう。マレーシアぐらいの高中所得国になると、日本ブランドではGlobalやZwillingの包丁はParksonやISETAN等の百貨店で売っている。ただ我が家は、一時帰国中に田原町にあるZwilling直営店で購入した。

ちなみに海外居住者が一時帰国時に免税で購入する場合の要件が、2023年4月から厳しくなるとのことなので、皆注意して欲しい。

ホーロー鍋

昨今、日本の主婦の間ではLe CreusetやStaub等の分厚くて重いホーロー鍋で料理するのが流行しているようだ。両方ともマレーシアやタイの百貨店には置いてあったが、スリランカにはなかった。我が家は一時帰国時にZwilling直営店でStaubのココットを購入した。スーツケースに入れてマレーシアに持って帰って来たのだが、マジで重かった。

多目的ホットプレート

昨今、日本の主婦の間ではBRUNOの多目的ホットプレートが流行しているようだ。しかし、これらホットプレートは海外の電圧(220-240V)に対応していない。変圧器を別に買うという手もあるが、1500Wぐらいの高額で重くてかさばる変圧器が必要である。(注2)そこで色々調べたところ、Tigerが海外の電圧に対応したホットプレートを唯一販売していることが分かった。一時帰国時に家電量販店で購入した。

食器

昨今、日本の主婦の間では北欧デザインの食器が流行しているようだ。中でもフィンランド発のArabiaの食器は大変人気とのこと。さすがのマレーシアでもArabiaの食器は売ってなかったが、以下のウェブサイトから注文して海外発送してくれることが判明した。注文してから2-3週間で無事にマレーシアやスリランカのコンドに届いた。関税を取られる場合があるので注意。

パーティー・ドレス

国際機関職員となると、赴任先の大使館や政府主催のレセプションに呼ばれることがままある。ドレスコードは様々だが、national or lounge suitsと書いてあることが多い(気がする)。男性はスーツを着て行けば済むだけの話だが、女性の服装となると悩ましい。着物を着て行くガチ勢もいるが、自分で着付けできないと無理だろう。そこで膝下丈ぐらいのドレスを一着でも買っておこうか、という話になる。我が家は妻の希望でTADASHI SHOJIで購入した。ただ婦人服は価格が青天井なので、あらかじめ予算を決めておいた方が良いだろう。

楽器

我が家は妻がピアノを弾くので、ピアノを買うことになった。まぁ家族に音楽関係者がいなくても、子供には音楽を習わせたいからピアノ(ないし他の楽器)の購入を検討している国際機関職員は結構多いのではないか?東南アジアだと、日本製の中古のピアノが売られていることが多い。価格は〇十万円ぐらいするが…。また湿度の高い熱帯の国でピアノのコンディションを維持するために、電気ヒーターを24時間つけてなければいけない!らしい。毎月の電気代が心配である。

ヘアドライヤー

男として生きていると、ヘアドライヤーなんてどれも同じ、ってか髪は自然乾燥…という人も多いかもしれない。しかし髪は女の命!という名言が昔あったように、女性はドライヤーへのこだわりは強い。最近はマイナスイオンを噴射するドライヤーが流行りだそうで、マレーシアやタイにはパナ製を含む複数のブランドのドライヤーが売っていた。まぁ確かに髪のサラサラ度合いは違うので、高いドライヤーを買う意味はあるのかもしれない。

化粧品

国際協力に従事している女性で化粧をしなくなる(する機会が減る)方はいるかもしれないが、駐妻で、特に日本人コミュニティーに出入りしている女性は、日本と同様に化粧をすることになる。

個々のブランドは私もよく分からないのだが、化粧品は基本的には一時帰国時に買いだめ&スーツケースに入れて持ってくるのが定石だと思う。東南アジアの国々でも首都のモールに行けば欧米ブランドの化粧品が売っているが、品数が限られていたり、日本で買うよりも高いことがある。ちなみに化粧品は国際郵便では送れないことが多いので注意すること。


注1:新しい支出項目が生じたら適宜更新しています(最終更新:2023年10月)
注2:日本の家電を変圧器を用いて海外で使用するのは、火事の原因にもなり原則は推奨されてないそうです

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