憂鬱、たまに絶望 │前編
ここ2年くらい、もうずっと考えていることがある。日本にまともな評論家はいないんじゃないだろうか(いても絶滅危惧種なんじゃないか)、ということだ。先月亡くなった文芸評論家の福田和也氏は、20年前の著書で、「小説は死んでいないかもしれないけど、日本の批評はもう死んでいる」と言った。その約20年後、故福田氏の『作家の値打ち』のオマージュ『作家の値打ち 令和の超ブックガイド』を書いた小川榮太郎氏は、日本の文壇は小説家と批評家の内輪の馴れ合いで世の中には批評のふりをした売るための宣伝文