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アラブの春とシリア

2020年は Syria(シリア)紛争が10年目をむかえる年で、紛争は今もなお続いています。

紛争の起源

ことの始めは、シリアにも広がった2011年のアラブの春なんですね。

中東諸国の独裁政権を倒し、民主主義を求める抗議活動がアラブの春なのですが、シリアにおいても Bashar Hefez al-Assad という人による独裁政治に国民が反発しました。

なぜこの抗議活動が戦争に発展したかというと、Assad (アサド)政権が武力行使によって国民の抗議を抑えつけたからなんです。

そして、独裁者に好き勝手やらせるわけにはいかない国民も、Free Syrian Army(FSA) という軍事組織をつくって対抗しました。これがシリア内戦の始まりです。

紛争が長期化している原因

なぜこの内戦が長く続いているかというと、外国や他の軍事勢力が介入してきたからなんですね。

Assad(アサド)政権
vs
反政府勢力の Free Syrian Army(FSA)

というこの対立構造に、シリアの同盟国であるイランやロシアなどが支援をはじめ、
そのライバル国であるサウジアラビアやアメリカなどがそれに対抗して紛争に参加します。

Assad 政権+イラン+ロシア + Hezbollah (レバノンの軍事組織)
vs
反政府勢力 Free Syrian Army(FSA) + サウジアラビア + アメリカ + トルコ

となるわけです。

紛争の複雑化

そしてこの混乱状況がさらに複雑になっていきます。

シリアでの混乱を、組織の目標である国家樹立のチャンスととらえた ISIS (イスラム国) が、
2014年からシリアで武力行動を進めて勢力を広めていくんです。

さらに、シリアの北側地域、トルコとの国境付近には、“国家を持たない最大の民族” と呼ばれる Kurds(クルド人)が多く住んでいて、この紛争に参加します。

Kurds(クルド人) はもともと国家としての独立を願っているのですが、トルコがこれを阻止してきた歴史があり、the Kurdistan Workers Party (PKK) という軍事組織がトルコと戦ってきたんですね。

そしてこの PKKのシリア支部が the People’s Protection Units (YPG) と呼ばれていて、ISIS (イスラム国) の勢力と戦いはじめたわけです。

アメリカはこの YPG を the Syrian Democratic forces (SDF) という軍事組織に強化し、ISIS (イスラム国) の勢力を抑え込みます。
ちなみに、これは Kurds(クルド人) と戦っているトルコにとっては都合が悪いわけです。

Assad 政権+イラン+ロシア+Hezbollah (レバノンの軍事組織)
vs
反政府勢力 Free Syrian Army(FSA) + サウジアラビア+アメリカ+トルコ
vs
ISIS (イスラム国)
vs
Kurds(クルド人)

という対立構造が、各国の利益次第で敵味方の構造が変わっていき、紛争が複雑になっていくんですね。

参考: Al Jazeera, BBC News, Vox, TRT News, The Guardian

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